- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903738512
感想・レビュー・書評
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予備校の先生が、学校の授業では教えられていない、あるいは教えられていてもきちんと正確には教えられていない、あるいは教えられていることとは違う事実がある、という内容について、実際の大学入試問題で使われた読解のテクストから取り出して、解説したもの。全部で50近くの「言語事実」が取り上げられており、まさに英語の教員向けの本。
著者はおれよりも若く、英語学を勉強したバックグラウンドがある人で、ものすごい勉強好きな人、という感じ。おれも付箋をしながら全部読んでいってそれなりの量になったのでとてもここに書こうとは思えないけど、例えば竹岡先生も言っているような「状況のhow」とか、「パラレルの進行形」(「(行為)解説用法」と言うらしい。p.13)とか、the extent to which SVで「SVする程度」(p.67)といった語句のレベルまで、少し勉強した人なら聞いたことのある内容から、おれにとっては全然思いが至らなかったようなところまで、なかなか読み応えのある本だった。
たくさんの例が載っているが、割と入試の原文そのまま載っていて文脈が唐突というせいもあって、読みづらいところもあるので、なおさら英語の教員向け。
どうやって生徒の授業に還元すればいいのか、というところを模索しないと、と思った。(23/03)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本当に英語ができる著者の書く、上級英文法解説書。
楽しかった。何という読後の充実感。
著者のSNSをフォローしているが、普段から洋書に親しみ、多くのインプットをしながらも、英語学の専門書や論文にも目を通して、文法を研修されている。まずその姿勢に、仕事を言い訳にして英語の勉強に手をつけられない私からすれば敬服する。少しでも著者から吸収したいと思い購入した。
普段から洋書を読んでいれば、著者の言う「軽量化された英語」では説明しきれない英文に出会うはずでるが、残念ながらそのような意識を普段持てていない現状に反省した。著者のようにそんな英文を愛でながら、例外を整理して、英語を学習をしていきたいと思った。
この本はそんな「軽量化された英語」では説明のつかない英文のオンパレード。著者のようによくあるパターンを抽出できるくらいにたくさん英語を読みたいと思えたし、このパターンはよくあると指導できるようになりたい。そんな憧れの姿に橋渡ししてくれる貴重な本である。おそらく類書はない。 -
背ラベル:835-ヤ
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M市K図書館
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超実践的文法書
自分は学生時代、かなりしっかり文法を学んだ自負がある。だが、いざニュースを読んだり、論文を読んだり、フリーペーパーやブログ、ツイッターなどで生の英語に触れる中で、常に自分の無力さを痛感してきた。
本書は、体系的に教えてくれない文法の重要事項を、題材は入試問題ではあるが、ニュアンスやフィーリングで教えてくれる。だからめちゃめちゃ超実践的。仮説を立てるような導入から、たたみかけるように実例を列挙し、主張を展開する様は圧巻。もっと喧伝しても良い。 -
【書誌情報】
『知られざる英語の「素顔」――入試問題が教えてくれた言語事実 47』
著者:山崎竜成(1991-)
出版社:プレイス
版型:A5判 300頁
定価:本体1800円(税別)
◆知られざる英語の「素顔」
"英文法は習っていないことだらけ!!!"
仕組みばかりではなく、現象そのものを味わおう!!!
「英文法は習っていないことだらけ」なのです。英語の授業はあっても、教えられていることは英語の非常に限られた一面だけ、つまり、「軽量化された英語」です。実際の言語事実に目を向けることなく、いかにも英語は単純で簡単であると言いたいかのような、そのような事例があまりに多いのです。
本書は、実用、受験を問わず、学習者が困ったときに参照できるものを提供したい。先生が少しでも英語をよく理解し自信を持って指導できるよう手助けしたい。そんな気持から英語ではよく起きる現象なのに全く教えられていない言語事実に焦点を当て、基本的な文法知識さえあればさえあれば読めるような本です。
[http://www.place-inc.net/details/sugao/sugao.html]
【目次】
§1. whenと進行形
§2. 副詞節の思わぬ使い方 - 何を修飾しているのか
§3. いろんな分裂文(1) - 何が「強調」できるのか
§4. いろんな分裂文(2) - 形式のバリエーションを知る
§5. いろんな分裂文(3) - 見た目は同じでも意味は違う
§6. howの意味 - 「どのように・やり方」と訳せない場合
§7. 名詞句だけど…(1) - 〈no matter the名詞〉の謎
§8. 名詞句だけど…(2) - 名詞句のびっくりな使い方
§9. 名詞句だけど…(3) - 名詞修飾表現の落とし穴
§10. wh-everの意味 - 本当にanyで書き換えられるのか
§11. howeverの意味 - 「どのように・やり方」と訳せない場合
§12. whatと補語 - 節全体の中心部は補語である
§13. いたるところにイコール関係 - 実はbeの意味でした
§14. 関係副詞thatの意外な使い方
- 先行詞はplace / time / reason / wayだけではない
§15. 形容詞? - 名詞修飾でも補語でもない使い方
§16. 目的語がいない - takeの知られざる使い方
§17. 目的語がいる - too … to構文とenough構文の実際
§18. もう一つの副詞用法 - 副詞用法でも空所ができる
§19. 君、必要なの?(1) - 仕切り直しのthat
§20. 君、必要なの?(2) - 多様な節の頭に置かれるthat
§21. 混ざり合う - 類似した表現がミックスされる様子を観察する
§22. ずれている - ルール通りではない比較構文
§23. beの補語に副詞節 - 〈 S be when / if / where 〉構文を身につける
§24. 仮定法と助動詞の過去形 - 仮定法ではmayがよく使われる
§25. would have PPとwill have PP - 仮定法と未来完了だけではない
§26. いろいろな省略 - 何が消えるのかに着目する
§27. 前置詞句の使い方 - 前置詞句が主語や目的語になる
§28. 副詞節が独立する - 主節を伴わない副詞節の使い方
§29. 等位接続が副詞表現を作る - andでコメントを加える
§30. 歪んだ等位接続 - andが結ぶものは全然等しくない
§31. 等位接続のおかげ - ダメな構造を可能にするandの力
§32. クジラではまずい - 〈 no比較級than 〉のもう一つの意味
§33. 関係詞と分詞構文 - 常識では考えられない融合
§34. するや否や構文 - 多様なバリエーションを受け入れる
§35. 〈 , which 〉の先行詞 - 名詞句と文だけではない
§36. let aloneと否定 - 本当に否定文の後だけなのか
§37. もう連鎖は怖くない - 多様なパターンを制覇する
§38. こんな言語事実もある - 英語は習っていないことだらけ