昔日の客

著者 :
  • 夏葉社
4.25
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904816011

作品紹介・あらすじ

尾崎一雄、尾崎士郎、上林暁、野呂邦暢、三島由紀夫…。文学者たちに愛された、東京大森の古本屋「山王書房」と、その店主。幻の名著、32年ぶりの復刊。

感想・レビュー・書評

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  • 「古本屋というのは、確かに古本という物の売買を生業としているんですが、私は常々こう思っているんです。古本屋という職業は、一冊の本に込められた作家、詩人の魂を扱う仕事なんだって。ですから私が敬愛する作家の本たちは、たとえ何年も売れなかろうが、棚にいつまでも置いておきたいと思うんですよ」(復刊に際してより)

    〈山王書房〉店主・関口良雄さんがお客さんと夢中になって話しておられた、その頃中学生だった息子・直人さんの記憶です。
    直人さんは、“父の仕事を誇らしく思い、感激して胸が詰まりそうになった”と綴られています。
    こんなにも古本屋という仕事に対しての信念、そして文学者へ尊敬と親しみを持って、一途に古本と向きあわれた店主・関口良雄さん。こちらのほうこそ感動で胸が詰まりそうになりました。

    尾崎一雄、尾崎士郎、上林暁、野呂邦暢………。
    文学者たちに愛された、在りし日の東京大森の古本屋〈山王書房〉と、店主・関口良雄さん。
    関口さんと交流をもたれた数々の文学者との、おおらかでユーモアの溢れた日々が綴られた古本随筆です。

    わたしは、明治、大正、昭和に活躍した文豪たちの貫禄ある風格には常々憧れを抱いていたのだけれど、関口さんの描く文学者たちの姿は、とても穏やかで、ときにお茶目な部分も見せてくれます。それがまたあまりにも魅力的で、ますます憧れが強くなっていきます。それだけに、この世から消えてしまった故人を偲ぶ随筆には、しみじみとした余韻がいつまでも深く心に残りました。

    また関口さんが古本について綴られた文章には、どこかセンチメンタルな気持ちにもさせられます。
    〈あの本はあそこから買った本、この本はあの人から買って来た本、と本を巡る思い出はその本を持っていた人達への思い出とつながって行く。〉
    なんと奥深き古本の世界。ああ、哀愁を帯びた古本の世界。

    印象深かったのは、著者が心惹かれる本について綴られた文章です。
    〈大正生まれの私は、大正時代に出た本に最も心が惹かれるのである。大正の本は概して地味である。大正という時代があまりパッとしなかった故か、本もその時代を反映して地味なのかと思われる。色も艶もない装丁で粗末なハトロン張りの函に入っていたりする本が多い。しかし、これらの本は、見かけは無骨でも、造本はガッチリ出来ている。〉
    その文章を読んだとき、これはわたしが抱く、その時代を生きた文豪たちへの心象そのものではないかと驚きました。
    その思いは自然と、とても丁寧で美しい装丁の『昔日の客』へと繋がっていきます。
    うぐいす色の布張りの表紙。流れるような達筆のタイトル『昔日の客』と著者名『関口良雄』。口絵には優しい色合いの「大森曙楼旧門付近」、裏表紙には「在りし日の山王書房と店主の後ろ姿」のほのぼのとした版画。
    そんな慎ましさと愛らしさ、そのなかに一本筋の通った強さが表現されたような装丁の随筆集。
    きっと関口さんはこのようなお人柄だったのだろうなと思わせてくれる素晴らしい佇まいの本でした。

    • nejidonさん
      地球っこさん、コメント第二弾です・笑
      今一番読みたい本を、このような素敵なレビューで読むことができて、とても喜んでおります。
      河野さんの...
      地球っこさん、コメント第二弾です・笑
      今一番読みたい本を、このような素敵なレビューで読むことができて、とても喜んでおります。
      河野さんの本で紹介されていましたよね。
      心を込めて仕事をしていたひと、それに応えたひと、私もまたそんな本に憧れます。
      手に入れて読むのがいちだんと楽しみになりました。
      ありがとうございます!
      2020/07/13
    • 地球っこさん
      nejidonさん、おはようございます。
      コメントありがとうございます(*^^*)

