ほめない子育て: 自分が大好きといえる子に (ヤングママ・パパのいきいき子ども学 4)

著者 :
  • 栄光教育文化研究所
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872930450

感想・レビュー・書評

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  • 昔のように、子どもは子どもだけで遊んだりすることができなくなった今、子どもとの距離が近すぎて、社会的なルールを教えるということ以外の、親や保育者の好みでほめたり叱ったりという『評価』が増えてきている。
    もっと距離を置いて、子どもが自由にできる環境を整え、見守って認めてあげながら育てていくことの大事さがよく伝わる本だった。

    地域社会の影響力が少なくなった、今の子育ての大変さ、お父さんの育児参加についても書かれてあり、大まかな方針が一致していれば、夫婦の言い分、すなわち文化が違っていても、子どもに矛盾する2つの世界を突きつけていることにはならない。むしろ子どもに色々な選択肢を与えることになる。という部分は、一人めの子どもとの暮らしが始まり、なんとなく、それまでそんなに気にならなかった夫との小さな選択の違いなんかが気になってた頃だったので、あぁ気にしすぎだったなぁと思えることができた。

    直接、ほめることについて書かれてある部分は前半に集中しており、あとは環境の整え方や自主性の伸ばし方などがデータなどとともに紹介されている。

    こういう言い方がいい、悪い、などマニュアルっぽいものを求めている人には物足りないかもしれないが、子どもに対する自分の姿勢を考える時、私にはとても参考になった。

  • 子どもを評価する大人のまなざし
    親の目、大人の目からまったく自由に、好き勝手に過ごす時間が急速になくなりつつある。
    子どもはお母さんの愛情を失うことがもっともつらいから、お母さんの掌にいかにうまくのれるか、敷いたレールの上にいかに上手く走れるかにこだわり始め、できなかったらダメだと思い込んでしまう。(p.25)
    ダメばかり言っていると萎縮してしまう。
    褒める方がまとめやすいが、褒められた子の真似をする。(p.28)
    叱ることと褒めることは同じ。(p.30)
    =上から評価する点で同じ行為、
    →できるだけ避けた方がいい(p.32)

    子どもは親の愛情なくしては生きられない
    自立心も育ってない
    …縦の関係が生まれる、
     指示ー服従の関係、心理、権力、管理

    社会のルールを教えることと評価することは違う
    破ったときは適切に注意する必要がある
    守れなかったことが守れるようになったら喜んであげることも必要
    =社会のルール以外は周りの大人が勝手に決めて強制することはできない、厳しくいえば子どもに対する冒涜ではないか?
    収集など、子どもが選んでやっている遊びであり、自己実現といってもいい

    親や保育者は幼い子にとって権力の持ち主。
    横並びになり、共感したり、共苦したり、必要なときに子どもを思って注意すること

    引き止め役に入ってくれる人がいるからケンカできるのかも?

    早期教育で子どもを評価する→ありのままの感情を表現するのが苦手な子に…

    あなたが好きというまなざしを送る
    痛かったら励ます、寂しくなって助け求めたら安心させるために共感する
    失敗しても安心だよ、私が味方よ
    =子どもに熱中できる場をつくって"放し飼い"にする
    事故につながる危険なときは注意しよう
    しつけは3歳になってからで充分、2歳までは最低限の規則でいい
    聞き分けがないからと厳しく叱って規制することは慎まなければならない(p.46)

    叱る=子どものセルフイメージ形成を妨げる

    大人の性格的に難しい人は以下を実践してみて
    ①褒める時も叱る時もスカッと、端的に
    ②性格や特性を交えて言わない
    ③強く叱った後媚び売るのはだめ。不安的さに振り回されてしまう

    刺激のある豊かな環境を
    磁石につくものつかないものピカピカ?探求心
    発展していけるような遊具を!

