「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ (シリーズ22世紀を生きる)

著者 :
  • ミシマ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908533

作品紹介・あらすじ

「経済成長なき時代」のお金の生かし方――
「消費第一世代」として、株主資本主義のど真ん中を生きてきた著者がたどりついたのは、半径3km圏内の暮らしだった……。

【銭湯経済】
空虚感を埋め合わせるための消費欲に支配されることなく、
職住が隣接した町のなかで、見知った顔の人たちが働き、暮らし、銭湯につかる。
その落ち着いたリズミカルな暮らしが営まれる、半径3km圏内でめぐる経済。

消費者であることは、半ばは自分で選び取っていますが、半ばは企業や市場にコントロールされています。
その状態から、決意して逃避しなければならないと、わたしは思うのです。いや、決意なんて大げさなものではなくてもいいんです。アイデアをちょっと変えてみる。
では、どうするか――。それをこの本をとおして考えていきたいと思います。
――本文より――

シリーズ22世紀を生きる第三弾!!

感想・レビュー・書評

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  • 経済成長から定常化社会という枠組みの本自体はもはや珍しいものではなくなったが、この本はそのテーマについて、自身の経験を踏まえて論述をしていることで、具体的なイメージを持つことができたように思う。

  • 東2法経図・6F開架:331.87A/H64s//K

  • お金に依存しない暮らし、そのヒントを得るにはこれまでの日本の経済発展、米干渉の元、発展と破壊を振り替えることは、非常に勉強になる。消費者が賢くならないと仕組みは変わらない、大いに納得する。小商いを取り入れたい。

  • 経済論から見た、脱消費本。
    ミニマリズムにも通じるなと思ってずっと"読みたい"に入れてたのをやっと読みました。
    予想以上に経済関係の話が満載で、私には少し難しいところもあったけど驚くほどさくさく読めました。
    経済面は今まで避けてた分、知らないことも多くて面白かったのかも。
    知らずに感じてた部分や、納得な部分もたくさんありました。
    どこか操られてる感がある消費社会は、やっぱり気持ちが悪いです。意識していこうと思う。
    欲を言えば、もう少し著者の脱消費後の暮らしの部分を読んでみたかったです。
    そこがやはり最近よく出てるミニマリスト本とは全然違うところでした。

  • 今ならまだ間に合うかも、の「脱・消費者論」。
    うちのお婆ちゃんの遺品にも、新品の下着が沢山あったっけ。そして現在、同じ家で両親が隠居してる。コレってチャンと共同体が作用しているってことだよね。ちょっと安心。
    キーワードは「スペンドシフト」。駅から遠いけど、これからも商店街のパン屋や和菓子屋で買い物しようっと。それから「贈与経済」。私にも、ビックリする程高品質な物を譲ってくれる年上の友人がいる。彼女は早期退職してて携帯電話を持っていない。少し見習わなきゃな。そして、小さく稼ぐ「小商い」で消費行動を変える。

    あ、プチ・ホリエモン的な著者の半生記は、もちょっと端折っていいのではw。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  消費者第一世代として
    第2章  戦後は消費化の歴史だった
    第3章  消費ビジネスのなかで
    第4章  あれは戦争だった
    第5章  それでもアメリカに憧れる日本
    第6章  詐欺化するビジネス~ウォールマートから」プライベイトブランドへ
    第7章  消費者マインドを超えて
    結語に代えて~滅びゆくものに積極的な意味を与えるということ

    <内容>
    著者の歴史とともに、現在の日本の社会の様子に斬りこんだもの。戦争に負けた日本だが、戦後の高度成長により、再びアメリカに脅威を与えたが、1990年代のバブル崩壊後は、アメリカが経済政争に再び勝利し、経済はもちろん政治的のも日本は牛耳られ、思い通りにコントロールされている。またウォルマートのような出店こそは何とか堰き止められたが、大店法の改正により、町の商店街が壊滅的に破壊され、ロードサイドのショッピングモールに代わっていった様子を説明。今後は、「小商い」(身のためにあった消費)をしていくのが、日本の生きる道と説く。そのためには、大きな会社(ましてグローバルな会社)はいらないし、地域の顔の見える範囲で商売をし、コミュニケーションをとるべきという。同感である。少しずつだがそんな動きがあちこちで見え始めていることが、救いかもしれない。


    逗子市立図書館

  • おカネは、ただの交換ツールにすぎませんが、それが差別の指標になったことで信仰の対象という地位を獲得しました。

    脱・消費者、「起業」でなくて「小商い」など、信仰から逃れるにはどういうやり方があるかについて、エッセイ調に書かれている。

    対立軸ではなく、その中から逃れられないとして、どのように生き延びるかという視点で描かれていると感じた。

    資本主義が進むと、アノニマス化するというのは正にその通りと感じた。

  • 「人間は本来、雨風をしのぐ家があり、そこで家族や友人とご飯を食べ、ときには酒を飲み、わいわい楽しく生きていければ幸福を感じることができる生きものです。人間を不安にさせるのは、将来がいまよりも悪くなるという予兆です。将来がいまと同じであるならば、退屈はするかもしれませんが、神経症的な不安に陥ることはない。退屈を紛らわす方法なら知っている。そういう風景を、想像力を働かせて思い浮かべてみるのが、まず第一歩だと思うのです。」(p.222)
    「消費欲は、商品の群れのなかを行き来することで昂進したり、不規則な生活や、ストレスフルな仕事や、人間関係の不調といったものを埋め合わせるためにさらに昂進するのです
    。現代人の過剰な消費とは、過剰なストレスからくる空虚感を埋め合わせる代償行為ともいえるでしょう。」(p.240)

  • 漠然と感じていた経済政策とグローバリズムに対する胡散臭さに対して、ああこういうことなのかという一つの解を与えてくれる書籍です。
    実証的でもないし、論理的な積み上げもない、筆者の経験則による語り口ですが、筆者の雑食的な参考文献のバラエティーが心地いいです。
    筆者の提案が絶対解ではないでしょうが、いびつな社会構造に対する問題提起としては、必要十分なのではないでしょうか。

  • 「消費」をやめ、「消費者から下りる」。何かしら生き生きとしたヒントとなる知恵に触れられるかと思い手に取ったが、期待外れだった。副題の「銭湯経済のすすめ」というのも、銭湯代とコーヒー代以外にはほとんど出費がないという著者の最近のライフスタイルの紹介にとどまり、それも単に年齢に応じた消費の変化なのでは?とツッコミを入れたくなる。 発想に深みがなく薄っぺらいので、例えば「アメリカに押し付けられたグローバル標準によって、日本的共同体がすべて解体させられた」というような、極端にわかりやすく粗っぽい図式化が目立つ。

    著者は、われわれ消費者が匿名性から脱し、顔を取り戻すために、断捨離のような、不要なものを削ぎ落とすことは有用で、人間性を回復していく試みの一つと高く称揚する一方で、昔の人は、ゴミだと揶揄されても何かしら使い道を見つけては、物を捨てず大切にしていたものだと懐かしむ。

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著者プロフィール

1950年、東京・蒲田生まれ。文筆家、「隣町珈琲」店主。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、翻訳を主業務とするアーバン・トランスレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe Inc.の設立に参加。2014年、東京・荏原中延に喫茶店「隣町珈琲」をオープン。著書に『小商いのすすめ』『「消費」をやめる』『21世紀の楕円幻想論』、『移行期的混乱』、『俺に似たひと』、『株式会社の世界史』、『共有地をつくる』『「答えは出さない」という見識』他多数。

「2024年 『ひとが詩人になるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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