- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784879191625
作品紹介・あらすじ
コッポラの「地獄の黙示録」の原作であると同時に、ポストコロニアリズム論にもしばしば登場する、二十世紀、英語圏諸国の大学で教材として最も多く使われた英文学屈指の名作、半世紀ぶりの新訳。原文対比の詳細な註釈、現代におけるこの小説の社会・思想的意味を鋭くえぐる小論考。本書をめぐる過去半世紀の膨大な研究・評論などを踏まえての緻密な2部構成の訳註、この小説がはらむ社会・思想的問いに焦点を絞った小論考「あとがき」にも注目。
感想・レビュー・書評
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原題はHeart of Darkness.
心の闇がテーマである。アフリカの奥地、未開発の地に行くことになったマーロウ。奥地で支配しているクルツ。自我、自分の欲望?に求めが極限まで到達すると、人間性を失ってしまう。(テーマ?)Oh Terror!(地獄だ!)
ホロコーストを考える。
欧州列強国のアフリカ植民地化は、歴史上で“悪”とされていない。アウシュビッツは悪となっている。(原爆に至っては俎上にも上らない)。本書が暗示しているものは、ベルギー・レオポルドⅡ世のコンゴ支配による大量虐殺である。テーマは重い。
ピアノ鍵盤の象牙、自動車のゴム。
地獄の黙示録は(コッポラ)は、本書の映画化である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夜の飛行機の中で読了。
読んでいる間中、頭の中ではドアーズの「The End」のイントロが流れ続ける。
ジャングルのけだるい暑さのようなだらだらとした文章がねっとりとからみついてくる。じわじわとくる文章。これはホラー小説なの?
具体的には描かれない虐殺の空気。主人公の嘘、まあ、隙間の多い小説なのでいろいろと読み取れるのだろう。罪?狂気?
J.G.バラードの小説と雰囲気が似ている。
ヒトラー登場のほんの数十年前に行われたアフリカのコンゴの大虐殺、その事実はまったく知らなかった。 -
自分の英語力を棚に置いても原文で読みたい!と思った。最初は訳注がわずらわしいと思ったが、訳注第二部を読んでその面白みにはまった。コンゴの大虐殺、人種差別の歴史について改めて考える機会となったことにも感謝する。
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植民地小説であって、象牙を売買しているクルツを自分が訪ねていく話である。
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大学2年の《英語圏の文学・文化》という講義で読んだ。あわせて映画『地獄の黙示録』見た。どちらも難解であったが、ベルギーやコンゴが自分に関係のない場所と思えなくなった本であった。
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英文学史上屈指の名作とされ、20世紀の英語圏諸国の大学で教材として最も多く利用された文学作品。夏目漱石も深く傾倒した作品だと云われる。
植民地時代のコンゴ河において先の見えない冒険を展開し、植民地支配の闇であったり人間の抱く闇を描く。
序文やあとかぎにもあるように、本作は小説の内容以上に白人による植民地支配の様子を強烈に描いている。ベルギー皇帝レオポルド王によって私有地化されたコンゴ、背景に存在するボーア戦争…植民地支配によって自らの信仰さえ曲げられたアフリカ原住民の様子や神となった征服者の心理の両方が強烈に小説の中に介入している。 -
原題は「Heart of Darkness」。この本で西洋文学のレポートを書こうとしたけれど、上手くゆかずに断念してしまった。
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確かに、
中野訳よりわかりやすい。
既訳の誤りも、恐らく、ーまあ確かめる予定はないけれどー
訳者の言う通りなのだろう。
しかし昨今の(もう終わったのかもしれないけれど)新訳流行りには
若干苦々しい気持ちを抱いているので、
そういう意味では素直に受け取れない。
と、前提を書きつつも、
結果こそ全て、
であるのも事実。
で。
前述の通り中野訳より文章が平易でわかりやすいけれども、
中野訳は格調高い文章で作品の雰囲気をよく伝えている。
飽くまで好みの問題だけれど、
私は中野訳の方が好きかなー。
なんとなく漠然とした語り口はコンラッドの意図したことでもあるので、
それを忠実に再現しているのは中野訳の方だとも思うし。
今回は家庭教師先の生徒の教材だったため
中野訳とともに読んだが、
そうでもなければ買わなかったと思うし
内容的にも、中野訳を既に読んでいた私としては
改めて読む必要はなかったかな。 -
読んでいて 不愉快な本だけど これが 英文学を学ぶ人の 教科書 なんだとはなぁ