ミネハハ

  • リトルモア
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898151860

感想・レビュー・書評

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  • いつか読んでみたいと思って早二年たった。
    なんだか、白昼夢をみているような内容だった。
    少女たちがいろいろなレッスンを受けながら大きく成長していく。
    第二次性徴期が来るあたりで住んでいる館から一人ひとり去っていかなければならない。
    少女たちはずっとここにいたいと思いながらも、自身の身体の変化についていけず、やがて、周囲にいる年下の少女達に対して嫌悪感を感じるようになる。
    1800年代後半から1900年代前半にかけて生きてきたフランクの元に、隣に住んでいた老女が持ってきた原稿を本にしたらしい。
    内容も最後はぶっちりと終わってしまう。 2014.3.13(1回目)
    追加:おばあちゃんと最期を過ごした時に読んだ本。

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    『ミネハハ 』読了。
    久しぶりに読んだ。
    昼下がりの白昼夢のような物語だった。夢をみているような錯覚になった。少女たちは踊りや音楽のレッスンを受け大人になるそれまでを幸せに過ごしていた。しかし大人に近づくにつれ身体や心情の変化に嫌悪感を感じた時、突然幸せな生活の終わりを迎える。
    幸せだと思った生活が大人になって振り返るとすごく残虐な運命だったと気づいた彼女。
    子どもの頃の幸せと感じた感情の喪失に戸惑っているようだった。
    それでも、卓越した世界観を持つことができたのは誰も経験したことがない人生を歩んだからなのかもしれない。
    いつの時代でも唯一無二の人生が転がっている。
    昔すぎる本なんだけど、作者の隣の部屋に住んでいた老婆が残した原稿で、彼女の死後出版に至ったと序章に書いてあった。
    個人的にも思い出のある本で毎年その人の命日に読んでいた。その人との最期を過ごした白昼の病室で読んだ。
    今でも忘れない。久しぶりの再会だった。
    そして私はすごく幸せだった。
    2020.5.6 (2回目)

  • 幻想小説、かな?一気読み。
    あらかじめ未完(?)と知って読み始めたからダメージこそ少ないけれど、全部読みたいー!

    自殺した隣人の残した手記、という体裁。
    問わず語りの「わかりにくい」文章が、夢の中のような雰囲気を作る。
    いつどこでだれが、が明記されないから手探りですすむ印象になるけれど、時系列に並べられた出来事はきちんと察しがつく。
    ただ、察するだけで本当にあっているかはわからないから、不安定なまま読み終わる。
    このゆらゆらした雰囲気が好きだ。

    フェティッシュな視線や一律の成長は男性目線っぽい。
    でも「このペド野郎!」みたいな気持ち悪さはない。
    不思議。

  • 市川実和子訳ってあったから、すっごくびっくりして即買いしてしまったけど、ベースの訳はプロがやっているのね。
    でも、話し自体が半透明でキラキラしていて、作者に好感をもっちゃう。なんか素敵な話に感じました。

  • 映画『エコール』の原作ということで、映画公開当時に読了。
    描写は繊細で綺麗だけど、謎も矛盾も真偽も何一つ解決しないのが、逆に潔く感じた。

  • 奥床しいとは、奥までずっと続いていて伺い知れない、故に知りたいということ。垣間見る、一瞬触れる、見えないが聞こえる声や音には、分からなさに価値がある。

  • 笑う水。インディアンの言葉。

  • 光と緑、噴水、白いワンピース、午下の一時、閉ざされた七年間、白昼夢のような回顧録
    少女たちの存在が儚く美しいほどに、付き纏う不穏な影は一層濃さを増す、全体に漂う雰囲気が好み

  • 美しく繊細で聡明な作品。『エコール』という映画版を観てから読んだので、そうでなかったら想像すらつかなかったであろう世界がとても美しく浮かび上がり非常に楽しめた。美しく抽象的であるぶん、輪郭のぼやっとした内容や書き味が続くので苦手な人はいるかもしれない。美しいものがたくさんあるという妄想だけで幸せになれる人にはぜひ勧めたい。

  • 絵画的、あるいは映画的な文章。
    そっと小さな箱に詰められた美しい秘密を、取り出しては眺め、眺めてはしまう。そんな印象。

  • 飛び降り自殺で死んだ老女から委ねられていた自伝の一部を紐解いていく作家。そこに記してあったのは、風変わりな老女の少女時代。

    木箱に梱包されて届けられた施設は、少女だけが暮らす世界。7人一組で生活し、1年ごとに年長者が去り、また新たな少女が木箱で届けられる。少女たちはダンスと音楽の修養に明け暮れ、外界を知らずに成長する。最年長になり、7年目に与えられた儀式を終えたところで、自伝は途切れている。

    と要約するとグロテスクな終末もののようだが、さにあらず。清潔で静謐なイメージを積み重ねた、白昼夢のような中篇。

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