内なる異性: アニムスとアニマ (バウンダリー叢書)

  • 海鳴社
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875252931

作品紹介・あらすじ

C・G・ユング夫人である著者は、夢や神話、民話、文学作品等にあらわれたアニムスとアニマの典型的な形姿を研究することから、男性の本質、女性の本質を浮彫りににする。そしてこれら内なる異性を認識・承認し、人格全体の中へ組み入れることことこそ、自己実現にとって不可欠の、また現代人にとって緊急の課題であることを指摘する。

感想・レビュー・書評

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  • 「内なる異性」とは「アニムスとアニマ」の意訳。アニムスは女性の内なる男性的要因、アニマは男性の内なる女性的要因のこと。この概念で夢や神話、文学作品を解釈していくところは興味深く読めた。
     ジェンダー関連などで首を傾げざる得ない記述が散見されるので、不愉快に感じる方もいるかも知れないと思った。

  • 先日読んだ河合隼雄の「こころの読書教室」に紹介されていたので読みました。「内なる異性」とは内面人格としてある性の人格要素で、アニマとは男性の内なる女性的要因、アニムスとは女性の内なる男性的要因をさす。本書はその概念やアニマ、アニムスがどのように作用してあるのかを神話や文学作品を引用しながら繙く。一読しただけでは少し理解が難しかったですが、興味深く読みました。語り継がれる神話や昔話が皆似たような構成を持っているのはアニマ、アニムスの点から見ても不思議な面白さがあります。本書を読むと人の持つ性は単一でなく、2つの性が複雑に混ざったグラデーションであり、モザイクなのだなと思いました。またユング心理学自体についても読みたい。

  • ユングを読むついでに、奥さんのエンマさんの本も読んでみる。

    奥さんも本を書いているんだと驚き、読んでレベルの高さにさらに驚く。
    ユングよりはるかに読みやすいですね。特に、女性の内なる男性性(=アニムス)について、ユングさんも、へ〜、そうなんだと感服した内容だとか。

    元型(アーキタイプ)をお勉強中、とくに男性性と女性性の統合みたいなところに現代的な重要性があるのではとにらんでいるところなので、大変、参考になりました。

  • 内なる異性像が集合的無意識の中にあり、それゆえ様々な神話や物語に共通のモティーフが現れるという考え方は、ややオカルティックだが魅力的ではある。
    アニマとアニムスという概念は、極めて本質主義的に見えるし、西洋的なジェンダー規範を無批判に普遍的な男女の差異として固定化するようにも思える。
    このような原型が、模倣や学習ではなく、偶然の一致でもなく、集合的無意識という普遍的な性質であるといえる根拠はあるのだろうか。ある性の主体が理想の異性像を無意識またはそれに近い領域に抱くということはしばしばあるとして、それは模倣の概念でも説明できそうにも思える。
    この枠組みは一面では本質主義的だが、ジェンダー規範を脱構築する手がかりともなる。つまり、人間は男も女も原初的には男性性と女性性が渾然一体とした精神を持っており、後天的にジェンダー規範を内面化することで、マスキュリンな男性とフェミニンな女性が形成される。しかし、それは原初的な性質の一部を抑圧することである。抑圧された異性的性質は、無意識において主体に影響を及ぼす。つまり、男性にとってのアニマとして、女性にとってのアニムスとして。つまり、アニマやアニムスを、社会的な制度の所産として位置づければ、無意識に存在するアニマ/アニムスという概念を、構築主義と両立させることもできるかもしれない。もっとも、規範的な概念ではなくなるけれども。
    社会的な分化作用の働く前の「根源的なもの」を志向するという点では、アニマとアニムスの調和を図る立場には、原始仏教や神秘主義とも共通するものがあるかもしれない。

  • 心理学者のユングの妻が著者。ユングがいまいち上手く説明しきれなかった(河合隼雄氏談)というアニムスについて、詳しく書かれています。
    アニマ/アニムスと自我の統合は、社会的/個人的ジェンダー課題を克服することに欠かせないという点で、ものすごく現代的なこととして捉えることができると思う。

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