人工の冬

  • 水声社
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891767358

作品紹介・あらすじ

バイセクシュアルな三角関係を濃密に描く「ジューナ」、父と娘のインセストを赤裸々に描く「リリス」、告白する女たちと精神分析医の物語「声」。アメリカで発禁となっていた先駆的な性愛小説三篇が原形のまま70年ぶりに復活。

感想・レビュー・書評

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  • ヘンリー・ミラーとその妻ジューンとの不思議な三位一体恋愛関係が元と思われる『ジューナ』、20年振りに再会した父と娘の愛を描いた『リリス』、ジューナもリリスも訪れる精神分析医との物語『声』を収録した作品。アナイス・ニンの日記を読んでいたので、ジューナもリリスもアナイスの分身である事がわかる。男性の中に「子ども」を見つけ、愛と望み通りの物を与える事で充足したと思い込み、他者の必要に自らを埋没させる習性がこの2人の登場人物の人生観の根底にある。そしてそれが招く「愛するという事は孤独」であるという事実。抽象的な文と比喩の使い方が独特で、それが美しいリズム感と幻想を生む。『リリス』の中で、父とリリスの脳内でのオーケストラの饗宴という、類い希な比喩を駆使して描かれた、全く直接的な表現をしていない場面は美しい性愛の場面。この本が何故発禁処分を受けたかわからない。

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著者プロフィール

アナイス・ニン(Anaїs Nin)
1903年、フランスはヌイイ・シュル・セーヌで生まれ、1977年、闘病の末、癌でロサンゼルスにて生涯を終える。11歳の年に母親と弟たちとともにアメリカに移住した。1930年代初頭に夫の転勤に伴いパリに居住し、作家活動を始める。40年から50年代のアメリカにて小説を発表し続け、60年代半ばに日記の出版で名声を得る。74年にダートマス大学より名誉博士号を授与される。日本へは小説『愛の家のスパイ』が河出朋久によって紹介され、66年来日に際し大江健三郎、江藤淳らとの会談が『文藝』に記録されている。89年に実弟ホアキン・ニン・クルメル、カリフォルニア州立大学バークレー校音楽学部名誉教授は来日して、関西の大学での講演やピアノ演奏会を果たす。

「2023年 『四分室のある心臓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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