二つの“平和” 自爆と対話 (土井敏邦・ドキュメンタリー「届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと」3)[DVD]【ライブラリー版】

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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784901510882

作品紹介・あらすじ

□無償による次の行為を許諾するライブラリー版です。
 (許諾票がパッケージに添付されています)
・個人への施設外貸出
・購入施設内での個人視聴
・購入施設内での上映

□自爆攻撃に走ったパレスチナ人青年の遺族の証言、自爆テロの犠牲となった少女の両親や生還した女性兵士と家族を通して、対話を試みるイスラエル人・パレスチナ人双方の平和観の断層を描く。

感想・レビュー・書評

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    「神が自分たちに与えるといった土地」。20世紀後半に、それを本当に信じて、他国を侵略をするのは狂気の沙汰だ。そのことを思うと、私はユダヤ人のことが本当にわからなくなる。私は信仰という感情を理解できない。信仰を持つ人を否定する気はないけれど、私にとって信仰は教養以上の意味を持たない。

    イスラエル入植の目的は、中東に親欧米国家を作ることや石油で、信仰は建前に過ぎなかった。でもイスラエルに住むユダヤ人は、自分たちの教義が真実だと思っている。それがあらゆる面で問題をややこしくしているんだろうな。

    パレスチナ人がすべての問題の原因だと思っている、満たされたユダヤ人を見ると腹立たしい。パレスチナの子供たちが、日常的に銃声が鳴り響く環境で、心身ともに傷つきながら、日常的に身近な人を失いながら生きなきゃならない理由なんてない。彼らには、普通に大人になることすら難しい。無邪気に遊んでいただけなのに、威嚇射撃をされる子供たちの前でユダヤ人は、すべてパレスチナ人の責任だと言えるのか?パレスチナ人居住区は、かつてナチスに支配されていたゲットーと同じだ。ユダヤ人は何を考えている?

    でも、子供を亡くした親の悲しみや苦悩の前では、国籍も人種も関係なくなる。私は子供を失ったパレスチナ人、ユダヤ人両方に共感して涙した。子供を奪われた親、他の人を巻き添えにして自殺した子の親。どちらも恐ろしい困難を生きている。胸が締め付けられるようだ。

    安心、安全、食べ物、水、人とのつながり。祖先が誰であろうといつどこで生まれようと、人間としての幸福の条件は同じ。
    自分の権利を満たすために、他人の権利を奪ってしまうのは、いったいどういうことなんだ?どうしてそんなことが起こる?一番怖いのは、自分が他人の権利を踏みにじっていることにすら気づかないこと。そういうこともありうる。いったい、なんだってこう、何もかもが複雑なんだ。

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著者プロフィール

1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。
1985年以来、パレスチナをはじめ各地を取材。1993年よりビデオ・ジャーナリストとしての活動も開始し、パレスチナやアジアに関するドキュメンタリーを制作、テレビ各局で放映される。2005年に『ファルージャ 2004年4月』、2009年には『届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと』全4部作を完成、その第4部『沈黙を破る』は劇場公開され、2009年度キネマ旬報ベスト・テンの文化映画部門で第1位、石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。次作となった『“私”を生きる』(2010年)は、2012年度キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門で第2位。

東日本大震災後に制作された中編『飯舘村 第一章・故郷を追われる村人たち』(2012年)では「ゆふいん文化・記録映画祭・第5回松川賞」を受賞。また、2012年には、ビルマ(ミャンマー)から政治難民として日本に渡った青年を14年にわたって見つめた『異国に生きる 日本の中のビルマ人』で2013年度キネマ旬報文化映画第3位、文化庁映画賞文化記録映画優秀賞受賞。その他に『飯舘村 放射能帰村』(2013)、『ガザに生きる』全5部作(2014)など。著書は『アメリカのユダヤ人』、『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』(いずれも岩波書店)など多数。

「2020年 『ヨルダン川西岸(3部作)[DVD]ライブラリー版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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