- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784879191694
作品紹介・あらすじ
オックスフォード大学社会学研究員の手になる初めての、外国人が見た本格的な日本の犯罪シンジケートに関する学問的研究。暴対法の導入は国家とヤクザ集団との伝統的な関係を変えたが、果たしてそれは市民社会の安寧に寄与しているのか。豊富な取材と関係資料を縦横に駆使した注目の話題書。
感想・レビュー・書評
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海外研究者による暴力団研究。
参与観察、文献研究から得られた知見は非常に貴重である。
主張して、暴力団対策法が「行政裁量」の拡大を意図した法律であり、他国の組織犯罪を取り締まる法律に比べては弱いとする意見は興味深い。
それでも、暴力団は弱体化していき(民法、刑法を用いた暴力団追放運動)、警察権力の肥大、海外犯罪組織との競争などで、暴力団の私的市場は縮小していくだろうと筆者は予想している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サブタイ「ヤクザと法と国家」が全てを顕しているような気がする。結局、この国は、現状、暴力団が存在しないと成立しないシステムになっていることを再確認した感。つまり、警察の治安維持の出来無さ――司法の硬直化――それに加え企業のコンプライアンス意識の低さ――それらを暴力団が補完しているというシステム。
暴対法以降、その構図は随分変化してきたように書かれてはいるが、本質が変わらない以上、根本的な解決(?)は成されないだろう。 -
日本のマフィア=暴力団についての社会学的研究の書。戦後、暴力団の復興の歴史から歴史から経済的な活動内容、警察との関係や暴力団対策法成立以降の状況まで、幅広いテーマが扱われていて暴力団についての基礎知識を得るには適してる。データの取り扱いも慎重で、文献も幅広く扱っている点は好感が持てる。ただ、訳出まで5年の歳月がかかっているので、近年起きた大きな変化を扱えていない点が惜しい。、あた、暴力団対策法と他国の組織犯罪法との比較がとりあげられているなど、全体的に比較法学的な色彩が強い部分もあり、ジャーナリスティックな視点を期待すると肩すかしを食うかもしれないので注意。参考文献を見ると、日本の書籍が警察関連と法律学の論文と溝口敦や宝島者をはじめとしたジャーナリストの書籍しかない。この手の研究ってほとんどされてないのかな。