      レビューはいつもどおり拙いものなので、この本の魅...
      nejidonさん、おはようございます。
      コメントありがとうございます(*^^*)

      レビューはいつもどおり拙いものなので、この本の魅力が存分に伝わるとは思いませんが、とても素晴らしい読書時間を過ごせたことはお伝えしたいと思います。

      この本は「365日のほん」に紹介されていたと思うのですが、その頃に入手しました。
      入手したことで満足して、ずっと積ん読状態だったのですが、先日のnejidonさんのレビューとコメントのやり取りから、本を読むことが本を大切にすることなんだろうなと反省……(^_^;)
      読みはじめたら、やっぱり引き込まれました。
      これからもずっと大切にしたいと思える本でした⭐



      2020/07/13
    • 地球っこさん
      nejidonさん、第二弾のコメントありがとうございます。

      河野さんの本は、まだ読めてないのですが、そうでしたか。
      まずは「365日...
      nejidonさん、第二弾のコメントありがとうございます。

      河野さんの本は、まだ読めてないのですが、そうでしたか。
      まずは「365日のほん」でチェックして積ん読になっている本から読みはじめました。
      「365日のほん」も、読みごたえのある本がたくさん紹介されてましたよね。
      やっぱり素晴らしい本は、いろんなところで紹介されるんですね。
      2020/07/13
  • 本書の来歴はとても興味深い。
    筆者の関口良雄さんは、東京・大森で古書店「山王書房」を営んでおられた方である。
    何人かの有名な作家とも顔なじみであり、そういった作家との交流や、日常のあれやこれやを、折に触れ、随筆の形で各誌に書かれていた。本書中で最も古いものは、昭和34(1959)年に書かれたものであり、最も新しいものでも、昭和52(1977)年に書かれたものだ。還暦の記念にという意図で、随筆集という形で本を出版する計画が持ち上がり、口絵や装丁などの詳細まで定まった時点で、筆者ご本人が癌に侵され、出版を待たずに昭和52(1977)年8月22日にご逝去。ご子息が筆者の遺志を汲んで、三茶書房より本書を発行されたのが、昭和53(1978)年10月のことである。
    発行部数はわずか1,000部であったが、古書好き・読書好きの間で話題になる。入手困難で数万円の値が付き、「幻の一冊」と呼ばれるようになった。平成22年(2010)年に、夏葉社から復刊。私が読んだのは、2015年の第八刷であるので、順調に売れ続けているのではないかと推察する。

    しみじみとした味わいのある随筆集だ。派手なこと、大事件は何も起こらない。
    完全にネタバレになるので、詳しい内容には触れないが、本書の書名にもなっている「昔日の客」という随筆は、筆者と芥川賞作家の野呂邦暢さんの交流を描いたものである。最後まで読んでいただければ分かるが、人間の出会いというのは素晴らしいものになる可能性がある、ということをしみじみと感じさせてくれる。

  • 私から言わせると、この本の内容は、昭和30年代から40年代にかけて東京郊外にあった“古本屋のオヤジ”の“ざれ言”である。でも通読すると、なぜかほっとする。思わず笑みがこぼれる。
    でも、なんでほっとして笑みがこぼれるんだろう?それは息子の関口直人さんが復刊に際して寄せた一文にある「古本屋にとって、面白い時代を生きられた」という点につきるのでは。

    自分の好きなことを言って、書いて… もちろん今もそんな生活をしてる人はそれこそごまんといる。けれど今とちがって、このスッキリとした感じは何だろう?って、ちょっと真剣に考えて、自分なりに出した結論は、今と違ってイヤミがない、ということにつきると思う。好き放題言ってても、毒がないし攻撃的でない。頭ごなしに怒る感じじゃない。また何より否定的でない。
    今じゃ、たとえばツイッターやブログにちょっと自分の考えを載せたら、それを否定し、さらにその人の人格全てを否定するくらいの勢いの口汚いコメントで毒づかれる時代。作家も古本屋も、そしてあらゆる人が、そんなのにいちいち晒されたら、正直やってられないと思う。

