と学会レポート 原田実の日本霊能史講座

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  • 楽工社
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  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903063058

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  • 歴史を通して、日本の霊能の変遷を見直す。

    ・仏教の伝来で、日本人の死生観が大きく変わった。
    ・霊には人格がなかった。死ねば生前とは関係なくなり、祖霊のようなものになる。それが大きく変わったのが江戸時代で、霊が人の形を取るようになった。そのイメージの普及は読本によるところが大きい。
    ・超能力は、明治時代に西洋の科学技術が入ってきて、人間にもそういう能力があるかもと思われたところから発生した。例)X線と透視。
    古代から現代までを扱っていて、ほかにもいろいろあるが、一番印象に残っているのはこの三つ。

    宗教観や霊能観がどう変わってきたのかというのは、庶民の精神史にも触れるところがあり、刺激的だった。
    江戸時代まで、呪術的なものが生活というか社会にとけ込んでいたという感覚がちょっとわかった。戦国時代に入ってきた西洋の文物も、鉄砲などは呪術の一種として受け取られたそうだ。

    日本史と同じく、本書でも近世と近代に断絶があり、近代になると流れがわからなくなった。取り上げる項目が急に多くなるせいかもしれないが、年表にある項目を羅列しているだけのようになって、消化できなかった。書き手のほうで消化できなかったのか、私が消化できなかったのかは不明。
    戦後は、メディアによって、霊能に関するさまざまな事象のイメージが広められ、現在のような状況の下地となったということらしいのだが、現在のような状況が何を指しているのかはっきりわからなかった。

    生徒役が先生役にお話を伺うという体裁を取っていたが、生徒役が調べてきた内容を述べた部分が難しく、そのときのテーマとどう関係するのかわかりにくいことがしばしばあった。
    現在に近づくほど、著者たちの共通認識で話が進み、それを承知していなかったので、何を問題にしているのかわからないことがあった。

    いろいろ発見もあり、刺激的な内容だったが、現代に近づくにつれ、霊能が拡散し、広く普及していったせいか、本書の内容もとりとめのないものになっていったような気がする。

  •  この本では、全てにおいてきちんとした資料を基に語られております。そのため、霊能本にありがちな、ほんまかいな? というところはほとんどなく、挙げられている30人の霊能者に対しても資料を基に年賦が用意され、また超常的なことに関しては分けて記されております。

     古代、中世、近世、近代、現代と分かれており、そのときの日本の様子、歴史が語られているため俯瞰的に知ることができました。

     また、インタビュー形式であるため、内容が分かりやすい。最近のスピリチュアルブームに関しても歴史があり、そういったことも勿論、本書では語られております。

     霊能者、日本史に興味のある方にはものすごくお薦めです。面白いし分かりやすい!!

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著者プロフィール

1961年生まれ。歴史研究家。と学会会員。龍谷大学卒業後、1984年から3年半、八幡書店(出版社)に勤務。その後、広島大学研究生、昭和薬科大学文化史・心理学研究室助手(1990?93年)を経て、歴史研究・執筆活動に入る。古代史・偽史・サブカルチャー関係の論考多数。著書に『日本霊能史講座』『日本化け物講座』(楽工社)など。

「2011年 『トンデモ本の世界 X』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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