人体 5億年の記憶: 解剖学者・三木成夫の世界

著者 :
  • 海鳴社
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本棚登録 : 196
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875253303

作品紹介・あらすじ

「からだは1本の管である」
不世出の天才解剖学者、三木成夫の驚くべき「人間の見方」は、その弟子・布施の筆によって初めてその全体像が姿を現す。「人間の心や体の成り立ち」に関する三木の深い洞察力によって、私たちの体の見方・心の見方が180度変わりますこと、請け合い。

私たち人間のからだは、魚であった時代の名残をたくさん抱えている。たとえば、私たちの顔で表情をつくり、口を開いて声や言葉を発する筋肉も、魚だった時代の「えら」の筋肉が変化したものだ。水中で生活する魚類では、顔面に味覚を感じる細胞が集中したが、上陸に伴い、ヒトでは乾燥を避けて口の中の舌でのみ味覚を味わうようになった。
東京大学の医学部の学生が特別講義を聞いた後に、感動の余り拍手をしたという伝説の解剖学者、三木成夫の話術は、保母さんたちを相手にした一般講演でも笑いが絶えなかったという。そうした絶妙な語り口に、入学したばかりの大学生だった著者も強く惹かれていく。

養老孟司(解剖学者)推薦「ヒトの心と体が、5億年の歳月を経て成立したことを忘れるな。ヒトとは何か、それを知ったつもりでいる現代人の驕りへの警世の思想を三木成夫は持っていた。その三木の世界を理解するための必読の書である。著者の解説が素晴らしい」

感想・レビュー・書評

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  • 生命は5億年前に誕生し、無脊椎動物から魚類、両生類、爬虫類、哺乳類と進化してきた。人体を解剖学的に見る際に、そういった進化の視点を持ち込み、分析、考察した解剖学者、三木成夫(シゲオ)の言葉を分かりやすくまとめた本書。

    人間が受精卵から成人に成長する際に、魚類っぽくなったり両生類っぽくなったりと、5億年の生命の進化の記憶を短期間に振り返っているらしく、地球上の他の生物に多少親近感が湧いた。

    面白かったのが、三木成夫は、「こころ」は内臓の働きから生まれるとして、その基本構造が便意に見られるという事。例えば、膀胱に小便が溜まり尿意を感じ、小便を放出する。その尿意と放出が、成長過程で「不快」や「快楽」として感じられ始め、徐々に「こころ」が生まれるらしい。では膀胱がない魚類には尿意が無いから「こころ」が無いのかな、などと想像し出し、三木成夫の世界の深みにハマりかける自分がいた。

  • セカイ系、心は内臓にある。宇宙空間との繋がり。

  • 心は、内臓にある。
    意識は脳
    心は、意識できない内臓の動き、
    制御もできない。

    交感神経 脊髄
    副交感神経 延髄

    意識できないものがある、
    動かせないものがある、

    知らないことばかりだった。


    心は、管
    5億年も前から、管はある。
    それが、進化の歴史を記憶している。

  • 三木氏自体は、とても面白くこの考え方の違いが頭に焼き付いて離れなくなった。しかしそれを解説文章にした内容が回りくどく意味を感じず退屈。ストレートに書いていたら五星だった。

  • h10-図書館2017.9.27 期限10/11 読了10/10 返却10/11

  • 精密な静止画に広大な時間のスケールをクロスさせ人体をとらえること、人体の細部にわたってこの方法論を徹底して適用することで見えてきた世界を知ることができる。
    ひとつひとつの体のパーツという話題にそって展開するが、どのパーツにも生き物としての折り重なった歴史が溢れている。
    インフルエンザの怠い身体で、いつも一緒にある身体について知りたいという気持ちで読み出したらとまらなくなる。身体はすごい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/750941

  • 著者の布施英利氏による三木成夫先生の解説が秀逸で医学の知識が乏しい自分でも良く分かりました。『内臓感覚』等、三木先生の独特の表現が面白く最後まで楽しく読めました。個人的には論文が仕上がる事なく鬼籍に入ったのが残念です。

  • 請求記号 491.1/F 96

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著者プロフィール

解剖学者・美術批評家

「2021年 『養老孟司入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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