- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896916249
感想・レビュー・書評
-
京都人気質を褒めてんだか、貶してんだか…京都生まれの筆者が、外(なんでも、ロンドン!)から視た京都を解りやすく咀嚼してはります。
驚く程深く、また、幅広く解説してます。「はぁ、よろしおすな~」的に読めるのが真の京都人かな?
京都に縁も所縁もない人は、読んでもタメになりません。コレから京都に住みはる人にはお店紹介にしかなりません。京都人には毒です。だから、一度読んで愉しんで下さい、京都を。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロンドンはよい京都的都市だそうだ、京都を知るにはよい入門書のようだ
-
この本で知った志津屋のパンの大ファンになりました。
-
“京都を齧ると抹茶の味がする。
よそさんはそんなふうに思っている。確かに京都人は抹茶が好きだし、飲む機会も多い。喫茶店のメニューにお薄が載っている確率も高い。観光客が行き交う祇園の土産もの屋には「京都限定」を謳った抹茶味の<パイの実><コロン><ポッキー>などが並んでいる。
京都を訪れたよそさん、とくに若い女性がなにはなくとも食べたがる京の味は豆腐でも懐石でもなく、まず抹茶ではなかろうか。お薄に和菓子ももちろんポピュラーだけど、彼女らにとっての抹茶は<パフェ>に代表される今日的に翻訳変換されたグリーンティーの世界である。
『祇園辻利』のパフェはきゃあきゃあ無邪気に京都へやってくる女の子たちが、“京の気分”を味わうために欠かせないアイテムだ。祇園で、老舗で、抹茶で、しかもサイズが大きいというだけで彼女らはいっぱいいっぱいである。上げ底ではあっても不味くはないので、いつも行列ができている。”
パラパラと。
“その店の名を『マリーフランス』という。いつも混んでる店は京都にもいくつかある。しかし、こんなに何年にもわたって、どんな時間でもイモ洗いなんてまずない。しかもここはマスコミへの“お店紹介”的露出を断っている。つまり口コミと地元の人間だけで賑わいが絶えないのだ。むろん人気の理由は美味しさだが、うどん玉的なボリュームと、ドンク的な本格パンのクオリティの両方を持ちあわせている点にマリーフランスの凄さがあった。
その象徴がどっしりと重いあんぱんである。小豆の旨味を最大限に引き出した潰し餡が、おそらく京都人以外には過剰に思えるほど入っている。それを包むパンはしっとりと香ばしく、繊細に薄い。あえて餡の引き立て役に回っている。西陣はもちろん織物の本拠地なのだが表・裏千宗家の茶室を抱えた茶道の中心でもある。マリーフランスのあんぱんは、しばしばこの地域で催される茶席にも使われるというから質のほどが知れよう。ここのオーナーはかつて志津屋にお勤めだった。京都人のためのベーカリーとしての在り方を熟知されているのだろう。さらにチェーン展開しないことで志津屋には不可能な細やかな仕事をパンに凝らすことができた。パンつくりが本当に好きな根っからの京職人気質なのだ。” -
京都人の生活感覚がよく表現されている。
歴史・観光もさることながら、今実情もよく知っておられるからこそ、非常に我々京都人も考えさせられる。