地の鳥天の魚群

著者 :
  • 幻戯書房
3.15
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本棚登録 : 81
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901998796

作品紹介・あらすじ

その後、絶望は深まりましたか?日常に訪れる夜と夢-幻の処女長編、初の書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • ―結局それは絶望ということではないでしょうか―
    石脇氏が最近見た気掛かりな夢の話を聞いたK氏は、彼にそう語った。その言葉が妙に腑に落ちた石脇氏だったが、それから彼の身の回りで色々な変化が起き始める。

    なんとも形容しがたいよく理解できない話。彼がおかしくなったのか、周りがおかしいのか。ただただ、地面から鳥の足の部分だけが茸のように逆さまに生えている光景というのはおぞましいばかりである。

  • やや不条理系だが読みやすく、楽しめた。

  • 読んでいて気持ちが悪くなった。グロとかそういうわけではなく、平成の時代の生々しい不気味さ。はじめから最後まで悪夢を見ているような感覚。伏線は沢山はられており、これをどう展開して終息していくのかとある意味ワクワクしながら読んだが、結局何一つ回収されず、それもなんとも気持ち悪かった。この作品はこの独特の『気持ち悪さ』を味わう本なんだろう。
    表紙絵の長谷川潾二郎の絵が好きだったのでこの本を手にとってみたが、それまで持っていなかった気持ち悪いイメージが彼の絵に紐付けされてしまいちょっと悲しい。
    表題作のあとに続く短編2作は意外性があり綺麗にまとまっていてとても良かった。江戸川乱歩の墓を参る男の話と、家の床下に深い穴を見つけた兄弟の話。この2作がなければこの作家の作品はもういいや、と思ったかも。

  • 表題作について…。何だろうこの作品。何かのメタファーなのかなっていう解らないところがいっぱい。そして、隅々までの独特な表現。あんまり目にしないような難しい熟語がたくさん出てきます。でも堅苦しく感じない不思議。戦慄が走るようなラストでした。絶望?希望?どう感じるか…。自分はまだぐるぐるしてます。

  • 中編1話と短編2話。日常が少しずつ非日常になっていく話(あるいは日常の中の小さな非日常)。この人の本を読むのはこれで2冊目だけど、どうも自分の好みに合うらしい。もう少し追いかけてみよう。

  • その後、絶望は深まりましたか?日常に訪れる夜と夢―幻の処女長編、初の書籍化

  • 手にとったとき、最初の数ページをめくって、言葉の言い回しが気になって、続きが読みたくなった。純文学ってこういうものなのかな、と思いながら、読み進めた。家族のことが書きたいのかな。何が書きたいのかな。
    読んでいくうちに何がいいたいことなのか、わからなくなった。

  • 奥泉さんの処女作だそうな。他2編、短編が載っている。
    処女作には、その作家のすべての要素がつまっていると言われるが、なるほど「ザ・奥泉」な作品である。
    不条理、不合理の向こう側に顔を覗かせる、人間のアイデンティティーの曖昧さ、足をつけているこの地の脆弱さを、不気味に、なおかつ滑稽に描き出す。独特の世界観は、初めからすでに確立していたのですね。
    表題作は、絶望に苛まれながらも、そこからの脱出を試みるエネルギーに満ちた作品。謎が解けないと満足できない人は読むべからず。
    背筋がゾッとする「乱歩の墓」がかなり好きです。

  • 「石の来歴」が面白く、同じ作家の作品が読みたかったので。

    うーん処女作ということだったので、これも仕方ないか。
    若い文章と構成。
    今の氏の作品とはやはり別物。

  • 好:「乱歩の墓」

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著者プロフィール

作家、近畿大学教授

「2011年 『私と世界、世界の私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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