- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784907497026
作品紹介・あらすじ
第1弾が各方面より大反響を呼び、満を持して発売決定!
作家、井田真木子の作家としての個性が際立つ第2弾。
【私は『目』でしかない】――井田真木子(本書所収インタビューより)
「井田さんの尋常でなく強い視線を必要としている人は、今もなお存在し続けているのではないか」――酒井順子(エッセイスト)
■『小蓮の恋人』(92年 文藝春秋刊 講談社ノンフィクション賞受賞作品)
最高傑作という呼び声も高い作品。「恋愛」という小さな窓口から入り、中国残留孤児2世の置かれた現状を軸に、日中の戦後史が現代に落としている陰が見えてくる。
■『十四歳 見失う親 消える子供たち』(98年 講談社刊)
援助交際という問題を、「子供版の遅れてきたバブル」と捉え、日本の戦後の躓きと、90年代の中高生の間に漂う終末的空気が結びついていく。団塊ジュニアの青春のダークサイドをあぶり出す傑作。
■『詩集 街』(77年 無限刊)
21歳の井田真木子2作目の詩集。抄録。寄稿に田村隆一氏、会田綱雄氏。
■インタビュー「私は目」(リトルモア)/「世の中のキーワード崩すのがが私の仕事」(「ノンフィクションを書く!」)
井田真木子の特異な執筆スタイル、取材方法を語った貴重なインタビュー2本。
井田真木子はいかにしてノンフィクション作家となったのか。また、どのように被写体の心の声を引き出したのか。作家としての井田真木子の魅力と個性が鮮明になるインタビュー。
■座談会「職業としてのノンフィクションライター」(「海燕」)
(井田真木子+野村進+武田徹+岩上安身)
井田真木子がノンフィクション論を展開する座談会。ノンフィクション界の中でも特異な存在感が露わになる。
■エッセイ「平野啓一郎という人」ほか、本にまつわるエッセイ11篇
井田真木子の読書歴、本との付き合い方を綴るエッセイ
感想・レビュー・書評
-
第1作が大変素晴らしかったノンフィクション作家、井田真木子の著作選集第2集。
こちらには、中国残留孤児2世の女性を対象として日本での生活と幼少時を過ごした中国の農村への旅を描いた「小蓮の恋人」、1990年代の渋谷を舞台に援助交際やドラッグなどで刹那的に生きる10代の少女を対象とした「十四歳」という2作の長編が収められている。
「小蓮の恋人」では毛沢東末期の中国農村の悲惨な生活を抜け出すために、寄る辺なき縁を辿って日本にやってきた一族の苦労の様子が生々しい。ようやく日本で安定した生活を手にした一族の中の女性が、自分の中の何かと決着をつけるために故郷の農村を訪れると、そこは鄧小平の改革・開放路線によって急速に経済成長を遂げた街と、女性の幼馴染との再会が待っていた。一人の女性を対象として、中国残留孤児2世の生活や悩みが、普遍的なものに昇華されていく傑作ルポ。
もう一つの「十四歳」は、1990年代という日本のざわついた世相を示すかのような時代感覚が読書と共に体感できる傑作。10代のうちから自らの身体を売り、同じような少年・少女たちと家に帰らずにアルコールやドラッグなどを楽しみながら、傷ついていく彼らの姿が、一人の少女の語りと体験を軸に描かれていく。
徹底的に対象との距離を近づけて、対象に寄り添うという行為は、当然、対象者の心の迷いや痛みでさえも抱え込むことになる。ともすれば共依存的な関係になってしまうリスクを抱えながらも、その関係から見えることを徹底的に文章に仕立てた著者の力量を感じる著作選集。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・さもなくば喪服を、十七歳、長距離走者の孤独
・los angels times stylebook -
ノンフィクション