    そうではなくて、自分の趣味をさらりと示して、ちょっと言い過ぎ、やり過ぎても、それを軽く笑い飛ばすような雰囲気が、時代のなかに、人々のなかにあったとしか言いようのない描写がこの本にはあふれてる。
    (実際、著者の関口良雄さんも、他人へ話すのが好きで、時に商売そっちのけであること(ないことも?)話し込んで奥さんにアキレられたり、飲むのが好きでお酒が入ると民謡を大声で歌いたくなり、高名な作家の前だろうとお構いなしで“いなかっぺ大将”状態になったり、という場面が一度ならず出てくる。)だから、ほっとするんじゃないかな。

    時代を時計の針のように巻き戻すことはできないけど、ああいう楽天的な空気って決して悪くないと思うし、他方で、なんでこんなに老若男女すべてがギスギスした攻撃的で排他的な社会になってしまったんだろ?って考えてしまう。だからもし、著者のようなタイプの人が今も「現役」で活躍しているのであれば、批判は可、ダメ出し可、今の常識から照らして疑問の提示も可、だけど「否定」はしないでおきたい。
    他人の言うことやることを誰もが徹底的に否定してかかるようになってから、こんな嫌な空気が支配する今の世の中になったとしか思えないから。

    著者の関口さんは上林暁さんから「本を愛する人に悪人はいない」と言われ、「こりゃあ悪人になれないぞ」って瞬間に頭に浮かんだって“正直に”書いてる。関口さんのそういう一見、外連味溢れる文章に「それは違うぞ」って思っても、否定から入るのはやめようよ…そういうスタンスならばこの本の外連味が深味となって素直に染みてくるはず。
    自分の主張や好みに合うか合わないかってだけで、なんでも物事を二元論で切り分ける時代の空気に息が詰まりそうになってる人に、特におすすめします。
    (2015/5/23)

  • とても大切にしたくなる本。
    それはきっと、関口さんご自身が、人間であることを存分に味わい、大切にされてきたからだろうな。 「好色の戒め」「父の思い出で」「某月某日」が個人的に特に好きでした。

  • 夏葉社の本はいいなと、読むたびに思う。
    人の誠とか日常のなにげないもろもろが描かれていて、
    「私はこう生きていきたい」と思える見本のようなものがそこにあると思える。

    この本に出合ったのは、馬込文士村のことを調べていたことから。YOUTUBEを見ていると尾崎士郎記念館でこの本を示して話す男性がいた。著者のご子息の直人氏である。そしてその本こそが夏葉社のHPで時折り目にしていた本だった。

    大田区山王にあった古書店「山王書房」の店主の随筆。尾崎士郎氏にかわいがられ、たくさんの文士たちと交流した様子が描かれている。
    大きな事件が起きるわけでもないその様子は、昔、こんなふうに日本人は暮らしていたんだろうな、本っていうのはこういうふうに読まれ、必要とされてきたのだなと思うだけで胸が熱くなる。
    そしてこの本のたたずまい、布張りの上製本は、図書館で借りた私にも美しさを届けてくれた。
    こんなにも美しく、イメージ通りに復刻してくださった島田潤一郎氏に感謝。

    そしてこの本の覚えを記そうとここに来てみたら、思った以上の方たちが感想を残しておられたことにも驚いた。

    p43
    上林暁先生訪問記
    上林暁先生の家を訪問し、「ちちははの記」に署名をお願いしたときの様子が書かれている。
    ・「これでいいですか」と先生は筆をおかれた。きちんとした正しい字で「本を愛する人に悪人はない」と記してあった。
    瞬間私は、こりゃあ悪人にはなれないぞと思った。
    私は先生にお別れして帰る途すがら、ほんとうの文学者に合ったという感動で胸が一杯になり、難解も何回も署名に見入った。

