金融危機で失った資産を取り戻す方法

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  • フォレスト出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894513716

感想・レビュー・書評

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  • サブプライムの金融危機に直面し株式等で損をした方々に向けて書かれた本。今後の時代予測が中心に書かれている。主に気候変動やアメリカのニューディール政策を中心に述べられている。2009年に書かれており状況も今と異なる点が多々ある(特に原子力関連)が当時としては先見的だったのではないか。気候変動問題が欧州中心とした新金融領域拡大策と言い切るのはさすが投資家といったところか。温暖化問題に疑問視する専門家に丸山茂徳や武田邦彦といった自分を持ってくるあたりは信頼性はどこまでなんだろう。

  • 昨年(2008年)9月のリーマンショック以来、GMやクライスラーが倒産するなど世界経済は大きな変化を見せているのは誰の眼にも明らかになってきました。今年8月末の総選挙においても本当に民主党が政権を奪取してしまい、日本経済に与える影響も大きくなり、今後数年で大きな変化が起きると予想されています。

    この本の著者である中原氏によれば、今年12月に開催予定のCOP15を境に、環境をテーマにしたバブルが起きはじめる(p14)とのことです。情報をつかんでいる人は、今頃には仕込みは完成しているのでしょうか。

    この本の後半には今後有望とされる株式一覧がありますので、このレビューに記録しておき、定期的にチェックしてみたいと思います。資金に余裕があれば実際に購入してみたいところですが。

    個人的には、長い期間でみれば自然変動のように増減してきたCO2をなぜ減らす努力をする必要があるのか解せないところはありますが、世界不況対策(及び富裕層が失われた資産を取り戻す方法)としては意味があるかもしれないので、今後、株式の変化をウオッチするのも良いかなと思いました。驚いたのはCO2を具体的に精度良く測定する方法がない(p119)という事実でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカにおける包括エネルギー政策法の骨子は、1)アメリカ国内を省エネルギー化、2)代替エネルギーのバイオ燃料の普及(2012年度までに2005年度の3倍の75億ガロン)、3)原子力発電所の新規建設推進、であり、アメリカの石油資本戦略が大きく転換したことを意味する(p27)

    ・外国人投資家が本格的に動き出し、日本株が上昇するのは、アメリカの「雇用統計」と「中古住宅販売件数(中古市場は全体の7割)」に底入れが確認された時(p43)
    ・2009年12月のCOP15では、「2013年から始まる次の第二期約束期間にどのようなアクションをとるか」について新しいルールが採択される(p109)
    ・排出削減を推進するため導入するマーケットメカニズムとは、1)CDM(クリーン開発メカニズム:技術資金と排出量を交換)、2)排出量取引、3)共同実施(先進国同士間)、4)吸収源活動(植林を削減分とする)、である(p113)

    ・二酸化炭素という目に見えない「空気の取引」を土台にしているので、客観的にその公正さを補償することが非常に難しい(p114)
    ・温室効果ガスの排出量を高い精度で具体的に測定する方法は実はない、実際には計算式を用いて使用エネルギー毎に係数をかけて温暖化ガスの排出量を求める(p119)

    ・脱石油のための投資のポイントは、原子力発電・スマートグリッド・電気自動車、つまり「原子力発電で生まれた電気を、スマートグリッドで効率的に供給し、電気自動車を走らせる」である(p125、199)

    ・二酸化炭素による地球温暖化は、科学的には因果関係は証明されていない、IPCCも報告書の中では原因が見つかったと書いていない、温暖化の原因として太陽活動にあるという東工大の丸山教授説を支持する人も多い(p137)

    ・脱石油による日本への危機として、1)各国の産業構造の変容により日本工業製品の優位性の喪失、2)京都メカニズムが日本企業にとって不利、3)排出権購入が日本企業に重荷となる、である(p150)
    ・既存カーメーカとしては次世代カーは「水素カー」にしたかったが、オバマ政権の支援をうける新生GMクライスラーは、技術的ハードルが低く本企業と競争力を持てる「電気自動車の開発製造」へ大きく舵をきった(p155)
    ・電気自動車市場は、ガソリン自動車市場と異なり、コモディティ化(競争商品間の差別化特性が無くなり、価格・量を判断基準として購買行動が起きる)となる(p157)

    ・クルマに搭載される電子部品の点数は現在では、クルマ原価の50%に達している中で、問題なのは「車載LAN」通信規格、これはアメリカ(IEEE)ヨーロッパ(ECE)規格によりきめられており、電気自動車が普及すれば日本部品メーカは欧州メーカに特許使用料を払う必要が生じる(p162)
    ・コマツが中国でハイブリッド建機を発売して販売台数を伸ばしている背景は、日本では作業コストの6割が人件費に対して、中国ではコストの7割がガソリン代、これが削減できれば新規購入の意味がある(p169)

    ・スマートグリッド関係で有望な企業は、住友電気工業、日本で唯一超伝導技術開発に成功している、制御系では、大崎電気工業(p201)
    ・原子力発電関係では、部品メーカが有望で、日本製鋼所(原子炉圧力容器)、木村化工機(MOX燃料製造装置)である(p206)
    ・電気自動車関係では、リチウムイオン電池メーカで、ジーエス・ユアサ(中国BYDの唯一のライバル)である(p212)

