- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882023388
作品紹介・あらすじ
戦後史で衝撃的な事件として記憶に新しいあさま山荘銃撃戦の当事者が、沈黙を破って20年ぶりに筆をとり、内側から当時の状況を克明に描く。著者は連合赤軍事件全体に係わっており、その詳細な証言は貴重な歴史的遺産となった。
感想・レビュー・書評
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上・下・続と全てを読み、つくずく思うのは、あさま山荘事件・山岳ベース事件の犯人である著者は、至って普通の人であるということです。
しかし、どこをどうすると大量殺人に踏み越えて行けるのか、彼の精一杯考えたであろう推測によると理論先行ともいえる訳ですが、そうなると人間の論理性、地球上の生物が唯一持つであろう論理的思考というのが恐ろしくなります。
ご遺族の気持ちや、法律はあるのですが、やはりこの人には命尽きるまで振り返り、再び書き続けて欲しい。 -
「続」は山岳ベースでのリンチからあさま山荘事件までの出来事、逮捕されてから死刑確定するまでの裁判の事などが書かれている。
元妻・永田洋子について、森に追従してリンチを主導したことを許しがたいと感じる一方で、病気でフラフラしている彼女の姿を見て「憐憫の情を禁じ得なかった」という相反する思いを書いていることが印象的。
ともに死刑が確定した時に永田にかけた「あんたも頑張りなさいよ」という言葉からは、リンチの主犯格としての責任を果たせという叱咤と、元妻である永田を気遣う気持ちが混ざった複雑な胸の内を感じた。 -
山岳ベースに移動したあたりから、似たようなはなしを読んだな、と記憶をたどって、先日読んだばかりの『白鯨』だと思い至った。狂気のリーダーに率いられた集団が、国家権力(モビーディック)に戦いを挑み全滅する。革命理論(鯨学)の説明が、全編にわたって書き込まれ、読みにくくて仕方がないこと。
著者は八年の時間をかけてリーダー森恒夫の残した文章を理解しよう努めている。森は妻永田洋子を寝取った相手なのに。不謹慎かもしれないが『蒲田行進曲』のヤスを思い出した。
他にもいろいろ思い浮かぶことがあり、ある時代の特殊なひとびとの暴走で済ませられるものではなく、何度でも参照されるべき本だと考える。 -
赤軍派とか総括とか、処刑とか。
なんだかどうして石油ショック前にこのような事件が起きたのだろうか。
当時の事件にかかわった人たちが、今60歳代。何を考え、どう生きているのだろうか。 -
あさま山荘に関わった連合赤軍の幹部の直筆。トップの2人森・永田はあさま山荘の前に逮捕されている。
この1連の事件で印象に残るのはなんといっても、リンチ殺害事件(内ゲバ?というのか)森の理論はやたらと難解というか、屁理屈というか、その組織に浸かっていないとわからない(実際には内部の人間でも理解できていない)有様で読む気にはなれない。
それにしても仲間たちを本当に惨く殺害しており、その理由というのも幼すぎる。メンバーたちはみな30前の若い人たちだが・・・
田原総一郎のオームとあさま山荘というような本があると思うが、似た事件だと思う。著者の人間の精神力は想像するほど、強靭ではないという言葉が印象的。実際死ぬ恐怖を前にしたら、人間弱いものだと思う。 -
遠山美枝子さんのくだりは映画で観たとおり(というか逆ですね。この著述を参考に映画を撮ったのだろうと思う)。
こんな馬鹿なことは今すぐやめろ!と何度も叫びたくなった。もう起こってしまったことだけど…。そう思わずにはいられない。