「あ」は「い」より大きい!?—音象徴で学ぶ音声学入門

著者 :
  • ひつじ書房
4.08
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894768864

作品紹介・あらすじ

「ワマナ」さんと「サタカ」さんは、どちらが優しく、どちらが気が強くサバサバしているだろうか?聞いたことの無い名前からでもその印象を感じることができる。この現象は「音象徴」と呼ばれ、ことばの音と意味の関係を考える上でいま注目を集めている。本書では、「メイド喫茶のメイドさん」「ポケモン」「ピコ太郎」などの身近な題材を例にしながら、音の科学である「音声学」という学問へと誘う。これまでにない楽しく分かりやすい音声学入門。

感想・レビュー・書評

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  • すっごく面白かった!!!
    副題通り、音象徴というとっつきやすいところから音声学を楽しく学べる本でした。
    怪獣のゴジラはなぜコシラじゃないのか?ポケモンの名前が長くなるほど強くなる?あといはどちらが大きい?秋葉原のメイドさんの名前を分析するとある傾向が?バベルの塔は崩壊していない?…など、身近な漫画やアニメなどさまざまに親しみやすい題材で謎解きをするみたいで、もっと音声学知りたい!と思っちゃいました。
    音声学はさまざまな学問と結びついていて、すごく可能性を感じたし、やっぱりどの分野も面白いなと思える贅沢な本でした。

    著者いわく、本書は社会人・大学(院)生・高校生はもちろん、ちょっと頑張り屋さんの中学生でも読めるようにしてあるそうです。
    対数とか回帰分析とか三角関数とかでてきて懐かしかったです。もうほとんど記憶にないけど、それでも分かりやすく読めた。
    著者の他の本も読みたいな。あと参考文献が豊富なのでそちらも気になる。

  • 音象徴を出発点とした音声学入門としてとても読みやすい本

  • 第1章 この本について
    1.1. 言語学とは? 音声学とは? 
    1.2. 音声学は難しい?
    1.3. 音声学は難しくない!
    【コラム1-1】誰でも知っている音象徴
    1.4. 本章の流れ
     1.4.1. 第2章 
     1.4.2. 第3章
     1.4.3. 第4章 
     1.4.4. 第5章
     1.4.5. 第6章  
    【コラム1-2】ちょっとまじめな恣意性の話
    1.5. まとめ
    1.6. 練習問題
    1.7. 参考文献

    第2章 優しい音、ツンツンした音
    2.1. /maluma/と/takete/と2つの形
    【コラム2-1】動きであっても/maluma/は/maluma/
    2.2. 名前で魅力度が変わる?
    【コラム2-2】「やよい」ちゃんと「さつき」ちゃん
    2.3. 男の子の音、女の子の音(日本人編)
    2.4. 秋葉原のメイドさんの名前を分析してみた  
    【コラム2-3】萌え声とツン声を使い分ける声優さん  
    【コラム2-4】2011 年と2016 年を比較してみよう 
    2.5. まじめな話:「萌え」と「ツン」と「圧力変化」 
    【コラム2-5】「マナカナ」vs.「カナマナ」
    【コラム2-6】なぜ「ま」には濁点が付けられないの? 
    【コラム2-7】阻害音と小さい「っ」
    【コラム2-8】阻害音と語形成   
    2.6. まとめ
    2.7. 練習問題
    2.8. 参考文献 

    第3章 大きな音、小さい音
    3.1. /a/と/i/はどちらが大きい?  
    【コラム3-1】「おしゃかなしゃん」の謎
    3.2. 新種の蝶に名前を付けてみよう
    3.3. 知らないと損するかもしれない値引きの音象徴 
    3.4. /i/は笑顔の証拠:声で恭順を示すには? 
    3.5. お猿も使う恭順の/i/
    3.6. すべての母音を並べてみよう
    【コラム3-2】簡単に実験してみよう         
    3.7. 母音の発音の仕方
    【コラム3-3】魅力的な母音   
    【コラム3-4】日本語の顔文字を作った天才    
    【コラム3-5】動詞と形容詞の語幹
    3.8. MRIで母音を見てみよう     
    【コラム3-6】MRIで音声を記述する    
    3.9. 母音の音響と音象徴:なぜ前舌母音は「小さい」の?
    【コラム3-7】音の高さは厳密にどう決まる?    
    【コラム3-8】歯ブラシで第2フォルマントを聞く  
    【コラム3-9】疑問文はなぜ上昇調?  
    3.10. 第2フォルマントは割り算だけで計算できる 
    【コラム3-10】「う、お」では唇が丸まるのはなぜ?  
    3.11. まとめ           
    3.12. 練習問題   
    3.13. 参考文献 

