- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903002583
作品紹介・あらすじ
生息数わずか約1700羽! いま、日本のライチョウが危ない! ライチョウは生き残れるのか? 氷河期を生き抜き、アルプスなどの高山帯にのみに棲むことから「神の鳥」とも言われるライチョウ。 野性のトキやコウノトリが日本から姿を消したのと同様に、いまライチョウが絶滅の危機となっています。サルやキツネなどの天敵の増加、地球温暖化により、ライチョウもいなくなる日が近づいています。 本書は、絶滅が危惧されるライチョウの知られざる生態と保全への挑戦に迫ります!
感想・レビュー・書評
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『二万年〜』の続編とも言うべき、中村浩先生のライチョウ研究本。今回は先生の相棒:小林先生も執筆されている。内容は前作はライチョウの生態と保全について大まかな知識を蓄積できる本であるが、今回は保全の方法やその苦労、世界のライチョウとの比較研究により「日本のライチョウをどのように絶滅から守るべきか」に焦点を当てた本だった。そういった意味でも前作を補完できる内容だったので、とても満足した。特に、雌雄の生存率において雄の方が生存率が高く、何故あぶれ雄ばかりになるのか、人工飼育下のライチョウの死亡率が野生と比べて高いのか、といった疑問がすっと氷解した。また、営巣を探索する、仮設ケージに追い込みする作業は過酷を極め、テレビでこの特集を観たことがあったが、文で読んだ方が相当な苦労と時間がかかっているものと知り大変驚いた。ライチョウの保全には出来る限り、「非人工的で」と臨まれたプロジェクトであるが、ヒトが呼び込んだライチョウの捕食者を除去したり、昆虫食の代用にミルワームを用いたり、温暖化の影響で変化した環境を整えたりするのにはやはり人間の手助けが必要だ。全てヒトが原因であるからだ。自らが招いた今の状況を打破しいきものの命を繋ぐことは、今後のヒトの存続にもかかっている。ライチョウの保全研究が、その大きな枠での地球の保全につながることを願ってやまない。
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◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26758268 -
ライチョウに興味があれば必見。勝手な推測では、生息地のアルプス地域・中部圏以外ではまったく興味が持たれない気もするが、アルプス近縁部の住人なら、ライチョウ好きが多いのではないだろうか。特別天然記念物で絶滅危惧種、見た目も可愛いので人気のある鳥ですが、その生態や保護に向けた取り組みなど詳細にかかれていて、ファンならかなり楽しめます。