- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884749668
作品紹介・あらすじ
日本人の精神を養ってきた名著の数々をわかりやすい現代語訳で読むシリーズ。世界的ベストセラー『武士道』が158分で読める。
感想・レビュー・書評
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表紙に「158分で読めます」と書いてあるが、とてもではないが158分で読むことはできなかった。文字を目で追うだけで「読んだ」ということになるのなら可能かもしれないが、書いてあることを理解することはできないのではないだろうか。
さて、本書「武士道」は、英語で西洋人に向けて書かれた本なので、西洋人が当然持ち合わせているキリスト教などの西洋文化の知識や感覚と比較しながら、「武士道」についての説明を試みている。だから本書は、日本人より西洋人の方が理解しやすい本である。私は、キリスト教や哲学、西洋文化の知識はある程度持っているので理解することができたが、日本人でそれらの知識の下地がなければきちんと理解することは難しいだろうと感じた。
「西洋人向けの本なので、私たち日本人が読むような本ではないのだろうか?」と問われたら、「いや、読む価値は十分にある」と自信を持って言えるしっかりとした内容である。だが、やはり、「主に道徳感について書かれた本なので、西洋人の道徳観の基になっているキリスト教や聖書に関する知識がないと、難しいかもしれないよ」と一言付け加える必要性を感じる。
新渡戸稲造は、「廃藩置県の交付によって武士道は死んだ」というようなことを書いているが、後世の我々から見れば、まだ戦前までは、武士道精神が残っていたように見える。だが、戦後、西洋的な個人主義や利己主義にすっかり馴染んでしまった、現代に生きる私たち日本人の心の中に、一片でも武士道精神が残っているのだろうか?
キリスト教的な道徳観が連綿と続いている西洋と違い、現代の日本人の道徳観の拠り所はどこにあるのか?
武士道的な道徳観はとっくの昔に忘れ去られ、損得勘定、功利主義が意思決定の拠り所になっているのではないだろうか。本書を読んで、我々の道徳観や意思決定の拠り所を考えてみるのも一興である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本の存在は知っていたが、初めて読んだ。原書が英語だったことも知らなかった。
外国人に説明するために書かれたことが重要。そもそも、当時の日本人が日本人相手にこのようなテーマの本を書くことは思い至らなかったのではないか。
正義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義。中でも、忠義が強烈だった。(「切腹」の描写も。)時代が変わっても、終身雇用システムの中にその流れが見えるように思える。
「武士道」かどうかは知らなかったが、考え方に基本的に違和感なく、日本社会に脈々と引き継がれていることを感じる。 -
旧5千円冊の新渡戸稲造の著書で、元々は海外の方に武士道を知ってもらうために英語で書かれた本を現代語に翻訳したものです。
武士道の細かく規定された礼式は、長年の観察から「最も適したものである」として生まれたもので、力を休ませておくことができるという指摘はなるほどと思い、昔からの馬鹿にできないと思いました。一方で、他人に尽くすことや自己犠牲の精神は個人を大切にする現代には少し合わなくなってきているのかなと感じました。 -
読みやすい。158分で読めるというサブタイトル。
日本人の精神的背景である「武士道」新渡戸稲造が書いた本を読みやすい現代日本語にした本。
欧米列強に肩を並べようとしていた時期に、
野蛮な文化(武士の時代)からなぜ日本は追いついてきたのかという問いに対し、野蛮ではなく、崇高な精神基盤としての武士のあり方を解説した新渡戸稲造。よくまとまっていて、今の日本人が日本の精神背景を理解するによし。 -
ルールのない時代に、自分の理想像をいかに作るか
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岩波の武士道を読んだ後に読んだ。
単純に文章を現代語に訳しているだけじゃなくて、かみ砕いて分かりやすい文章にしてくれててすごく読みやすかった。 -
義、仁、勇、礼など。あまり考えたことのない概念について論じられており、ついていけなかった。
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武士道という日本古来の精神を語る内容かと思っていたけど、国際的に活躍された新渡戸稲造さんらしく、古代哲学、儒教、キリストはじめ各宗教との共通点に触れながら、普遍的な人間としての徳、精神を説いている。大変意外で、心が開けるような不思議な読後感であった。
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相当期待した読んだのだが、今の私にはあまりこの本の内容がすっと入ってこなかった。