民具学の歴史と方法

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  • 慶友社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874492499

作品紹介・あらすじ

民具研究(民具学・物質文化研究)などの創始者として位置づけられるモースは〈モノ〉をとおして庶民の文化を理解しようとした。モースは日本民具学の黎明期にモノに興味関心を持つ人に影響を与え、博物館学の礎を築いた。モースが目指すところは、〈モノ〉を収集し保管することでモノが継承され、それにより人が継承され、組織が継承されることである。民具学の歴史(民具学の航跡と業績)第1 文化財保護法とその改正にともない民具研究・民具学が「官」(国の機関)を後楯とした。第2 文化財保護法を基に文化財行政が推進され全国的に堅実な歩み(民俗資料の全国的実態調査)を続けた。第3 博物館法が公布されたことにより博物館の役割(収集・分類・整理・研究・保管・展示)がはっきりし、国庫補助による歴史民俗博物館の設立がなされた。各大学に博物館の専門職員となる学芸員の養成講座が開かれた。第4 民具研究を支えてきた出版社の存在、役割。モースは日本民具学の黎明期にモノに興味関心を持つ人に影響を与え、博物館学の礎を築いた。これまで日本における民具学誕生の黎明期は坪井正五郎をはじめ早川幸太郎や澁澤敬三が生きた時代に求めてきた。しかし、筆者は少なくとも坪井正五郎らに学問的な影響を大きく与えたエドワード・シルベスタアー・モースこそがその始祖にあたると考える。日本民具学が明治10年代に萌芽来期に遡り、それまで、この方面の学問的な興味や関心を養い育ててきた土壌と、そこに醸成され田とみられる「モノ」に対する学問的原因性を跡づけてみる。菅江眞澄・大蔵永常・鈴木牧之をとりあげ現代民具論を展開する。民具研究の新展開、その具体的内容は、比較民具学であり、方法論の確立、発展であると共に民具資料の教育普及活動による活用などである。民具研究の方法は実際「モノ」に即して考察を深めることができる。文献資(史)料(非文字資料・絵画等)を駆使する。「モノ」を実際につくり、使った経験者から聞き書きする民俗調査ができる。民具学の鎖状連結法。一つの民具の持つ要素を調べながら横での広がりを地域を広げてみていくと地域による違いと範囲がわかる。民具学の釣鉤も地域差研究。釣鉤という一つの民具を通して民具研究を行っていくための具体的論の検討。民具とは伝統的な素材を使用し、伝統的な製作(手法)にのっとり、伝統的な使われ方をする。このうち、いずれかを満足できるものを民具と定義する。「残滓民具」「残存民具」「現代民具」使用価値を変化させていくという時系列のなかで民具をとらえ研究対象とする。「民俗学」における「民具学」の扱いを北小浦という海端の事例を上げ日本民俗学における民具研究のあり方を考える。民俗学の研究分野における民具研究は、民具を対象として研究をし、民俗学と四つに組みながらも、その民具を通して過去の人々の生活実態や心意現象を知る事である

著者プロフィール

1936年神奈川県横須賀市生まれ、法政大学社会学部卒業、専攻は海村民俗学、民具学、文化史学、横須賀市自然・人文博物館館長、千葉経済大学教授、日本民具学会会長、文化庁文化審議会専門委員を歴任した。文学博士。2008年旭日小綬章受章。著書:『海女』『網』『人魚』『イルカ』『鮪』『磯』(ものと人間の文化史・法政大学出版局)、『日本蜑人(あま)伝統の研究』(法政大学出版局・第29回柳田國男賞受賞)、『伊豆相模の民具』『近世日本蜑人伝統の研究』『海浜生活の歴史と民俗』『マグロの文化誌』『民具学の歴史と方法』(慶友杜)、『潮騒の島──神島民俗誌』(光書房)、『母系の島々』(太平洋学会)、『城ヶ島漁村の教育社会学的研究』(平凡社・第2回下中教育奨励賞受賞)、『現代博物館論』(暁印書館・昭和61年度日本博物館協会東海地区業績賞受賞)、ほか。

「2015年 『島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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