京都人だけが知っている (新書y 31)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896915372

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  • “だが、それもここまで。私は言ってしまおう。エモーショナル&エキセントリックに京を暴露してしまおう。すべてを語ってしまおう、京都人だけが知っている京都のことを。
    京都人が隠していたもの、京都人がよそさんやから説明してもしゃあないと諦めて噤んでいた口を開きたい。深く、複雑で、淫靡な異形の魅力の秘密をバラしてしまおう。やっぱり私は京都が好きだし、京都に死んでもらいたくないから。
    こうして京都の法則に逆らった以上は、京都追放は覚悟のうえである。「身中の虫」にもヒトコト申し上げたい。土蜘蛛になってもかまわない。
    この小さな本には、京都人だけが知っている京都が明かされている。ひょっとして知りたくないことや、知らなくてもいいこともそうとう混じっているかもしれないが、怖れずに貢をめくっていただきたい。このつぎ京都を訪れたとき、あなたはもはや「よそさん」ではなくなっているはずだ。”

    パラパラと。
    一応京都人だけど、読んでいて「そうだな」と思うことも「え、そうなの?」と思うこともある。

    “凄まじいのはここからだ。千年の時を経た“成熟”を文化の資質とする京都が、“新鮮”に挑戦すると、いかに的外れになるかを語る生き証人に八ツ橋は変態してゆく。苺大福がまた火に油を注いだ。まだ暗中模索だった京都八ツ橋界は、このブームによって目から落とさなくてもいい鱗を落としてしまったのだ。ピンクの苺餡入りはもはや珍しくもない。続けさまにチョコ餡、バナナ餡、生クリーム餡を世に問うた先駆者おたべ現在のイチオシ八ツ橋は<祇園deショコラ>である。なんじゃそりゃ。井筒の新商品は<みかさ>。生八ツ橋を従来のみかさの生地とつぶあんで挟んだ苦しい一品。聖護院のニッキをきかせた生地に古代稲の赤米を配合し、けしの実を散らした<聖護院まんじゅう>も厳しい。やはり、こういうのは小店のほうがリスクが少ないのか面白い。『御殿八ツ橋本舗』の<八ツ橋プリン>は八ツ橋の風味をそのままプリンにしてみたそうだ。そのまんまや。『桂華堂』は出た!という感じの<キティちゃん&ディズニーやつはし>。総本家の看板一本槍だった西尾ですらとうとう餡入り生八ツ橋に手を染めた。<あん奈摩>。タカラジェンヌの名前のようだ。ここらが老舗の限界かもしれない。”

  • 入江敦彦氏が書いた京都ブームの先駆的紹介シリーズ第1弾。
    非常にユーモラスに書かれていますが、ここまで書かんでもいいのに、と思うくらい、京都人のとっておきの店・場所が掲載されています。
    京都の感覚を知りたい人は、この本を読むべし★

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