〈現場〉のアイドル文化論―大学教授、ハロプロアイドルに逢いにゆく。
- 関西大学出版部 (2020年7月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784873547244
作品紹介・あらすじ
本書は、ゼミ生の卒業論文のテーマがきっかけで、ハロプロアイドルにハマった大学教授が、アイドルの〈現場〉でのさまざまな体験をもとに考察したアイドル文化論です。
いまや日本が世界に誇るサブカルチャーのコンテンツのひとつがアイドル文化です。これを考察したアイドル論自体はけっして少なくはありません。しかしながら、本書は、いわゆる〈現場〉を中心に考察したアイドル文化論なのです。
たとえば、現代のアイドルとは、もはやアイドル本人と「事務所」だけでつくられるものではありません。現在のライブやコンサート、各種のイベントは、ファンが積極的に関与してこそ成立するものなのです。アイドルオタクたちは、インターネット上やSNSでアイドルと交流し、その活動を支えています。
現在では、こうしたファンたちがアイドルと邂逅し、インタラクティヴにつくりあげていく、そのような場所のことを、〈現場〉と呼んでいます。この〈現場〉にじっさいに参加した著者が考察した、数々の貴重な観察記録であることが、本書の特徴といえます。
40代後半ではじめてアイドルに逢いにゆくことになった著者は、Hello! Projectメンバーの稲場愛香さんを追いかけて、彼女が所属するアイドルグループJuice=Juiceのライブやコンサート、バスツアー、リリースイベント、トークイベント、舞台など、さまざまな〈現場〉に足しげく通います。
これらの種々の〈現場〉体験レポートが本書にはたくさん記されていますが、Juice=Juiceが出演するドラマのエキストラに参加した体験談まで収録されています。
アイドルのライブやコンサート公演の観覧をはじめとした「未知」の体験とともに記されるのは、いわゆるハロヲタ(ハロプロアイドルヲタク)と呼ばれる人びととの出会いや交流です。ときにはサイリウムの点灯方法を教えてもらったり、ときにはコレクション商品を交換しあったり・・・・・・。
とりわけ、章ごとに付属する7本のコラム「オタクの肖像」では、著者がじっさいに交流した「ハロヲタ」の人びとについて、詳しくレポートされています。どんな職業についていたり、どのような応援のスタイルなのか、かれらの素顔も非常に興味深いです。
これらの〈現場〉レポートとあわせて、Juice=Juiceが主演したドラマ作品や原作、舞台作品、近年のアイドル自伝、現代のアイドル運営、アイドル文化と日本の高齢化社会との関係なども言及されます。
少し硬い書きかたをすると、本書は社会学の参与観察ドキュメントということになりますが、そのような小難しい専門書のスタイルではなく、読みやすさを重視した体験談風の文体で書かれています。
本書は、現在のアイドルと、それをめぐるファンコミュニティと〈現場〉のありかたを論じることで、現代日本のアイドル文化の実態を広範に論じている、稀有なサブカルチャー研究書となっています。
感想・レビュー・書評
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<ハロヲタの絵日記>
「1年半休養していた推しが復帰した」
そんなニュースを聞いた著者はこう思います。
「そうだ、逢いにゆこう」
現場(コンサートなどのイベントに行くこと)系大学教授のワクワクドキ
ドキなイベント参加レポです!
ちなみに著者は稲葉愛香さん(まなかん)単推ししのため、
内容はほぼハロプロとなります。
※この本は2020年6月出版です。
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所在記号:767.8||モリ
資料番号:10255787
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著者は大学の教授。学生たちが書く『アイドルに関する論文』を教授として指導するため、アイドルとは何かを知っていくうちハロプロ沼に。ライブやイベントで出会う人たちや新しい経験。現場でしか感じることができない感動やファンとしてのやるせ無さなど、推しメンがいる人には共感ばかり。ハロプロの曲や出演作品などは勿論登場し、ついどうゆう曲なのか検索してしまう。
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電子書籍
<学生コメント>
ゼミ生の卒業論文のテーマがきっかけで、ハロプロアイドルにはまった大学教授の話。アイドルやそのファンを書いた本は他にもたくさんあるが、この本は現場でのファンコミュニティなども書かれている、アイドル『現場』をテーマにした一冊。