    第4章 濁音と向かい合う
    4.1. ガンダムとカンタム  
    4.2.「きゃりーぱみゅぱみゅ」と
      「浜田ばみゅばみゅ」:名前の中の濁音    
    4.3. 悪者は濁音? 悪者から濁点を取って遊ぼう!  
    【コラム4-1】実際に濁点を取って遊んでいる人がいた 
    4.4. 口腔が広がる濁音の調音
    【コラム4-2】ボイルの法則4
    【コラム4-3】/b, d, g/のどれかが一番難しい?    
    【コラム4-4】2つの濁音はご勘弁? ライマンの法則 
    4.5. /maluma/ vs. /takete/ = /bouba/ vs. /kiki/?    
    【コラム4-5】「なんだチミは?」の秘密1
    【コラム4-6】Pプラートraatで自分の発音を分析してみよう 
    【コラム4-7】濁音は汚い?
    4.6. 濁音の音響  
    4.7. まとめ 
    4.8. 練習問題   
    4.9. 参考文献 

    第5章 学生たちが見つけた音象徴
    5.1. ママとパパとオムツの名前
    【コラム5-1】名探偵コナンも知っている両唇音    
    【コラム5-2】調音点と日本語ラップ
    5.2. 「ふ」と「す」は流れている?
    5.3. おやつに/p/  
    【コラム5-3】ピコ太郎とシェイクスピアと頭韻      
    5.4. 語頭の濁音は特に汚い?
    5.5. すっきり系のお菓子の名前は?        
    5.6. 濁音と阻害音はやっぱり男性的(アメリカ編) 
    5.7. 漫画の効果音も音象徴で分析?        
    【コラム5-4】ジョジョの奇妙な音象徴9
    5.8. メイド分析再び:「萌え声」と「ツン声」     
    【コラム5-5】セクシーな声ってどんな声?      
    5.9. ブランドネームと音象徴
    5.10. 『クラテュロス』再び
    5.11. まとめ5
    5.12. 練習問題
    5.13. 参考文献   

    第6章 ポケモンでする音象徴研究
    6.1. ポケモンについての予備知識
    6.2. 濁音と進化レベルの相関
    【コラム6-1】ポケモンと対数変換
    6.3. やはり濁音は「大きく」「重い」
    【コラム6-2】ポケモンと回帰直線
    6.4. 名前が「長い」と「強くなる」?
    【コラム6-3】挑戦! 重回帰分析
    6.5. ポケモンで実験してみよう!
    6.6. ポケモン名における母音の効果は?
    6.7. これからのポケモン研究       
    【コラム6-4】ポケモン研究の反響
    6.8. まとめ
    6.9. 練習問題
    6.10. 参考文献

    第7章 より広い視点から
    音象徴・音声学を考える   
    7.1. バベルの塔は崩壊していない?
    7.2. 多感覚知覚:マルチモダリティ     
    7.3. 他分野で生きる音声学
     7.3.1. 音声学と外国語学習
     7.3.2. 音声学と声楽2
     7.3.3. 音声学と感情表現 
     7.3.4. 音声学と医療
     7.3.5. 音声学と商標登録
     7.3.6. 音声学と科学技術     
    7.4. 参考文献

    第8章 最後のメッセージ
    8.1. 名は体を表す
    8.2. 中学・高校での学びを大切に
    8.3. いくらチャラついていても
    8.4. 謝辞 

  • 知らなかったことが多く刺激的な本。
    っのあとにこない子音。、

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000952171

  • ポケモンとかメイド喫茶のメイドさんの名前とか身近な例を使って説明してくれるので読みやすい。対数とか三角関数とかも出てくるけどマイルドな部分と(ポケモンとかメイド喫茶)とかたさが打ち消しあってちょうど良かったと思う。入門という名に偽りなし。フォルマントの計算は日本ではあまり授業でやるところは少ないらしく、そこはむしろ一般的な音声学の授業よりも踏み込んだ内容なんじゃないかとのこと。

    恣意性の原理(ソシュール)とクラテュロス(プラトン)の話もしてくれて文系面からのアプローチも楽しかった。

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著者プロフィール

1980年生まれ慶応義塾大学言語文化研究所教授/専門は、音声学、音韻論、一般言語学。著書に『言語学者、外の世界へ羽ばたく:ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュら・ポケモン名の分析まで』(教養検定会議 2022、4月28日発売)、『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』(ひつじ書房 2017)他。

「2022年 『談 no.124』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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