  • ★★★★= 100~120点 = I like it!
    環境バブル発生の可能性と対処法が学べる本です。

    こんな人に特にオススメ
    ・中長期スパンの運用資金を持つ個人投資家

    以下、本の内容に触れます(ネタバレあり注意!)。


    内容
    ・環境バブル発生のシナリオと根拠
    ・環境バブルに向けての投資戦略


    私的「メモっ得」ポイント
    ・環境バブルの行方は、結局アメリカ次第
    ・環境バブル経済は、究極のババ抜きゲーム


    感想
     2009年10月に発売された本なので、
     それなりに古くなってしまった情報はありますが、
     今読んでも価値のある一冊です。

     原子力発電の建設計画が各国で進んでいます。
     電気自動車、スマートグリッドの分野でも
     順調に市場構築の取組が進んでいます。

     つまり、著者の主張通りに
     環境ビジネスの市場は徐々に拡大しています。

     しかし、先進各国の財政再建により、
     主要キャストは変わりました。
     もはや主役は、アメリカやヨーロッパだけではありません。
     中国が産業政策としての補助金にものをいわせて
     その存在感を急速に大きくしています。

     環境ビジネスが「バブル化」するには、
     中国の動向がポイントになりそうな気配です。

  • 次は環境バブルがくるかも、という話。先進国はもはやバブルでも作らないと経済成長は期待できない。そこで意図的に環境バブルが作られる可能性がある。

  • 環境バブルへの警告。
    COP15は課題を残したが
    二酸化炭素がどうなろうと良くも悪くもバブルはつくられる。
    これを正面きって指摘したのは著書だけでは。

  • 相変わらず、中原さんの分析力はスゴイな~

    と、思った一冊です。

    現在開催中のCOP15。先進国と新興国の対立は激しいようです。

    で、このCOP15を機に、超巨大な環境バブルがはじまるだろう!

    というのが、本書の軸。


    いろんな情報から、環境バブルが起こるであろうと、

    推測していく過程が、読んでいて楽しいです。

    ホントかなぁ、と思いつつも、なんだか信じてしまいます。


    日本でもこちらの会社で、個人で排出権取引ができるようになりました。

    ドットコモディティ

    正直、排出権ってなに?って感じです。

    CO2なんて、どうやって測定すんのさ?


    もう「環境」は「環教」。宗教みたいなもんですね。。。

    「化石燃料からの脱却」ってのは、明るい未来が想像できますけど、

    「CO2削減が絶対の真理」みたいなのは、

    ちょっと怖いですね~


    本の内容からはハズレてしまいましたが。。。


    推奨銘柄も紹介されています。

    バブルはバブル。深追いはしないようにしましょう。

  • 本のタイトルは、著者が予想する環境バブルの波に乗れば、取り戻せるという意味。
    シナリオ
    世界各国がエネルギー政策を石油から電気に移行していく。
    環境バブルが起こるだろうと。
    「スマートグリッド」「原子力発電」「電気自動車」が3大テーマ。
    COPで厳しい削減目標が掲げられ、世界各国の積極的な温暖化対策が打ち出されたら買いを入れる。

  • ”環境バブル”
    キーワードは、「スマートグリッド」「原子力発電」「電気自動車・二次電池」

  • 怪しいと思われつつある環境問題について、著者の考えがまとめてあります。信憑性のほどは確かではありませんが、日本の今後やバブルの必要性、また著者が記す金の動きが確かなら、著者の予想するような事態が起こるかもしれません。が、これからの産業構造の知識としても読んでおく価値はあると思います。まぁどちらにせよ、他の幾多の書籍から考えるに、資産を持っている人は海外に口座を開いて外貨で資産運用することを勧めます。著者の勧める日本株での運用利益と円安による相対的資産減が・・・なかなか難しい。

  • 投資関連の本の中でも、中原氏の作品は、以前からとても参考になると思っている。(「株式市場強者の論理」「サブプライム後の資産運用」等々とても参考になった。説かれているとおりに投資したことはないけれど・・・。)

    今回の作品も個人的にはとても参考になった。

    今世界中で叫ばれているエコ。

    これが今後の資産運用のキーワードとなるらしい。

    氏は本書で、乗りどころと降りどころ(ここがとても重要)を誤らなければ、今後資産を上手に運用できると説いている。

    また、その際にはどこ投資すると良いのか、具体的な参考銘柄まで今回は書かれている。

    今後の投資の参考の一助になるのではないかと思う。

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著者プロフィール

1970年生まれ。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。大手企業・金融機関、地方公共団体等への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に務めている。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。実質賃金、実質成長率など、名目数値よりも実体経済に近い数値推移で市場を把握する。著書に『AI×人口減少』(東洋経済新報社)、『日本の国難』(講談社現代新書)など。

「2021年 『マンガでわかる その後の日本の国難 稼ぐ力の高め方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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