終末のワルキューレ (20) (ゼノンコミックス)

  • コアミックス
3.79
  • (7)
  • (6)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 309
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784867205853

作品紹介・あらすじ

開戦早々、熾烈を極めるスパルタ最強の漢・レオニダス王VS万物を照らす太陽神・アポロン。アポロンに対して尋常でない執念を燃やすレオニダス王だが、そこには深い因縁が――! 不撓の王と不屈の神、両者一歩も譲らぬ第9回戦! 超白熱!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これはレオニダス王に勝ってほしい

  • スパルタにはロマンがある。

  • 闘いは、泥臭くも美しい。

  • 嫌な奴ーと思っても神様にも過去があったりするので片方のみを応援しにくい。でもやっぱり人類応援してしまうよね

  • 第9回戦の対戦カード、レオニダスvsアポロンは、これまた、因縁深いもの。
    と言っても、レオニダス王が一方的に、アポロンに対して、並々ならぬ怒りと憎しみを抱いている感じ。決して、アポロンがレオニダス王の大切な家族を、神としての権威で無理矢理に奪ったり、亡き者にした訳じゃない。
    レオニダス王が、読んでいる者をも圧するほどの激怒をアポロンに対して抱いている理由は、アポロンが自分の治めていたスパルタに、しょうもない神託をしていたから。
    アポロンが祭りの開催中は争うな、と命じていた所為で、その決まりを真面目に守り続けていた議会の老害どもが、尋常じゃない窮地であるにも関わらず、アポロンの神託を守る事を優先して、現実を視ていなかった。
    戦うべき時を見誤るような神託を下したアポロンを、スパルタ魂を誰よりも持っているレオニダス王としちゃ許せない訳だ。
    比喩ではなく、物理的に眩いアポロンの基本に忠実だからこそ攻撃力が高く、芯に響いてくる拳打に激しいダメージを負わされながらも、折れず、砕けず、退かず、猛々しく前進し、己の正面に立つ者は全て、全力で叩き潰す、スパルタ戦法でレオニダス王はアポロンに、虚仮にされた怒りも上乗せさせたえげつないカウンターをぶちかます!!
    アポロンが、美しく、強いけど、ただ高慢ちきな嫌味ったらしい神様だったなら、ここで決着が付いていただろう。けど、そうならないのが、『終末のワルキューレ』の面白い所。この作品は、英雄たちの知られざる一面だけじゃなく、神に対しても新たな一面を、私ら読み手に魅せてくれる。神の持つ、どこか、人間臭い部分、そこが実に良いのだ。
    様々な分野で「神」扱いされているアポロンだが、それは、彼が生まれながらに、天才だったからじゃない。自分が、ただ、容姿にある程度、恵まれているだけで、他の神に比べたら、才能が凡庸であると、アポロンは誰よりも知っていたからこそ、負けたくない一心で、血のションベンが出るほど、努力に努力を重ねた。
    アポロンが美しく、自分に自信を持った言動が堂々と出来るのは、自分を知っており、その自分が重ねた努力が正しい、と確信しているからか。そんなアポロンに呆れながらも、誰よりも、彼の強さを信じ、勝利を確信しているアレス、ほんと、良い奴だな。またしても、私の中で好感度が上がったぞ。
    見た目がズタボロになりながらも、この世で乗り越える事が最も難しい自分を乗り越えようとする意志をハッキリと見せるアポロンに対して、レオニダス王はかつての恨みを払拭した上で、より殺意を高める。対するアポロンも、レオニダス王の粗暴な言動に対して辟易はしつつも、彼の不撓不屈っぷりに対して、確かな「美」が宿っている事を感じ、レオニダス王を己の魂を燃やし尽くしてでも勝ちたい相手、と認識した。この闘い、美しく、熱く、そして、烈しい!!

    この台詞を引用に選んだのは、レオニダス王が、男達から尊敬を抱かれ、痛い死よりも怠惰な生を恐れさせ、叛逆する勇気を抱かせる理由が、頭ではなく心で理解できるものなので。
    スパルタ、この地に生きる者としての誇りを持っているからこそ、レオニダス王は、タイミングを決して間違えない。
    死んだら元も子もない、それは確かにそうだ。
    けど、漢の人生には、死ぬ、それが絶対に確定している状況であっても、戦わなきゃいけない時があるのだ。
    その「時」から逃げるのは、漢にとっちゃ、死ぬよりも屈辱なのだろう。
    だからこそ、レオニダス王は、この時、30万の大勢に挑んで戦って死ぬ、と決め、その覚悟に300人の馬鹿な男たちが熱狂し、自分として生きるために、決死の戦いに臨んで散っていった。
    こうやって、背中で魅せ、部下のやる気を引き出せるトップが今、日本、いや、世界には必要なんだろうな。
    「神に叛いてまで、なぜ今、征く必要がある!?そんなにも戦いたいか、そんなにも血に飢えているのか!?」
    「・・・戦いなんてしたかねぇよ。疲れるし、死にたくもねぇし・・・酒なんか飲んで昼寝でもしていたいね」
    「では、なぜ・・・?」
    「それでも、今が―――戦うべき時だからさ。戦う時は、必ず、自分の意志で戦う、それが『スパルタ』だ―――」(by老害、レオニダス王)

    そんなレオニダス王に負けないくらいの誇りを、アポロンも持っている、と感じたのが、こちらの台詞だ。
    アポロンにとって、最も優先すべき事は、美しい、その一点のみ。
    美しい、それは、彼にとって、命を懸けるに値する信念。
    アポロンが掲げる美は、見た目を指すものではない。
    アポロンが信じる美とは、生き様に表れるもの。
    己を知る努力、己を変える努力、己を超える努力、そして、己の命を燃やす戦いをする者は、アポロンにとっては美しい存在なのだろうな。
    だからこそ、レオニダス王のカウンターを喰らって、女性たちが黄色い声を上げていた顔に傷が付こうとも、アポロンは激昂せず、逆に、自分の生き様を貫いて攻撃を繰り出してきたレオニダス王を賞賛したんだろう。
    当然だけど、今回の対戦カードも、これまでに負けないくらい、最高の組み合わせだったな。
    「美しい・・・」
    「あ?」
    「キミは美しい・・・と・・・言ったんだ」
    「美しい・・・?オレっちが・・・?ふざけるな、バカにするな!!」
    「ふざけてなどいない、バカになどしない」
    「この姿の・・・残虐面“バケモノ”のどこが美しいってんだ!?」
    「姿?造形など、どうでもいい。美しいのは、今のキミという存在そのものだ。己と向き合い、魂を焦がして闘うキミは・・・とても美しい」(byアポロン、ピュトン)

    「美しきなき者とは、今に満足し、前進を止める者。今の幸福や幸運の上であぐらをかく者だ。己を知る者は己が足らぬことを知る。己を知る者は己が弱きことを知る。己を知る者は己が変わることを恐れぬ。己を知る者は須く―――己が美を誇るべし☆」(byアポロン)

    「ただ昨日よりも今・・・そして、今この刻よりも・・・美しくなるために、オレ様は魂を焦がす」(byアポロン)

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

アジチカ: 『嶌国のスバル』(講談社)作画担当(カトウチカ名義)。高い熱量を持つ絵柄は読者の心を熱くする。小5男子を心に飼っている。

「2020年 『終末のワルキューレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アジチカの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×