- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784890136506
作品紹介・あらすじ
明治三六年(一九〇三年)、若き女性、夙子は王宮に学校を設立するためひとり大陸へ渡り、未知の世界へ飛びこんだ。そして、与えられたもうひとつの使命…。女子教育に尽力した河原操子の史実にもとづく歴史小説。
感想・レビュー・書評
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読んでいる間中、青々とした草原や空、黄色い風に包まれ自分もそこにいるような感じだった。あさ子と剣持の切ない恋に胸が痛くなった。
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実在する人物、河原操子をモチーフに描かれた物語。
明治36年、日露戦争が間近になる中、ひとりの若い女性が新設される女学校の教師を務めるために単身モンゴルに渡る。
主人公は、アジアの平和をも願って教育に情熱を傾ける一方、ロシアとの対抗上、内蒙古の王族を日本に惹きつけるための政治的なミッションも担う。(規模の程度の違いはあれ、明石元二郎と同じ役割を担っていたといえる)
未知の世界にチャレンジしていく若い女性の清々しい生き様を学ぶ上での良書になるのだろうが、日露戦争の裏での政治工作の凄まじさを垣間見ることができ、歴史書物として読むこともできる。 -
日露戦争勃発前の時代、日本は満州、モンゴル地域を陥落の標的として戦略を推し進めていた。
日本軍の策略が潜んでいることも知りながら、たった一人の日本女性が、内モンゴルカラチン王室の教師として赴任する。
これは、河原操子女史の日記「カロチン王妃と私」を元に書かれた
物語だけれど、史実の中のエピソードとして興味深い。 -
蒙古版「王様と私」とはいうものの、王妃様との信頼関係、大陸浪人剣持への想いがたんたんと記されている。あさ子の蒙古、支那、日本の三国の協力という理想は、やはり夢でしかない。