ほしいものはなんですか?

著者 :
  • ミシマ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908182

感想・レビュー・書評

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  • 40も過ぎれば人間は、
    ほしいものはなんですか?とか、
    なりたいものはんですか?

    なんて、楽しげな質問に上手く答える事が出来なくなってしまう。

    なぜだろう…

    満ち足りた人生を送っていると、思い込みたいせいか?
    欲なんてもう私にはありません、と他人に思われたいせいだろうか?

    あるはずなのに。

    だって、
    いつも
    (何かが足りない…)様な気はしているから。

    ミリさんの世界で、この疑問に答えるのは
    専業主婦であるミナコさん
    と、
    独身OLであるタエコさん。

    秘めた胸のうちにある、その欲しいものとして
    ミナコさんの
    「存在感」にも
    タエコさんの
    「保障」
    にも、うなずくことは出来た。

    そして、
    人は「欲しいもの」というより
    他の人は持っているのに、自分は持っていないものを
    目敏く見つけ、
    (後は、それさえあれば、完璧に幸せになれそうなのに。)
    と、思い込んでいる?

    そんな風に思えた。

    おもしろいな、と思ったのは、
    そんな二人を傍で見ている少女の存在。

    (どうして、この大人達は悩んでいるのか?)
    全くわからない。

    大人達の気持は痛いほどわかるが、
    視点を変えてみたならば、

    なるほど。
    悩む必要ないのかも・・・
    なんて、思えてしまうところに
    ミリさん作品にしては珍しく(答え)があった様な気がした。

  • ハッとして、じんわりきて、少し元気になる。
    わたしはミナ子さんであり、タエ子さんであり、リナちゃんのようでもあり。
    そしてわたしはわたしなんだ。

  • 人にはそれぞれの立場があり、考え方がある。
    日常では油断すると、自分の立場からしか物事をみずに、人のことをああだこうだと言ってしまう。でも。みんなそれぞれに悩みがあって、幸せそうに見える人でも満たされない何かを持ってる。幸せってなんだろう。人に優しくって、どうしたらいいんだろう。

  • すごく基本的な疑問を、静かに重ねて聞いていく感じ。
    益田ミリさんの作品ならではの、優しいトーンが全体に流れている。

    少しだけ人を羨ましく思いながら、時々自分の「幸せ」について点検していければいいのかな、と思う。
    平凡に、落ち着いた日々を送れることのありがたさをかみしめながら。

  • 独身35歳、義妹のタエちゃんとおんなじ立場。とっても共感。
    でも、結婚したらママのミナ子さんの気持ちにもなるんだろうな。自分の存在感がなくなっていくような気持ち・・・。
    タエさん、ミナ子さん、リナちゃん、みんなの言葉がぐっとくる。

  • 専業主婦と独身女性の双方から描かれている漫画。

    それぞれの感情がとてもわかりやすかった。

    とくに、専業主婦の働かなくても別に生きていくために支障はないけれど、でも社会から切り離されている感覚というのがすごく気持ちが分かった。

    周りから幸せでしょうというレッテルを貼られてしまう。
    たしかに旦那もいて子どももいて幸せなことではあるけれど、
    なんとなく、幸せって心から言えない感じ。。

    なんかモヤモヤする感じが、読んでいて泣きそうになった。

  • (2010/9/7 Yahoo!)
    新聞の本の紹介コーナーでキョンキョンが推薦していた作品で、その紹介文に
    興味がわき、借りてみました。
    予約待ちをして、手にした本は… 漫画でした (゜_゜) それも、とってもゆる~い♪

    漫画で、なおかつとても薄い本だったので、もちろん、あっと言う間に読み終えてしまいましたが、
    枕元に置いて、毎晩寝る前に本を覗いてはクスクス ( *´艸`) 返却期限まで、寝る前のお楽しみに
    していました。

