- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784870319394
感想・レビュー・書評
-
白洲正子と白洲次郎、小林秀雄を祖父母に持つ著者が自分のライフスタイルやこだわりを語った一冊だ。
骨董のこと、旅のこと、食のこと、酒のこと。
友人だという茂木健一郎氏と酒を酌み交わしながらの対談も中ほどに収められている。
著者は決して自分は裕福なわけではない、祖父母も普通のおじいちゃんおばあちゃんだった、ということを言っているのだけれど、おそらくその「普通」がいわゆる中流世帯が考える「普通」とは乖離しているように感じる。
「普通」の祖母は、考古学の発掘に興味を持った孫にその道の第一人者の教授をひょいと紹介して著名な発掘現場に遣ったりしないし、大名家の血筋の政治家も、見ず知らずの人間をひょいと秘書に雇ったりはしない。
著者自身、祖父母の人脈を活かして仕事をしてきたことは間違いなく、そういったエピソードが多数出てくるにも関わらず「普通の祖父母だった」と主張することに最後まで違和感があった。
自分の偏見もあるのかもしれないけれど、どうにもスノビッシュな印象を受けてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
白洲次郎・正子夫妻と小林秀雄のお孫さんの本。
おじいさん・おばあさんがカッコいいとお孫さんもカッコいいんだな。
これを血筋というんだな。 -
白州次郎と小林秀雄の孫のエッセイ。
なんか・・・・偉そう。あまり好きじゃないタイプ。
対談が載ってた茂木も好きじゃないし、なんで借りたんだろう。 -
著者は白州次郎と白州正子の孫であり、さらに小林秀雄の孫。
最近の白州夫妻ブームで一気に脚光を浴びるようになりましたが、それまでは小林秀雄の孫として注目されていたそうです。
生粋のサラブレッドながら、その名の持つ力に驕ることなく、また世間の歓声に煽られることなく、自分のスタイルを貫いている姿勢が、エッセイと写真に表れています。
孫ということで、彼らからの直接的な薫陶は受けていないとはっきり明言している、偽らないところが誠実。
それでも、己の美学を持ち、シンプルながらもセンスの良い暮らしを送っている様子からは、まぎれもなく彼らの血を引いていることが伺えます。
考え方も暮らし方も、ゆとりにあふれる人生。
それこそが、真に満ち足りた幸せだと感じられます。
脳科学者の茂木健一郎と知己だというのが少し意外でしたが、相当馬が合うようです。
二人の共通点は、時代の寵児としてマスコミにもてはやされているというところ。
ブームは一過性のものにすぎないとみなし、自分のスタイルが世間に崩されないように非常に慎重になっている様子からは、有名人の苦労がしのばれました。
細川護熙首相の秘書だったという経歴は意外でしたが、次郎氏が政治に身を置いていたことを考えれば、不思議ではありません。
今は和文化三昧だという生活は、まさに悠々自適の暮らしを送る細川氏と共通するように思えます。
よいものとじっくりと長く向き合うという姿勢。
それこそが、著者に引き継がれた生活伝統なのでしょう。
血統の良しあしは関係なく、心がけひとつでそうした暮らし方はできるもの。
見習うべきところが多々見受けられ、お手本にしたいと思える、落ち着いたエッセイとなっています。 -
小林秀雄や白洲正子は難しい。白洲信哉を介する事で分かりやすく成る事もある。
-
白州信哉著「白州スタイル」飛鳥新社(2009)
白州次郎、白州正子、そして、小林秀雄の孫。彼らから大きな影響を受けている白州信哉のスタイルを書いた本だ。
* 美を感じることができるようになるには、やはり、見る訓練が必要である。音楽を聴くには聞く訓練が必要なように。モノに美を感じたいのであれば見る訓練が必要だ。
* 美というものは、これらの事情によって印象が変化していくものだと感じている。
* 何かを鑑賞するときに大事なことは、まず自我を滅して無碍三昧にモノを見ることができるかということに尽きる。自分自身がいいなと思ったものを凝視し、その作者や時代に思いをはせることである
* 民主主義の政治体制に最も相応しい宗教は、一神教よりも多神教ではないかと思っている。それは、多様な価値観を求め合うことによって、お互いを理解し合える政治体制と根底で通じる宗教だと思うためである。
* 日本人としての誇りとは、世界へ輸出する電化製品や自動車ではなく、「古事記」や「日本書紀」などの日本の思想、そして文化などであると思う。
* 四季折々の旬の食材を自分の目で見て買い、自分の手で作って食べる。そうすることできちんと一日一日を過ごしたことが実感できるのである。 -
やっぱり、著名な祖父母を持った方のお苦しみがそこここに現れていて少し痛々しい。
自分は出自を気にしていない、そんなことは語らない・・といいながら、逃れられない”スタイル”。