- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896917123
感想・レビュー・書評
-
「頭がよくなりたい」という思いをめぐるさまざまなテーマについて、比較的自由に著者自身の考察がつづられている本です。
「ひとには無限の可能性がある」といった言説を吐く人びとの無責任さを指摘するとともに、それにもかかわらず「頭がよくなりたい」というコンプレックスに囚われてしまう人間の「切なさ」にせまるところは、実存の観点に立つ著者らしい興味深い問題設定だと感じました。ただ、著者自身の少年時代から大学受験までの体験が率直に語られている一方で、「切なさ」を掘り下げる方向に議論が進められておらず、期待はずれに感じてしまいました。
他方で、著者自身が「頭がよい」と考える知識人や、反対に「頭が悪い」と考える知識人について、具体的に名前をあげて露悪的な議論が展開されています。著者は「あとがき」で、「私はときどき、こういう下品で挑発的な本を書きたくなります」と語っており、自覚的にこうした「芸風」をえらんだのだと思われますが、批判の対象になっている知識人の議論をある程度詳細にたどりつつ反論をおこなうのであれば、こうしたスタイルを採用するのは避けるべきではなかったかと感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
批評家らしくはっきりとした物言いを書いていた。でも、納得することばかり。時にやわらかい口調もあるので、安心して読むことができた。
4章が特によかったのだが、私は果たして頭の「いい人」に入るのか「悪い人」に入るのか。最後に希望を与えてくれる言葉があったので、救われた。何かと興味深い本でした。(図書館) -
分をわきまえないな。
という内容だな。 -
「頭はよくならない」
なんて冷たいアプローチだなぁと思ってたけど、読み終わるこれには最高に思いやりのある言葉だとわかりました。
ちょっと肩の荷が下りました。 -
序説・第一章まではとても感心しながら読み進められた。語り口も軽く、読みやすいしうなづくことばかりだったので。
3章は個人名もでてくるし、具体例の上げかた及び説得力がイマイチだったので、逆に筆者の頭のよさポイントが下がってしまった。残念。
あえて残った文章を引用させていただくなら、
・教育場面では「お互いに傷つけあわないように」「全ての人を平等に」という「道徳」の根本論理が存在する
・勉強は「汝自身を知る」ためにこそ であり自分の性能を限界内でその性能を腐らせずに存分に生かすところ
・知的能力と道徳心はシーソーのような対立命題ではない。勉強が出来て道徳心も人並みにあればそのほうが言いに決まっている。
「学問の要は活用」にある -
本音トークみたいな文章で、読んでいる側が「ここまで書いても平気なの?」と逆に心配してしまうほど。現代の教育論に関しては、正にそのとおりだと思います!