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- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894349308
作品紹介・あらすじ
わたしには、水俣病闘争が人類の存亡を賭けた母権闘争と見えてきた。
「目には目を」という同態復讐法は、やられたらやり返せというのではない。
同態の害を加えることによって、加えられた苦痛が癒されるわけでもない。
石牟礼道子『苦海浄土』の「宗教以前の世界」をバッハオーフェンの先史母権社会と結びつけ、同態復讐法を超えた境地を見出す。
「初期人類が定住生活を始めたのは川と海の交わる岸辺であったに違いないと考えれば、水俣という場所はそもそも人類定住の持続性を占う場所にも見えてくる。わたしには、水俣病闘争が人類史の発端ないし終局に位置する人類という部族の存亡を賭けた母権闘争(血権闘争)と見えてきた。わたしは、水俣病という世界史的な事件が産み落とした『苦海浄土』という世界史的名作を讃えるために、自分の知る先史母権制を語る語彙を集められるだけ集めた。自分の持つすべての材料を総動員して、石牟礼道子にオマージュを捧げたかったのである。」(「はじめに」より)