十六の墓標 上―炎と死の青春

著者 :
  • 彩流社
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本棚登録 : 115
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882020349

作品紹介・あらすじ

連合赤軍事件の悲劇はなぜ起こったのか?  一人の女性が政治の奔流を疾走し、その深淵に落ちていく姿を、出生から青春時代を通し克明に綴った生と死の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 連合赤軍関連の本を何冊か読みわかったようなわからないようなモヤモヤした感じがしていたのが、この1冊でとてもクリアになった。
    まず、最初に気をつけないといけないのは、この本の内容を額面通りに受け取ってはいけないということだ。あくまで永田洋子という人の主観であり、時には自分に都合のよいように記憶の操作もなされているということを意識しないといけない。ただ、それを差し引いてもこの本は永田洋子という人を赤裸々に表現していて面白い。
    この本にみられる永田という人は女性闘士とはおよそかけ離れた存在である。今時であれば「不思議ちゃん」の一言で片付けられてしまいそうである。難しいことを言われると「わからない」と当惑し、強硬に迫られると困って泣いてしまうような存在だ。
    全編執拗に語られるのは「性愛的感情」についてだ。性的なものは避けるべきものだという幼少時代に植えつけられた性向により、頑ななまでに性愛的感情を拒絶するし、そもそも理解ができない。このことが全ての悲劇を生んだといってもあながち間違いではないだろう。
    連合赤軍の一連の事件は、政治的事件でもあるがそれ以前にこの人のかなりずれた感覚によるものも大きいのではないかと、そう思った次第だ。

  • 山岳ベース事件などを起こした中心人物の一人、永田洋子氏の一人語り。
    本人の見解には納得できない部分も多く、また若いとしかいいようがない感覚も多く見受けられ、16人(これがタイトルの由来)も殺害した人間の頭の中かと思うとやりきれなくもなります。
    ヒロイックな部分もあります。

    一方で、極力誠実に出来事とその時の自分の思考を記そうとする姿勢は伝わってきて、教訓とすべき内容が多いとも感じました。

  • 連合赤軍のナンバー2・永田洋子の自叙伝。上巻は著者が左翼運動に参加するまでの生い立ちや、後に大量の死者を出す山岳アジトを設立するまでのいきさつがメインで、まだリンチシーンは無し。

    ダイナマイトを調達したり銃砲店から銃を奪って指名手配になったり、テロリストとして過激な活動をする一方で、山岳アジトで飲み会を開催するなどわりとほのぼのとした場面もあったことが印象的。

    何人かの連合赤軍関係者が著書を発表しているが、この作品は結構読みやすい方だと思った。左翼的な思想というより、その時その時で感じたことがストレートに書いてある感じなので、分かりやすかった。
    ただ、著者の元夫曰く著者の話は客観性を欠いている事も多々あったらしいので、他の関係者の著作と読み比べる必要はあると思うが。

    事件後、マスコミから「鬼婆」と呼ばれた著者だが、中絶手術を受ける時に夫から「中絶には立ち会ってやる」と言われてホロリとするなど、人間臭いシーンもある。

  • 日本という国にいながら、全く異なる法律や文化の組織を作る事ができる。オルグする事ができる。そして人間は、国家を横目に、その組織の論理を優先させる。その中では、脱落者に対する殺しすらも正当化されたのだ。革命左派や、連合赤軍のイデオロギーは、稚拙だ。永田洋子が、ドキドキしていた活動は、まるで学生のサークル活動のようなもので、全くイデオロギーを純化させ、見つめ直すような集団の中での洗練が為されないまま、目的が必要を生み、必要が手段を強制し、強制されるがまま、動いている。目的は正しいか?集団になると、この心変りは、組織の結成や規律、維持において致命的だ。従い、低い知識レベルで目的を設定してしまった集団は、その組織の強制の中で過ちを犯すのだ。悲しいが、そんな事を感じさせられた。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(立花隆選)75
    共産主義思想
    連合赤軍事件。思想に殉じることの危険性を知るべき。

  • 警察など外側からの情報ばかりを読んでいた。
    内側の人が何をして、何を考えていたのかを知りたかった。
    狂っていたわけではなかったならば、どうして総括の名の下悲劇的なことが起こったのか。上巻は永田洋子の生い立ちから森との接近が記されている。

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著者プロフィール

1954年生まれ、「永田農法」創始者・永田照吉治の長女。アグリナガタ代表。
1976年 株式会社日本緑健(現・りょくけん)入社。鉢植えでの永田農法のアドバイザーに従事。
永田照吉治名義の著書の一部を執筆協力に携わる。
野菜研究家としてインドネシアで野菜栽培技術指導の他、2005年からJICA嘱託として東ティモールの農業技術指導に携わる。

「2008年 『永田農法でつくるベランダ・屋上菜園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永田洋子の作品

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