    p66
    お話二つ その一つ
    古本市で仕入れた本を車をひろって積み込み、家に帰る途中に運転手さんと話したときのこと。その運転手さんは人の好さそうな体つきのがっちりした若者だった。運転手さんは太宰治も上林暁や尾崎一雄も松本清張、源氏鶏太、吉川英治も知らなかったが宮本武蔵は知っていた。その彼がつくづく東京がいやになったので田舎へ帰るとはなしてくれた。
    ・私は話を聞いているうちに、若者の無知を軽蔑するどころか、すがすがしい気持ちになり、立派だと思った。
    若者よ、君は本を苦手だと言い、本を読まないことをはじていたね。そんなこと、少しもはじる事はないんだ。君の心は、この濁った東京に住んで、少しも汚れなかったではないか。都会には、本を読んでも精神の腐ったのが、ウヨウヨしている。

    p156 
    スワンの娘
    古書店を始めたばかりのころ、浦和の友人から本を買い付けた。雪が降り、荷物も重く、ひと休みしたいと有楽町のスワンという喫茶店でコーヒーを頼む。雪がひどくなったので本を預かってほしいとレジの娘に言い、翌日取りにくることにする。翌日本を取りに行った著者は、娘に「この中から好きな本をあげる」と言うと、娘が選んだのは川端康成の『雪国』だった。
    それからその喫茶店に行くたびにケーキがでてくるようになる。そのお礼にと著者は映画に誘う。『ローマの休日』だ。ところが、その日、娘はギリギリに約束の場所へやってきて、郷里の鳥取が大火に遭い自分の家が焼けてしまって今から帰ると言う。著者は東京駅まで送る。
    その娘を思い出したのは、それから何年も経って山陰を旅したときのことだった。
    ・誰かが大山だと叫んだ。
    ああ、あれが山陰の名山大山かと思った。
    それは故郷の山でなくてさえ、襟を正すような感銘を覚えた山だった。
    ふと、長い間忘れていた一人の娘のことがよみがえって来た。ほかならぬスワンの娘のことだった。
    初めのうちは、遠い記憶の中で霧ように流れていたものが、だんだんと形を整えて来ると、いま見る大山の前に、娘の姿は雪女のように現れて来た。
    大山の話をよくしてくれたのは、スワンの娘だった。

    息継ぐ間もない世相の中に生きていると、何か特別のきっかけがない限り、記憶は永久に鳥取の砂丘に埋もれ、白兎海岸の波間に沈んでしまうかも知れない。
    大山や鳥取の街は、眠っていたスワンの娘の記憶を呼び起こしてくれた。
    それは私の人生に無用なものかもしれない。が無用の物の中にこそ、言い知れぬ味わいがひそんでいるものだと思う。
    通り過ぎようとしているこの故郷の鳥取の街のどこかに、スワンの娘はそのまま住みついたのか、そうだとしても今は尋ねるすべもない。

    すばらしい。私の中の何かと共鳴して涙が出る。

    p204
    昔日の客
    作家 野呂邦暢の若き日のできごと。
    野呂氏が山王書房の近くに住んでいて、よく山王書房に本を買いにきていた。事情で郷里に帰ることになった野呂氏が欲しがっていた「ブルデルの彫刻集」という1500円の値札の付いた本を、著者は千円に負けて売る。
    そんなできごとを忘れていたが、昭和49年、野呂氏は芥川賞を受賞し、その授賞式に著者を招待する。そして著者の娘の嫁入り道具の運び出しを手伝ったりする。
    ・話の途中で野呂さんは、何かお土産をと思ったけれど、僕は小説家になったから、僕の小説をまず関口さんに贈りたいと言って、作品集「海辺の広い庭」を下さった。
    その本の見返しには、達筆な墨書きで次のように書いてあった。
    「昔日の客より感謝をもって」野呂邦暢

    p222
    復刊に際して
    著者のご子息の直人氏が中学生の頃、お父さんがお客さんと夢中になって話していた。
    ・「古本屋というのは、確かに古本という物の売買を生業としているんですが、私は常々こう思っているんです。古本屋という職業は、一冊の本に込められた作家、詩人の魂を扱う仕事なんだって。ですから私が敬愛する作家の本達は、たとえ何年も売れなかろうが、棚にいつまでも置いておきたいと思うんですよ」

