- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883863549
作品紹介・あらすじ
朝、櫂は知らない部屋のベッドで目が覚めた。ついさっき、眠りにつくまで櫂は十八歳だった。しかし窓に映る自分の姿は、どう見ても高校生には見えないほどくたびれていた。「現在のおまえの年齢は35歳」…枕元に置かれたファイルにはそう書かれていた。戸惑う櫂の前に現れたのは、ツダと名乗る見知らぬ男だった。男に自分の「ハウスキーパー」だと告げられた櫂は驚くが…。-永遠に繰り返されるせつなく甘い愛の物語。
感想・レビュー・書評
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きれいなお話だったし、作者さんがすごく力を入れて書かれたのがわかった。
私は二人の姿を幸せだと思えず、最後に何とも言えない気持ちになった。物語の最後は二人の幸せそうな姿で締めくくられていても、今後のことを考えると辛すぎる気がする。
そもそも序盤、Hシーンから受の逃走までの攻の行動に賛同できず、本から心が離れてしまったので資質がなかったのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
記憶喪失モノです。そしてそれは、13分ごとに忘れてしまう前向性健忘という障害で、以前テレビで知った時には難儀な病気だな、家族はさぞ大変だろうなと思ったけど。
この作品は障害そのものについては多くを語っていないし、医者も登場しません。それよりも、13分の関係になってしまった攻と受の心情がメインで、痛くない読後感。BLということを、きちんと意識してる筋立てです。
攻である津田が、13分の中に込める深い愛情、これが切々と伝わってきます。あとがきに「前向きな攻め。納得いく感じ」という新聞の見出しエピがあったけど、津田はまさしく「前向きな攻め」そのもの。決して悲観することなく、ひたむきに楷を愛し続けている男です。
もちろん、すぐに記憶を失くす楷のために大変な苦労をしています。監禁男呼ばわりされたりしても、憤ったりしません。逆にファイルを見せることを怠ったことを謝罪する津田に涙しました。
「誰ですか」と毎度尋ねられたり、津田の胸の内を思うと同情しますが、それでも楷のために工夫を凝らし、時には悪気ない嘘もつきます。そのひとつひとつに楷への思いやりや愛情が感じられて、胸打たれます。
記憶をすぐに失くす楷の視線で描かれているので、彼の気持ちがリセットされると同時に、読者もあれ?という感じで状況すぐには飲み込めず焦るのも面白いところ。楷の気分です。それにしても、津田はハウスキーパーになったり、監禁する悪い奴になったり、大変です。そこも、悲壮感なしで描かれているのがいい。
楷が、初心になったりエロくなったりする様もうまく描かれています。
楷って過去にどんな生活していて、成功した男だったのか、どうして津田と恋人同士になったのか、詳しいことが説明されてないのがじれじれするところ。たまに津田が楷に説明するのもなんだか真実なのかどうか謎だし。二人の暮らしぶりがとても気になる話です。しかも、恋人同士らしくデートしたりHしたり、小刻みな時間の中でえらく充実したラブラブ生活を楽しんでるのがすごい。
忘れるから倦怠期は皆無。Hが何回でも楽しめる、と前向きな津田はさすがです。
せつなさはあったりするけど、意外に愛があふれていて、とても13分で忘れてしまえるようなストーリーじゃないですよ。 -
会うたびに俺は恋をする。
13分間しか記憶をとどめておけない男・櫂、その男を愛し続けるツダ。
ふたりの長い長い1日を書いた作品。
せつなく甘い愛の物語、タイトルも素敵。 -
前向性記憶障害と、逆向性記憶障害を患う受けは13分しか記憶がないという……。
恋愛するのも大変だろうな……と思うのでした。
ちょっとシーン展開が細かいので☆4つ -
再読。
今回、回収されずに散りばめられたままの色んな謎が気になったりした。
櫂の財産とか、事故のこととか諸々。
でもまあ、やっぱし泣いた、所々。
妹との電話とか、記憶の扉を開けるところとか、魔法の話とか。
やっぱ名作だと思うんだな。 -
切ない。
13分ごとに状況が目まぐるしく変わっていき、それに応じ優しい嘘をつきつづける攻。
主人公の18歳からの人生や職業がまったくといって分からないけれど、その謎もこの作品の魅力。
ほとんど謎のままで終わる物語の読後感もまた切ない。 -
★4.5。最初の1ページの夢のくだりから泣いた…。うううおー…辛すぎる!コレ!いやー。切ないってレベルじゃない…。辛い。攻の気持ち考えたら、いっそご都合展開で奇跡的に記憶戻ってハピエンになればいいのにと思った。愛する人に殴られ逃げられるなんて…辛すぎる!辛すぎるので次は明るい甘々が読みたい。あるかな。探そう。あー辛い。魔法で記憶が戻ればいいのに。読み終わる頃に『明日も愛してる』というタイトルの重さにハッとして更に泣いた。