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- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894346604
感想・レビュー・書評
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二〇〇六年に米寿で没した鶴見和子は、世界的に知られた社会学者であり、戦後日本を代表する「知の巨人」の一人であった。
戦前に渡米してマルクスやデューイを学び、やがて柳田民俗学や南方熊楠の思想と出合った鶴見は、独創的な「内発的発展論」を提唱していく。本書は、この「内発的発展論」について鶴見和子と経済史の泰斗である川勝平太とが交わした対話をまとめたものだ。
鶴見の思想と膨大なその仕事は、同じ藤原書店から全九巻の『鶴見和子曼荼羅』として出版されている。その最終巻『内発的発展論によるパラダイム転換』に川勝が解説文を寄せたのが両者の邂逅の機縁であった。
その文章で川勝は、「内発的発展」を十二の観点から見事に解説してみせた。原稿を読んだ鶴見は、かつて自分の思想をここまで理解してくれる人はいなかったと落涙する。
二人の対話は、今西錦司と南方熊楠に始まり、地域論、学問論、自己と時空、創造の秘密と、自在に展開されていく。優れた歌人でもあった鶴見と、歴史学者にして哲学への造詣深い川勝。
鶴見の思想と豊かな人生の足跡は、その最終章に川勝平太という外的契機を得て、後世を照らす光彩を、まさしく内発的に一段と創造し得たのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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