私の作文教育

著者 :
  • さくら社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904785751

作品紹介・あらすじ

「これは戦いの本です。」――教育哲学者・宇佐美 寛が示す作文原理
悪文・駄文を書く大学教師に教えられた学生が教師になる。子どもにこの病気は伝染する。故に教師は、もっと勉強するべきだ。「何の目的で、どんな内容の作文をさせるべきか」の自覚のないまま「どう上手に書くか」ばかり気にする低次元の技術主義に支配されていてはいけない。子どもたちに「書かずばやまじ」という必要感・情熱を生じさせるのだ。

感想・レビュー・書評

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  • 読みにくい部分もあるが、論理が必要であることは勉強になる。

  •  宇佐美節を堪能。
     脳に汗をかく指導、これこそ、オルタナティブなアクティブ・ラーニング。

  • 前に読んだ同著者の本とは打って変わって良書。
    特に「出口論争」のところは白眉。出口論争が何たるかまったく知らないのだが、著者の圧倒的な攻撃力はわかった。論理的思考に興味ある人は、あそこだけでも読むべき。

  • 「文章は、他者に読ませてその人に影響を与えるために書くものである。」
    というだけあって,非常に読ませる内容。刺激的。

    「書き手である私は、既に知っていること、既に考えていたことを材料の一部分として書くのである。しかし,その文章を読む者は、まだ知らないし,考えてもいない。だから、読ませて効果が得られるためには、簡単に手短に書いたりしてはならない。いわば、少しずつ角度を変えながら、わからせるのである。少しずつ内容をずらして、多面的に知らしめるのである。こういうゆっくりと少しずつ移っていく文体ならば、読者は疲れない。どこかで、わからない所、読み落としや誤解が有っても、読み進むうちに解釈が成り立つ。修正される。」
    文章を書く時の極意だ。

    「1 文をなるべく短く書く。(原稿用紙でいえば、一文を3行程度以内で書く。)言い換えれば,句点をはやくつける。これは、内容についていえば、一つの文の中でいろいろな事柄を書くのを避けるということである。なるべく一つのことだけを書くということである。つまり、「一文一義」である。また、その「一つのこと」に関係が無い無駄なごくは使わないように注意するということである。」

    この文章に,まさに「一文一義」の極意が隠されている。隠されているというか「しつこく」にじみ出ている(笑)

    「2 何について述べている文なのかを明確に書く。そのために有効ならば,できれば、いわゆる主語をあらわに書き込む。」

    「3 このような文相互の連絡関係を明瞭な形で表す。つまり、このような関係を示すための語句が入るところは入れる。「しかし、」・「だから、」・「そして、」「例えば、」・「いいかえれば、」「これを具体的に示せば、」「このような、」・「さきに述べたように、」等である。」

    「4 必要な事柄を述べるべきなのであり、筆者の心理を書き表すべきではない。さきの作文例でいえば、「読んで感じたことは・・・」「・・・と思う」のような筆者の頭の働き具合を示すごくは事柄を明確な秩序において述べるのには妨げになるばかりである。思ったり感じたりした事柄だけを書けばいいのである。「思った」・「感じた」という働きはかいてはならない。」

    非常に明確である。痛快でもある。納得した。

    「作文においても、具体例を重要な位置に(なるべく早く)、十分に豊富に書くようにするべきである。具体例に語らせるのである。まとめは、補助に過ぎない。索引の項目のように、まとめの語は周囲の部分を目立たせる視覚的役割を果たす補助である。そう見なした方が、具体例を生かし詳細・綿密に書くことができる。」

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著者プロフィール

1934年神奈川県横須賀市生まれ。東京教育大学教育学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士課程修了、教育学博士。東京教育大学助手、千葉大学講師、同助教授、教授(1993-97年教育学部長、1998-2000年東京学芸大学教授併任)。1961~62年米国、州立ミネソタ大学大学院留学(教育史・教育哲学専攻)。現在千葉大学名誉教授。九州大学、山梨大学、岩手大学、山形大学、秋田大学、茨城大学、上智大学、立教大学、早稲田大学等の非常勤講師(客員教授)を務めた。
著書に『私の作文教育』『教師の文章』『国語教育を救え』(以上、さくら社)、『宇佐美寛・問題意識集(1~15)』(以上、明治図書)、『論理的思考』(メヂカルフレンド社)、『大学の授業』(東信堂)等多数。

「2019年 『教育と授業 宇佐美寛・野口芳宏往復討論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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