- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784900456792
作品紹介・あらすじ
吹抜のある一室空間、ドアのない子供部屋、単純な箱型のデザイン、ローコスト高性能住宅…「箱の家」がめざす新しい住まい方の提案。プライバシーを保ちながら、家族の気配が感じられる。現代人にふさわしい斬新な住空間の試み。
感想・レビュー・書評
-
建築家・難波和彦さんの「箱の家」シリーズのコンセプトや経緯について語っている本。この本のなかに書かれていた、家族と住宅の関係についての考えに僕は強く共感した。
「箱の家」は、立方体を組み合わせたような形態にも特徴があるが、より重要なのは「一室空間の住居」というコンセプトを打ち立てたということ。各部屋には仕切りがなく、アルコーブ(くぼんだ空間)がいくつもある「ひと続きの空間」になっているのだ。
難波さんは、個室の集合としてつくられる現代の住宅に疑問を投げかけている。とくに、「子どもの自立」と「個室を与えること」の同一視に異議を唱える。空間を区切って孤立することが、本当の自立ではない。むしろ、様々なコミュニケーションを経て、自分たちのルールをつくっていく、そういうことのなかに自立を見る。
さらに、家族のかたちは時間の経過とともに成長・変化するので、空間もそれに合わせて徐々に分化していくべきであり、最初から区切ってつくるのではない方法を考えよう ——— 大雑把にいうと、そういう考え方だ。
ご自身も語っているように、クリストファー・アレグザンダーに強い影響を受けたということで、その影響はいろいろなところで垣間みることができる。アレグザンダー思想を再考する論考が収録されている本『建築の四層構造』はかなり学術的な色合いの記述だが、この『箱の家に住みたい』の方はやわらかい文章で読みやすい。まずはこちらを読んでから、『建築の四層構造』に進むのがよいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示