『苦海浄土』論 〔同態復讐法の彼方〕

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894349308

作品紹介・あらすじ

わたしには、水俣病闘争が人類の存亡を賭けた母権闘争と見えてきた。
「目には目を」という同態復讐法は、やられたらやり返せというのではない。
同態の害を加えることによって、加えられた苦痛が癒されるわけでもない。
石牟礼道子『苦海浄土』の「宗教以前の世界」をバッハオーフェンの先史母権社会と結びつけ、同態復讐法を超えた境地を見出す。

「初期人類が定住生活を始めたのは川と海の交わる岸辺であったに違いないと考えれば、水俣という場所はそもそも人類定住の持続性を占う場所にも見えてくる。わたしには、水俣病闘争が人類史の発端ないし終局に位置する人類という部族の存亡を賭けた母権闘争(血権闘争)と見えてきた。わたしは、水俣病という世界史的な事件が産み落とした『苦海浄土』という世界史的名作を讃えるために、自分の知る先史母権制を語る語彙を集められるだけ集めた。自分の持つすべての材料を総動員して、石牟礼道子にオマージュを捧げたかったのである。」(「はじめに」より)

著者プロフィール

1946年福島県生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。新潟大学教養部助教授を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。現在、東京大学名誉教授。専門は、文化学、ドイツ・ヨーロッパ文化論、言語情報文化論。
著書に『コーヒーが廻り 世界史が廻る――近代市民社会の黒い血液』(中公新書、1992)、『パンとワインを巡り神話が巡る――古代地中海文化の血と肉』(中公新書、1995)、『乾いた樹の言の葉――『シュレーバー回想録』の言語態』(鳥影社、1998)、『榎本武揚から世界史が見える』(PHP新書、2005)、『『苦海浄土』論』(藤原書店、2014)、編書に『バッハオーフェン論集成』(世界書院、1992)、翻訳にイバン・イリイチ著/デイヴィッド・ケイリー編『生きる希望――イバン・イリイチの遺言』(藤原書店、2006)等。他にバッハオーフェン及び母権論思想に関するドイツ語論文多数。

「2016年 『アウシュヴィッツのコーヒー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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