- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784875024873
作品紹介・あらすじ
アウシュヴィッツ体験を持つユダヤ系イタリア人作家プリーモ・レーヴィの自伝的短編集。アルゴン、水素、亜鉛、鉄……化学者として歩んできた日々を、周期表の元素とからめて語る。科学と文学を高純度に融け合わせた逸品。
感想・レビュー・書評
-
プリーモ・レーヴィはの本は、身近に置いておくべき、、、
工作舎のPR
アウシュヴィッツ体験を持つユダヤ系イタリア人作家プリーモ・レーヴィの自伝的短編集。アルゴン、水素、亜鉛、鉄……化学者として歩んできた日々を、周期表の元素とからめて語る。科学と文学を高純度に融け合わせた逸品。
http://www.kousakusha.co.jp/BOOK/ISBN978-4-87502-487-3.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これはよかったなあ。。。
プリーモ・レーヴィはアウシュビッツ・サバイバーで戦後文筆家として活動し、のち自殺したことでも知られている。
捕らえられる前にはレジスタンス活動に身を投じており、イタリアのカトリック左派文学に近い雰囲気もあるが、レーヴィはトリノ大学を優秀な成績で卒業した科学者で無神論者なので、それらとはちょっと違う読後感だった。
本書はアルゴンから始まる21の元素にまつわる自伝的な短編集だが、空想的な話も混じっている。カルヴィーノ、エーコ絶賛と帯に書いてあるが、イタリア文学好きなら間違いない(理系ならなお)。
アウシュビッツの体験を書いた『これが人間か』を読んでるのが前提だが、そっちよりも良かった。『周期律』は学生時代や戦後の話が多く、収容所の話はあえて避けているようにも思える。 -
-
淡々とした文体と、元素の名による表題が作り出す不思議な律動。そこから時に湧き出る、強い情念と主張。一言で特性を表す言葉を私はもたないが、読後感がいつまでも残る印象的な作品だ。
大きくうねる歴史の中で普遍的な性質をもち輝きを放つ化学との対峙は、高校時代に化学が苦手科目だった私のような人間にも深く刺さる。
淡々とした事実の中にさりげなく情感が織り込まれているためか、読みにくいわけではないのに読み進めては前の頁へ戻って読み直し、ということを幾度となく繰り返した。
読後に寂寥感を感じるのは、著者の最終的な決断を知っているからなのか作品から立ち上るものがあるのか。
なんにせよ、化学に、イタリアに、ファシズムの暗い歴史に興味がなくとも心に何かを残す良質な一冊である。