    ヒントを与えるなどして、自分で考えられるように

    日本はいい成績取ると親が喜ぶからと答える子が多い。イギリス、マレーシア、インドは殆どいない。

    多様な人間が集まることによって、それぞれの個性に対してどのように対応していけばよいかという人間関係の機微を自ら学んでいく

    子どもを取り巻く環境がある意味では貧しくなっているので、家庭での育て方が、子どもの育ちに大きな影響力をもつようになってきた。言い換えれば、家庭での育て方がその子の一生に与える影響が以前よりも大きくなってしまったのです(p.85)
    子どものいたずらや失敗を日々楽しみながら、その成長を喜んでいるだけではだめなのです。

    個人差あるが2歳過ぎから男の子型ハメ、ブロック、女の子人形ままごとごっこ遊び始める
    興味をもっと発展させ、子ども自身が自分の楽しみを幅広く展開したり奥深く突っ込んでいけたりできる環境づくりを!
    上手く展開できないときは少し手伝い、一緒に遊ぼう!

    自然の変化を肌で感じることがてきる、公園デビューを恐れず、どんどん出かけよう!
    何もしないで座っているだけでももたらすものは大きい!豊かな感性育まれるから。

    例えば、ある絵画を見て「いいなあ」と感じたりする原点は、実は小さいころ共感を覚えた何かであったり、ボーっとしながら楽しんだ世界であったりするわけです。ですから、感性は小さいうちにどんどん磨いてやるほうがいいのです。(p.103)

  • 全般的にヤングママ・パパ向けなので乳幼児の話が多い

    1章
    ほめるのも叱るのも子供を上から目線で評価することになる。社会的なルールを守らないことは叱らなくてはならない。
    親の期待通りなら「ほめて」そうでないなら「叱る」のはNG。
    ご褒美で釣る外発的動機づけの悪影響を知り、大いに反省。

    2章
    積極的な育児方法としては「放し飼い」の子育て。
    昔と比べて子供が地域社会で友達と遊ぶ機会がなくなったため、その分、親のすべきことが多くなり、育児責任もより大きくなっている。

    3章
    日米の母親の違い
    日本:従順礼儀我慢強さ
    米国:リーダーシップ自己表現

    4章
    母親の文化≠父親の文化なので、父親が育児に関わることで子供の選択肢が増える。父親が育児に関わる方が子供の発達に良い影響がある。父親も母親と異なる角度から子供の個性を探す。

    5章
    個性を見つけて伸ばす 

  • 給食のときなど、「指導」と称して無理矢理食べさせる、みたいなことをしている保育所がまだ少し残っているが、早急に変えてほしい、と書いてあった。1997ねんの時点でそんなふうに書いてあったんだ、と思った。そのことをあら先生に言ったら、「時代じゃないよ」だって。そうかもしれないな。褒めない、というのはちょっと誤解を受けるというか、なかんじだけど、要するに子どもをこちらの価値観にコントロールしないようにする、ということ。親や大人が褒めてくれれば、これでいいんだ、こうしよう、と思うことはまあ悪いことではないけど、あまりにそればかりだと、大人の顔色を見て動く子、褒められないと何もできない子になってしまう。そうじゃなく、「出来るようになって良かったね!」というような、子どもの嬉しい気持ちに寄り添うようなことばがけが、その子自身を認めることになる、ということで、大変うなずける内容だった。

  • 「自己肯定感」の大切さ、褒めすぎる言葉の問題。
    最近なんだかモヤモヤしていた言葉かけにすっきりと答えが見えた。
    私は褒めすぎで、子どもをコントロールしすぎていたんだなと。
    昔の育児には戻ることはできないけど、子ども同士で学ぶこと、親が口を出しすぎないこと、子どもが生き抜く力を改めて信じなきゃなと感じた。

  • この本を読んで育児が変わりました。<br>
    <br>
    それまでは、積極的な親としてのかかわりをしていこうと思っていたのですが、それはやめました。<br>
    「親として」というような批評的な立場でものをいわず、まなざしを注ぐことで愛情をしめしていくことで、子どもの自立や自尊の感情が育つとありました。<br>
    実際に、ウチのムスメはすこし変わったように思いますよw

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著者プロフィール

1947年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在白梅学園大学学長。東京大学名誉教授。こども環境学会副会長。専門は教育人間学。臨床育児・保育研究会を主宰。著書に『これがボクらの新・子どもの遊び論だ』(加用文男、加藤繁美氏と共著、童心社、2001年)、『「教育」からの脱皮』(ひとなる書房、2000年)、『はじめて出会う育児の百科』(小学館、2003年)、『世界の幼児教育・保育改革と学力』(共編著、明石書店、2008年)など。

「2009年 『子どもの遊び・自立と公共空間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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