- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784890634156
作品紹介・あらすじ
2018年12月、安倍政権下、次期戦闘機(F‐X)は「日本主導の国際共同開発」との方針が決定され、2021年、三菱重工のもとにIHI、川崎重工、三菱電機など協力会社7社が集まり本格的に開発が始まった。今後15年かけて開発するのは2035年頃に退役が始まるF‐2戦闘機の後継機である。次期戦闘機にはステルス性だけでなく、高度な電子戦、ネットワーク戦を制する能力が要求され、将来的には無人機との連携も求められる。F‐2戦闘機開発での苦い教訓から自主開発の道を選んだ日本。2009年から研究が始まっていた開発計画の経緯と今後の展望を戦闘機開発に関わった専門家6人が語りつくす!
感想・レビュー・書評
-
2030年代後半 次期戦闘機 100機生産見込 最大でF15後継と合わせ160機
=第5世代機=ステルス+データ取得ミッションシステム 無人機と共同運用
1990年 防衛省 技術実証機構想 ステルス技術+戦闘機用エンジン
2010年 防衛省 研究開発ビジョン
2016年 技術実装機X-2テスト飛行成功 運動性・ステルス・エンジンの三本柱
我が国主導での開発 拡張性と改修の自由度
不採用F57=F22(コスト高で米国で生産中止)+F35派生型
米国 次世代制空戦闘機 を優先 共同開発でビジネス利益 相互運用
英国 ユーロファイター後継機の経費削減(費用/技術負担、機体輸出)と主導権
日本 米国のノウハウ活用しリスクとコスト低減 F35とのデータリンク?
他国と共同開発した装備品の輸出は可能 機体も法律は無いので政策次第
実戦での戦果がないと売れない?
韓国 米国の支援を受けられずKF-21は4.5世代機に フィリピンへ輸出
F2 1996年~
最終号機150億円 22t 94機(F22 39t)→200億 開発費1.5兆?
米国ワークシェア40% 技術覇権 所有権と使用権 許可された範囲を厳格に守る
ミッションシステム(フライトソースコード)は米議会で反対され国産
プライム企業=三菱重工 エンジン=IHI
民間機メーカーで政府支援がなく成立しているのはボーイングとエアバスのみ
射出座席 ダイセル撤退 HMD 島津製作所撤退
高出力エンジン、射出座席、ステルスの試験設備は日本にない
求められる第5世代プラス
状況認識とネットワーク ステルス・カウンターステルス 偵察能力
航続耐空性能 双発エンジン
クラウドシューティング 他機搭載ミサイルでの攻撃 大容量ミサイル格納
i3 Fighter 情報 informed 知能 intelligent 瞬時 instantaneous 20~40年先
ハイパワーレーダー、データリンク、ステルス、次世代エンジン、
フライバイライト、アセットクラウド化、ライトスピードウェポン
ソフトウェア志向
モデルベースデザイン、オープンシステムズアーキテクチャ、アジャイル開発
プロジェクト管理
調達、コスト、リスク、スコープ、要因、スケジュール、品質、ステークホルダ
WBS:作業分解構成図、RBS:リスク分解構成図、EVM:達成度とコスト効率
システムインテグレーション
~ライフサイクルを通して プロジェクト管理+技術活動 両面で統括
Vシステム 要求分析→機能定義→サブシステム割付け→設計/製造を逆方向確認
ハイパワースリムエンジン
全長4.8m直径1m、入口温度1800度、推力15t、3次元翼ファンの線形摩擦結合
CMC繊維強化セラミックス複合材 国内初の5万トン型鍛造プレス機
戦闘機機体とエンジンが同一メーカーの例はない 機体よりエンジンが2年先行
高出力+大電力 アビオニクス比重増加 可変バイパス 空中給油より航続距離
MIL 250時間耐久試験2回 2~3年の加速運用パターン試験
RCS レーダー反射表面積 実大模型で試験 フランスの設備を借りる
推力偏向で空力操舵減少 継ぎ目減少 エッジ反射方向特定 曲がりダクト
スマートRFセンサー
レーダー、ESM、ECM、通信を1つのセンサーで統合
赤外線自己防衛システム
従来は紫外線 ミサイルブルーム希煙化で放射量減少
MADL F35専用データリンク
4機編隊でのレーダー網と電波妨害
UAI 武器のプラグ&プレイ
OSA オープン システムズ アーキテクチャ
「原価+利益」→「ベストプライスモデル」
F35中枢コンピュータ ロッキード→ハリス DAS グラマン→レイセオン
F35 9か国共同で300機開発だが90%が米国が開発費負担詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
防衛省は第5世代を越えるステルス戦闘機を目指して、ゲームチェンジャーたるF-Xを開発したいと考えているが、そもそも何のために、どのような運用構想のもと開発するのか当の防衛省がビジョンを明確にしていないことが、あらためて露呈する内容であった。
F-15に替わるインターセプターなのか、F-35のセンサー、リンクを生かしたシューターなのか、ハイ・ハイミックスなのかハイ・ローミックスを目指しているのか何も見えてこない。
運用構想から必要な性能を求めることが重要だが、次期戦闘機がプロダクトアウトで、運用構想が配備後となるならば、我が国固有の運用環境を旗印に過去、調達に失敗してきた装備品の轍を踏むだろう。
ゲームチェンジャーとなりうるのは有人戦闘機か?そもそもの議論無しでは真に抑止力となる装備品は開発できないと思われる。 -
公開情報をベースに、次期戦闘機の役割、F-2開発の時の教訓(特に国際共同開発の部分)、次期戦闘機開発に関する技術的課題等々が語られている。
防衛省の公表情報が主たる情報源のため、1章の討論以外は内容的にやや面白みに欠けるが、2021年夏頃までの基本的な情報は網羅されており、(賛成・反対の立場によらず)次期戦闘機開発に関する事実関係を理解するのにはよい内容だと思う。
日米(+英)共同開発、日本の防衛産業の維持(武器輸出を含む。)、将来の航空作戦の様相及びそこにおける”戦闘機”の役割等々、次期戦闘機開発に関しては論点が多く、正直1兆円以上の開発経費(恐らく実際は2兆円くらい行くのではないかと個人的には思っている。)がかかる超巨大プロジェクトとして、個別の論点及び次期戦闘機開発そのものについて、何が正解であるかを判断するのはとても難しい。