もう一度、投げたかった: 炎のストッパ-津田恒美最後の闘い (幻冬舎文庫 つ 3-2)

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287436

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。かつて、広島東洋カープには「炎のストッパー」と呼ばれた1人の選手がいました。その名前は、津田恒美。病により志半ばにしてその生涯を閉じたのですが、当時を知る我々にとって、彼の雄姿を忘れることはないでしょう。この本は、同名のTV番組を元に彼の生い立ちからその最期までを克明につづったドキュメンタリーです。津田夫人の著書『最後のストライク』と併せて読むのがベストかと思われます。こちらは、様々な関係者の証言を交えていますので、津田さんをご存じない方はまずこの本から読んでみるのが良いと思います。

  • 奥様の手記『最後のストライク』を先に読み、その中でこの本が紹介されていたので気になって図書館で借りた。奥様の手記は短い期間のことを深く描いている。二人が出会ってから亡くなるまでのことなので、闘病・治療のこと、精神面のことがどうしても多くなっていた。この本は津田さんの父や球団関係者、恩師、友人からも取材を行って、生まれた時から高校野球、社会人野球、プロ野球へと、その才能を開花させていった様子、入団してから新人王をとる活躍をみせたものの、怪我に苦しみ手術を行ってリハビリに励みカムバック賞をとったことなどが客観的に描かれていて、とてもわかりやすいと思った。
    とくにバッテリーを組んだ達川から聞くエピソードは興味深かった。
    ちょうど中日の木下雄介投手が27歳の若さで亡くなったと報道された直後だったので、現役バリバリ投手の急逝という共通点でいっそう津田さんのことが思い起こされた。

  •  この本は当時NHKスペシャルで放映され、全国的に感動を巻き起こした、闘病の記録と彼を支えた家族の記録だ。
     津田恒美といえば、ある世代のプロ野球ファンには強烈な印象を残した広島の名ストッパー。彼が出てきたら他球団は負けを覚悟した。唸るような剛速球、捕手の手前で勢いを増してホップする球筋はテレビ画面からでもわかった。
     
     そして、ふてぶてしい顔つき。気持ちを前面に出す。対巨人戦で一塁ベースカバーに入ったときに、走者の駒田の頭をグラブで殴ったことがある。どう考えても津田が悪いのだが、誤りもせず乱闘寸前になった。ほんと、憎たらしい奴だった。
     
     オールスターゲームでは全球ストレートでパリーグの強打者を三者三振をとった。このときはセ・リーグを応援したので、津田の力投に喝采を送った。
     
     ペナント終盤の天王山で、津田の直球を強振した原辰徳の左手小指を粉砕骨折させたことは有名だ。原はそのシーズンを棒に振り、巨人は3厘差で優勝できなかった(優勝は広島)
     とにかく津田は巨人にとっては憎たらしかった。他球団もそうだったろう。
     しかし、いつも強気で傲岸不遜に見えた津田が、自分自身に言い聞かせていた言葉。それは『弱気は最大の敵』だった。
     かつてたった一度の失投で試合に負けた。自分の球に自信が持てず、弱気になったせいで威力がなかった。この経験がが炎のストッパーと呼ばれた彼の投球の淵源となった。それ以来彼は投球の前に必ずこの言葉を心の中で反復した。
     脳腫瘍で倒れたときも、彼はこの言葉を胸に復活を期す。闘病は辛かった。弱気になるときもあった。そんなときも彼はマウンド同様、この言葉で自らを奮い立たした。もう一度マウンドに立つために。
     
     しかし病は深刻だった・・・
     彼が病に倒れ亡くなった時は広島ファンだけではなく、他球団のファンも悲しんだ。
     
     広島の独走で津田を思い出しただけだったが、奇しくも今日、7月20日は津田の命日だった。
     
     たぶん死ぬまで忘れられないピッチャーだ。

  • なんかのフェアで書店の平台にあったので、だいぶ遅ればせながら手に取ってみることに。

    カープのファンではないが、記憶に残る選手の一人。

    淡々とした筆致が良い。

  • 津田投手のファンで、亡くなったのがつらくて、ずっとずっとよみたいけど読めなかった本です。10年以上経ってやっと読めた。
    やっぱりつらくて涙なしでは読めない。
    広島市民球場で津田くんを応援するのが大好きでした。
    強い人。弱気は最大の敵。思いやり。
    息子さんがそっくりで始球式でもテレビで涙しました。
    学ぶべきところがいっぱいです。

  • 感動。感想書こうとしても陳腐な表現しかできないからやめときます。読んでよかった。

  • 元広島カープの津田投手の話。闘病生活は読んでいてつらくなるが、彼の生き様は素晴らしい。奥様の並々ならぬ看護のかいなく帰らぬ人となってしまったが、闘病中に一時回復をみせ息子さんとキャッチボールをするところは泣けました。彼の座右の銘は「弱気は最大の敵」。正にそれを貫いた生涯だったのではないでしょうか。

  • かつて広島カープに「炎のストッパー」と呼ばれたリリーフエースがいた。

    そんな彼の32年の人生が詰まっている一冊です。

    「弱気は最大の敵」

    この言葉は忘れません。

  • リアルタイムで津田投手の投球は見てないんだけど当事の映像とか全身から闘志がみなぎっていて球もすげー速い!
    実際の性格は非常に弱気だという彼は「弱気は最大の敵」という言葉のもと今日も投げ続ける…。
    辛い闘病生活…野球を諦めねばならない現実…そして…泣かずには読めません。……て自分は高校の授業中に読んでたけどね。

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著者プロフィール

 1948年、敦賀市生まれ。
 1970年、NHK入社。大阪局を振り出しに、東京・長崎でディレクターとして番組を作り、東京・広島でチーフプロデューサーとして制作統括。主に教育教養系のドキュメンタリーを担当。
 2005年、NHKを定年退職、NHKエンタープライズ入社。
 2013年、NHKエンタープライズ退社。
 現在、フリーランスのプロデューサー、京都大学文学部 講師。明治学院大学講師。
◎代表作品(テレビ番組)
〈ディレクターとして〉
NHK特集「黒い雨――広島長崎原爆の謎」(地方の時代賞・特別賞、1986年)
NHKスペシャル「世界はヒロシマを覚えているか」(1990年)
〈プロデューサーとして〉
NHKスペシャル「響きあう父と子――大江健三郎と息子光の30年」(国際エミー賞受賞、1994年)
ハイビジョン特集「闘う三味線 人間国宝に挑む〜文楽・一期一会の舞台」(2007年6月、ATP賞ドキュメンタリー部門大賞、総務大臣賞 受賞)
◎著書
『キミちゃんの手紙――ナガサキ被爆女学生の記録』(未来社、1985年)
『もう一度、投げたかった――炎のストッパー津田恒美・最後の闘い』(大古滋久と共著、幻冬舎文庫、1999年)
『テレビ制作入門――企画・取材・編集』(平凡社新書、2000年)
『冬のソナタから考える――私たちと韓国のあいだ』(高野悦子と共著、岩波ブックレット、2004年)

「2016年 『ドキュメンタリーを作る 2.0』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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