ワケありな国境―教科書には載っていない!

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  • 彩図社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883926374

作品紹介・あらすじ

西アフリカにある国境空白地帯とは…?
中国がチベットを手放さない本当の理由とは…?

世界の奇妙な国境線、その秘密を解き明かす!

感想・レビュー・書評

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  •  「教科書には載っていない!」なんてサブタイトル的なのが付いてますが、明らかに言い過ぎ。例えばイギリスの三枚舌外交によるパレスチナ問題など、普通に載ってるでしょう。

     載ってないのは載せるほど重要じゃない話と、現在進行形で結果が定まってない話だ。ちょっとした話のネタ集にはなりますが、特別勉強になるほどでもないと思いました。

  • タイトル(ワケありな国境)に魅せられてこの本を手に取りました、現在確定している国境というのは100年前かそれ以後に合意されたものが多いと思います、この本では国境が決定された経緯をその過程(歴史)を含めて記されています。今後、地図を見るのがさらに楽しくなりそうです。

    以下は面白かったポイントです。

    ・アメリカ政府はインディアンの土地を1エーカー(1200坪)あたり1セント(現在価値で12円)で購入した、インディアンからの反発は軍事力で抑え込み、1845年にテキサス州を併合した(p14)

    ・アメリカ50州には合衆国への加盟順序に応じて番号が振られている、1番:デラウェア、ペンシルバニアから始まって13州のロードアイランド州、17:オハイオ、28:テキサス、49:アラスカ、50:ハワイ等(p15)

    ・1867年にアメリカはロシアから720万ドル(5ドル@1平方キロ)で購入した、当時の税収の1割程度、現在価値では9000万ドル=100億円である(p19)

    ・キューバのグアンタナモ湾をアメリカが基地として租借する条約を1898年(米西戦争後)に交わし、アメリカが放棄しない限り永久租借(領土)となった(p37)

    ・1807年にナポレオンがポルトガルに侵攻したとき、ポルトガル王室は南米のブラジル逃げて、1821年まで滞在した、1822年にブラジルは独立、ラテンアメリカ各国は1811-1830年頃に相次いで独立(p42)

    ・植民地時代のイギリスは本国に拠点を構える企業の税金は高く、植民地拠点の場合は安かったので、次々と(1906年の裁判所見解後)本拠地を植民地へ移した(p46)

    ・1949から1960年までに250万人もの東ドイツ国民(4分の1)が西ドイツに亡命した(p58)

    ・ヨーロッパで吹き荒れた宗教改革後の1534年、イギリス王家はプロテスタントへ改宗した、ヘンリー8世が自分の離婚問題でローマ教皇と対立してカトリックから離脱したため(p70)

    ・国連海洋法条約(1967年提唱、1982年採択、1994年発効)では人工的に作られた土地は領土として認められないが、オランダは13世紀から埋め立て地を作ってきたので問題なし(p87)

    ・グリーンランドは1979年に自治領に格上げされたが、それまではデンマークの植民地(本国の50倍:216万平方キロ)であった(p103)

    ・イギリスはパレスチナ問題に対して三方に異なる提案をした、1)フランス:中東全体を英仏で分割、2)アラブ:アラブ王国を樹立、3)ユダヤ:ナショナルホームの建設(p135)

    ・1914年のアフリカは、英仏べ独西ポ伊で分割されていた、植民地分割の原則は、沿岸部を支配している国が、後背地も自動的に所有可能となったので国境が直線となった(p142)

    ・スペインは1975年には西サハラから撤退したが、セウタとメリリャは手放していない(p149)

    ・アメリカ植民協会の活動は、南北戦争が終結するまで続けられ、その間にリベリアに解放奴隷が1.4万人程度送り込まれた、彼らはアメリカ文化を身につけており先住民に差別的な態度で臨んだため、問題が起きた(p164)

    ・中国の90%以上は漢民族であるが、国土の35%を握っているのみ、少数民族10%が国土の65%を握っている(p171)

    ・タイは独立を保つことはできたが、その代わりとして、1786~1909年にかけて、イギリス・フランスへかなりの領土の割譲を余儀なくされてきた(p201)

    ・日本の排他的経済水域(沿岸から200海里:370キロ)を考慮すると447万平方キロ(世界6位)であり、アメリカ(762)、オーストラリア(701)等と引けをとらない(p221)

    ・日本が植民地を逃れた理由として、1)周囲が海、2)強力な軍事力、3)安定した社会、4)列強が忙しかった、である(p224)

    ・1943年1月の日本の勢力は、シンガポール・フィリピン・マレー半島、インドネシア・満州国・中国沿岸部等、広範囲にわたっていた(p227)

    ・南樺太部分が空白なのは、ロシアのサンフランシスコ条約の態度である、参加したが会議の無効(中国不参加)を訴えて署名しなかったため、つまりロシアは日本が南樺太の放棄を認めていないから、日本の領土でないのは事実であるが、ロシアの領土にもならないという理屈(p236)

  • 非常に勉強になった一冊です。

    飛び地や植民地などそれぞれちゃんとした歴史があることを
    この本から学べるような気がします。
    日本というのは至極平和なんだろうな、と思った。

    何度でも読み返したい一冊。

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著者プロフィール

1967年生まれ、福岡県出身。出版社勤務などを経て、フリーライターとなる。歴史の秘密、経済の裏側を主なテーマとして執筆している。主な著書に『ナチスの発明』『戦前の日本』『大日本帝国の真実』『大日本帝国の発明』『福沢諭吉が見た150年前の世界』(ともに彩図社)、『ヒトラーの経済政策』『大日本帝国の経済戦略』(ともに祥伝社)等がある。

「2022年 『吉田松陰に学ぶ最強のリーダーシップ論【超訳】留魂録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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