    全てのエピソードに、「ほしいものはなんですか?」 のお題が掲げてあります。
    主な登場人物は、小学生のリナちゃん、サラリーマンのパパ、40歳の誕生日を迎えたママ (ミナ子)、
    パパの妹で35歳独身のOLのタエちゃん。
    ママのお母さんは (リナちゃんのおばあちゃん) は入院していて、ママは度々タエちゃんにリナちゃんを預けて
    病院に行きます。
    その時のリナちゃんとタエちゃんの会話がおもしろい。 リナちゃんの小さな疑問にも、きちんと答えるタエちゃん。
    その話をママとの会話の中に、ちらりほらり出していくリナちゃん。

    ママは生きがいを求めて仕事を探すんだけど、それをタエちゃんは 「(ママとは違って) こっちは本気で
    お金がいるから」と、リナちゃんにこぼします。
    それをリナちゃん伝い聞いたママは、「言葉にすると生まれてしまう。敵か味方か」 って感じる微妙な心が
    頷けます。

    そのタエちゃんが一番欲しいものは「保証」 なのです。
    ママと、タエちゃんの、微妙な心境に、思わず ( *´艸`)

    かわいらしくちょっと首をかしげて、夫に自分がいくつに見えるかと聞くと、「35歳」 と答えられ、
    「33歳は無理」 といわれるママ。

    口には出さないけど、いろいろ考えながら歩いていて、最後に「つまんねーなー」 とか、わざと悪い言葉を
    吐き捨てたりするママ。

    夫の 「一日働いて帰ってきたのに、野菜炒めっていうのもさみしいっていうか…」 の言葉には、
    「わたしはぜんぜん働いていないの?」 と思いつつも、「言ったって空気悪くなるだけだもん」 って、
    何も言わないママ。

    「主人公」 = “他に代わりがいない大事な人” と、 「主人」 = “家で一番えらい人” のエピソード。
    最後に、風に飛ばされた夫の洗濯物を拾ってくれた人に対して、「主人のです~」 と言わず、
    あえて 「夫のです~」 と言うママ。

    ごく普通の日常の中の、とてもありふれたお話なんだけど、言葉の使い方や、このゆるい絵で、
    ほわ~っと自然に私の中に入ってきました。 そして、とっても胸に響き、とっても癒されました。
    アラサー、アラフォーの時に読んでいたら、もっとピタッと来たかもしれないですね。

  • 女のモヤモヤを描かせたらミリさんはほんとにうまいなあ。あのフッと我に返る瞬間、分かります。好きかどうかはおいといて。「主人公」というりなちゃんの答えを、走って追いかけてほめるお母さんがよかった。

  • 読んでて、辛くなってきました……うんうん、わかる、わかりすぎる。と。どうしてこんなに胸に刺さるのか……

  • 独身の頃に自分が感じていたこと、主婦の友だちに対して感じていたこと。
    逆に今、主婦になって自分に感じること、働いている友だちに対して感じること。
    そんな色んな気持ちを、ページをめくるごとに思い出したり実感したりで感情が忙しく揺れました。
    タエ子さんの気持ちもミナ子さんの気持ちもわかるし、見て見ぬふりをしていた感情を活字で突き付けられたようなところもあってちょっと辛くもなったり。
    でも最後にリナちゃんが言った「誰にもなりたくない」の一言。
    それと「主」のつく熟語を考える宿題に『主人公』を選んだエピソードで、ちょっとスーッと晴れ晴れした気持ちになりました。なんでだろうな…

    タエ子さんの「人生には『わたし』がいなくちゃ!」はシンプルだけどけだし名言!
    あと「女の人はどうして習い事が好きなの?」というリナちゃんの問いへのミナ子さんの「人生をマシなものにしたいからじゃない?」の答えは、言って後悔してたけど核心ついてると思う。

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に『欲しいものはなんですか?』『みちこさん英語をやりなおす』『そう書いてあった』『今日の人生』『しあわせしりとり』『すーちゃん』シリーズ、『マリコ、うまくいくよ』『僕の姉ちゃん』シリーズ、『スナック キズツキ』『ツユクサナツコの一生』『ヒトミさんの恋』『ランチの時間』等がある。

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