男性学入門

著者 :
  • 作品社
3.50
  • (3)
  • (6)
  • (10)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 73
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878932588

作品紹介・あらすじ

アメリカで流行の"男の生き方革命"。京大・大阪大etc「男性学」講義に学生殺到!全国の市民講座で熟年男女に大人気!!初の決定版入門書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 以前TVで押見修造さんの「おかえりアリス」が紹介されていた時、「男を降りる」というセリフが取り上げられていたのを思い出した。
    この本が書かれてから30年近く経った今、男性の生きづらさについて世間が気づき始めている、と思う。
    男女平等とは、性別ではなく能力に応じて、生活に関わる負担を半分こすることだと思う。だから、女性の社会進出と同時に、男性の家庭進出(専業主夫の地位向上)が達成して、初めて本当の平等なのでは、と思った。


    産業革命で、仕事場が家から工場・オフィスへ代わったことが、家庭と労働を二分し、家庭に女、労働は男という役割分担するようになって、性差が大きくなった、という論理が腑に落ちた。


    在宅勤務が普及した結果、仕事と育児が密接していた頃に回帰しているのが面白い。
    奇しくもコロナで働き方が変わったことで、育児と労働を男女で共有する社会に矯正されていくように思った。

  • どうやら男性というのは「黙っていても分かってくれているだろう」という思い込みがあるようで、ろくにコミュニケーションを取らないでも夫婦は強い絆で結ばれており、切っても切っても切れない「自分の半身」であると……何とも人間として認められていない感覚を受ける。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/0000137470

  • 【静大OPACへのリンクはこちら】
    https://opac.lib.shizuoka.ac.jp/opacid/BN15077489

  • ホント読んで良かった。

    「男性学」についてはずっと気になってたけど入口間違えると絶対大コケすると思っていて躊躇しまくってたのだが、
    『モテないけど生きてます』のイベントで本書の推薦があり入手。

    20年以上前の本だが内容は古びていないし
    (社会に進歩がないという意味では哀しいが)
    バランス感覚というかスタンスが絶妙というか。

    草分け的存在なだけに、議論や実践の展開も含めてよく分かるし、
    男性としてのフェミニズム/ジェンダー論へのアプローチも大変勉強になった。

  • 2016/1/29読了。

  • 期待していたよりも多くの発見があって面白かったです。現在学生である自分からすると、この本で触れている「男」はもう少し上の年齢層であって、その年代に染み付いた男性的思考の裏側を理解していっている、という感覚で読みました。
    既に多くの男性が自分たちの現状に疑問を抱き、学び行動しているという事実には正直驚きました。こうした問題を人生の速い段階で知れることは、若い男性にとっても需要なことだと思います。

  • 新しい学問としての男性学、学問としては薄っぺらいですが自分の生き方に直結して関わってくるので大切なのかなとは思います。性別に囚われ過ぎだね。

  • 三葛館一般 367||IT

    著者は日本で最初に「男性学」の授業を京都大学でされ、絶大な学生の支持を得た方です。
    「男性」を論じながら「ジェンダー」についても書かれていて「最近どうも息苦しいな」と感じておられる男性の方に読んでいただきたい本です。

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=31410

  • 自分も読みはじめるまでは全然分からなかったんです。「フェミニズム」とか「女性問題」を男性から見てるのかな?とか。こういう対極に配置して考察していると、えてして対象性の比較検討っていう泥仕合になりかねないと思っていたのですが、実際は違いました。

    労働環境や雇用条件などでの女性差別は、男性を中心とする経済活動を前提としています。その場合、大多数を男性がしめるその環境そのものが、男性自身に何かしらの影響を与えたり、問題化しているのではないか?という疑念から現状分析をおこなった本です。1996年に出版された当時は、この男性から見て、男女両性が働く場所としての労働問題を分析しようという盛り上がりはあったのですね。

    しかし、このときに学問としての発展はなかったとのこと。この四月から改正男女雇用機会均等法が施行され、女性差別禁止から性差別禁止に大きく適用対象が広がりました。この改正を、10年前におきた第一次ブームの知見を借りて、今勉強しています。切り口が新鮮だったのと、考え方を自由にすると当然なことにようやく気付けた自分の脳みそがだいぶ労働色に染まっていたかな?なんて、考え直すこともできたのです。今回もこの本から学べるポイントを整理しておきます。

    ●現代を生きる男性も、いつ誰が言い始めたのかも、その妥当性や効能も精査されていない「男らしさ」や「面子」」(男は一家の大黒柱、男が家を支えるなど)に縛られすぎてはいないか?
    ●社内でのライバル間競争、グローバル市場での企業間競争が熾烈を極める中、男性は『権力・所有・優越』を確保し、増幅させることで、他人に脅かされないように鎧をまといつづける。
    ●企業戦士である限り「鎧」は重要だが、作り上げたキャリア、肩書き、業績は、そのほとんどが退職と同時に自動的に消滅する。つまり、リタイヤして家・地域に戻ったときに、その多くは意味を成さない。返って、そこから抜けきれずにトラブルを起こしやすく、自己中心的になりやすい。
    ●鎧を着脱式にし、仕事をしながらいずれ自分が帰る場所とのつながりを作っておくこと、それには「複顔主義」を意識した生活を送っておくことが重要だ。
    ●性別役割分業は、産業革命にともなう「工場」(労働生産性向上と効率性増進を追求)の完成にともない、老人・女性・子どもを排除した経済システムが構築されたことに起因する。
    ●競争社会で生き延びるには『権力・所有・優越』をできるだけ多くしようとする姿勢は大事。しかし、それだけに染まらず適度な折り合いを心的距離間として保つことが重要だ。

    そんな本でした。男女両方が一緒になって解決すべき問題は多いのに、今まで特にこの労働上の問題については一方が加害者でもう片方が被害者であるという二分法的構造からの切り口や評論も多くありました。それを両性が一緒になって解決していくこと。難しいかもしれません。でも確かに存在する若年・中高年の自殺、過労死。避けられるはずの結末が新聞紙面に踊る世の中。それを変えていく一つのアイデアがこの本にはあると思います。約10年前の1996年に出版された本とは言え、それを今でいうダイバーシティや、ワークライフバランスなどの言葉に繋がっているのではないかとも思えるのです。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

京都産業大学現代社会学研究科教授、同ダイバーシティ推進室長

「2022年 『マスキュリニティーズ 男性性の社会科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊藤公雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×