  • 美しいのです。
    本そのものの佇まいも、もちろん帯も栞紐も、その他すべてが。
    このような本の中に、素晴らしいことが書かれていないわけ、ありません。
    大事に大事に、大事にしたい。

  • うぐいす色の布貼りの表紙。
    中身にふさわしい布貼り装幀で、本は目で読むだけでなく、手で触って読むものだな、と思い出させてくれる。
    手渡してくれた書店主さんは、「汚れやすいからね、早く何かカバーをかけたほうがいいですよ」と一言添えてくれたけれど、この布の手触りもまた中身への期待をほくほくと掻き立ててくれるようで、手をきれいに洗ってからちょっと撫でてみる。それからカバーをかける。カバーはかけたけれど、また読む時には手をきれいに洗って、やはり一度は撫でてみてから、読む。

    東京大森の小さな古本屋「山王書房」店主が綴る、作家さんたちとの交流、古本の話は愛情に溢れている。

    見知らぬ大きなお宅の朴の落葉がほしくて、すみませんが少し下さいませんか、と頼む話がある。「落葉はいくらでもあげますが、一体あなたの職業はなんですか」と聞かれて、「ハイ、私は落葉屋でございます」と。
    いいな、落葉屋。
    落葉も、古本に似ているかもしれないな。新刊本には決してない渋いようなほろ苦いような、でもどこかなつかしくて温かいような感触。

    それから、前夜失くした古本の包みを駅の遺失物係に探しに行ったら、中年のご婦人がこれこれの品物を主人が昨夜忘れて…と尋ねていて、同じような人がいるものだとふと見ると、自分の奥様だった、とは、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」をふと思い起こさせるようではないか。

    ああ、無用なものほどなんとうつくしい。
    ずっとずっと読んでいたい本だった。

  • 島田潤一郎「あしたらか出版社」を読んで手に取りたくなった一冊。作家の家にぶらりとたずねることができたり、直接電話できたり、道端でバッタリと頼み事できたり、おおらかな時代だったんだなあ、と思った。古書店に出入りする客たちと店主とのやりとり、文豪たちとの交流も一筋縄でいかなく、けれど、「本が好き」でつながってる心地よさを感じさせてくれ。特にタイトルにもなった、野呂邦暢との交流がなんともいえず、距離がありつつも、読んでて心があたたまってくる、味わいのある一編でした。「昔日の客より感謝をもって」(野呂邦暢)でしめくくられる。◆正宗白鳥「だれのものでも、金を出して読むということはその人にそれだけの価値を認めているんですからね...」p.19◆上林暁の本への署名 「本を愛する人に悪人はいない」p.43◆大体、私小説というのは人生の喜怒哀楽を味わって、その上で身につまされて読む作品が多いものだ。p.139◆

  • Jwaveのジョン・カビラさんの番組でこの本を出版した出版社と社長さんのエピソードを取り上げていて、この本と又吉さんとの縁についてのお話がとても心に残った。
    今は図書館に予約しているが、読む前からぜひ手に入れたいと思っている。
    というか、近くに本屋さんがほしい。

  • 古書店の営業から展開されるエピソードを真珠とし、店主である著者自身の生活体験を糸として作った首飾りのような、布張りの装丁の随筆集。
    見たもの触れたことはこういうものであってほしい。それに見合うわたしになりたい。そんな先達の夢と理想が言葉になって現われ、時代の気持ちの所在感が蘇ってきた。いつも暮らしている中の感覚から良い言葉だけを選び、自分が何かに夢中になっていくときに、何が導きの糸だったかがちゃんとわかるように書かれている。恋に落ちる次第を覚えておき、それを伝えてみることはとっても大切で、人を元気にしますね。

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