「生きづらさ」の時代: 香山リカ×上野千鶴子+専大生 (SI Libretto 4)

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  • 専修大学出版局
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784881252499

作品紹介・あらすじ

心理と社会の双の視座から日本人の「生き心地」を学者・論客、現役大学生らがいま、熱く両断する。

感想・レビュー・書評

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  • 香山リカと上野千鶴子の対談ときたら読むしかないでしょ。入手しづらかったので図書館で借りて読みました。心理学と社会学の外側、内側から現実社会での今の問題を読み解くアプローチは引き込まれます。時折ナイフのごとくスパッと切り込む上野千鶴子に対して、風の流れるような香山リカの対談はやはり満員御礼であったようです。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:361.04||I
    資料ID:95110328

  • 香山リカ・上野千鶴子・専大教授、専大生による講演、ディスカッション。

    香山さん=精神科医、上野さん=社会学
    という違いを上野さんの講演内で違いを説明してくれていて面白かった。
    130年記念講演だったという事だけど、専大やるな。
    専大・専大哲学・倫理学教授の大庭健さんによる反撃(否定的ユートピアの話など)も面白かったです。

    しかし、スターはやはり上野さんに尽きる気がする。対談などでも、他人が「まあこういう機会なので穏やかに行きましょう」と日本人的な暗黙の了解をうっちゃって持論をキッパリ行っちゃうところ、問題はあるとしてもやっぱりスゲーナーと思ってしまう。異質でもある。
    ただ、他の本などでもいきなり個人名を挙げて叩いたりするので(その前に叩かれた私怨なのか?と思う向きもあり)、「オイオイ大丈夫か」と思ったりする。ヨソでやれ、という事にはなるのだけどヨソでやってる暇なんかないのでこういう場所や著作でガンガン行ってしまうんだろうな。ともかくコワい人ではあるが「私はうつにはならない」と言ったくだり、そうでしょうとも。ある意味羨ましい。

    自分の講演では優しい物言いだった香山さんが、ディスカッションに入って上野さんに釣られて論調が本音トークになって行くのも面白かった。最後、朝生に出た話とか、菊池誠さんとの対談「信じぬものは救われる」(これ、面白かったのでもっかい読みたい)で出ていた水の話などし始めてニヤッとしてしまった。でも時間切れで終了。

    その後の専大生のディスカッションは、前半でイイ大人たちが好き勝手言っているのに対して真面目に生きやすい世の中にしていこうという事を語り合っていて、学校のイベントで理想論を語っているにしてもある種清涼剤のような役割を果たしていて良かった。

  • なかなか濃い二人だなと思ったものの、シンポジウムでの講演をベースにしているためさらっと読める。ネオリベラリズムと境界性パーソナリティという二つの軸、さらに無条件の承認という三つを軸に論が展開。現状把握向き。
    専大生の座談会は正直必要なのだろうか、と思わなくもなかったが本書で取り扱っていた「生きづらさ」の問題が主に若者を焦点としていた(……が、実際会場には若者以外も多かったため介護の話にも言及)ため必要だったのだろう。座談会という性質からか、上澄みだけのような感じもする。

  • 専修大学で行われたシンポジウムがもとになっている。「生きづらさ」を心理の問題として捉えるのと、社会の問題として捉えるという2つの視点から語ってもらうという意図から、香山リカと上野千鶴子がパネリストとして呼ばれている。

  • 生きづらさの原因、人間や社会について知れば、多少なりとも乗り越えていける。

    上野先生が全部答えを言っちゃってる感じ。そうしたんだから、こうなるのは必然でしょって。

  • 講演も学生の座談会もとっても面白く、勉強になった。

    が、ボリュームが足らん。
    特に座談会。

    あと、学生の座談会に対する香山さんや上野さんの感想も聞いてみたかったかな。

  • 上野千鶴子さんの話が最も説得力があって興味深かった。さらに深い話を聞いてみたい。若干物足りない内容。ただ、女性の労働力の話や、自己容認の水準の高さ、幼稚性な話について理解できたとともに、まさにその通りだと思った。もちろん私たちが生きてるこの社会全体が生きづらくしている原因なのだろうが、自分自身で生きづらくしている面も少なからずあると思う。少し視点を変えてみて、生きづらさについて考えられるくらい生活にも精神的にも余裕があるんだ、自分で自分はこのくらいできれば充分なんだ、と考えられるようになれれば、もっと楽に生きていけるんじゃないかなあ。

  • 講演内容をまとめたものだから読みごたえはないな。
    可もなく不可もなく。
    今更「生きづらさ」ってタイトルにするか…?という気もしなくもない。
    後半は、学生の座談会が収録されてます。

  • いつもながら、上野千鶴子の語り口はスパッとしてて、おみそれしました~って感じ。無条件の存在承認などこの世にない。いるとしたらそれは神でしかない。安全や信頼のために「無条件の存在承認」なんてなくてもええやないかと。そこそこ、ほどほど、の承認さえあればいい。
    今の若者が弱くなった原因ははっきりと少子化。少子化の結果の幼児化。幼生化。低い自己肯定感ど高い自己実現欲求の組み合わせ。無力感と全能感の組み合わせ。これこそは幼児性の特徴。
    成熟しなくても生きていける社会をつくったのが文明の証。

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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