タフラブ 絆を手放す生き方

著者 :
  • dZERO
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907623548

作品紹介・あらすじ

親子でも夫婦でも、友人や上司・部下と同じ。
私は「私」、相手も「私」。
侵入しない・させない関係をつくる。

寂しさと共存し、
穏やかに、やさしく、
タフに暮らすために。

タフラブ(tough love)は、ベトナム戦争帰還兵のアルコール依存や暴力に苦しむ家族が「生きる術」として生み出した概念。

「手放す愛」「見守る愛」などと訳されている。

東日本大震災以来、「絆」が困難を乗り越えるためのキーワードとして使われてきたが、「絆」は本来、牛馬などをつなぎとめる綱のこと。

親子や夫婦、世間の絆に苦しめられてきた人々のカウンセリングを長年続けてきた著者は「絆」に疑問符を投げかけ、「タフラブ」という生き方を紹介する。『タフラブという快刀』(2009年)を改題し、加筆・修正・再編集した作品。

感想・レビュー・書評

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  • タフラブ(tough love)は、手放す愛、見守る愛のこと。

    私の問題、家族の問題、友人の問題、と課題を切り離すこと。切り分けるコツは、相手がどう反応するかより、自分が苦しいことを優先させること!そして、正直に自分の現在の状態を、主語を私にして相手に伝えること。

    ごめんなさいね、これ以上あなたの話を聞くことはできません。私も専門家ではないので、苦しくなってしまうんです、とスッパリ言うこと。

    タフに生きることは、寂しさに耐えることではない。寂しさとともに生きることだ。

  • 2009年に発刊された『タフラブという快刀』の再編集改訂版だ。
    フラブとは相手が生きていけるように、手を出さない、手を貸さないということだ。p035
    (1)手を出したり、手を貸したりすることでどういう問題が起きているかということ、(2)手を出したり、手を貸したりすることが有効であると考えるのはどういう誤解に基づいているのかということ、(3)具体的にどういう方法:相手に対する言葉のかけ方など、はどういう風にするのがいいのかということが明らかにされる。(60%ぐらいは理解できただろうか。)

  • 私は文学者でもなく、大学の研究者でもない。この日本で家族を営んでいる人たちが直面するさまざまな問題を、カウンセリングで解決するのが私の仕事。

    「これ以上のむと死ぬよ」と酒を取り上げたり、「このまま飲み続けるんだったら別れる」と脅したりすることは、結果的に夫がもっと酒を飲むことにつながる。、むしろ「飲むか飲まないかは、あなたの問題です」と距離を、とった言い方をして、飲んでいる夫を家に残し、自分はアラノンのミーティングに出ることを続ける。このような対応が積み重なった結果、酒をやめる夫があらわれた。

    本人の責任を本人に返し、責任をとるように要求すること。これが、タフラブである。

    妻や母になるということは、「人」ではなくなることなのだろうか。

    じつは、息子が世間に誇れるような人間に育たないことで、父親自身が傷ついたのではないだろうか。

    かつては「親はなくとも子は育つ」と言われていたが、今は「両親がそろっているのに、こんなにいい子に育った」、それがカウンセリングを通しての実感だ。

    その妊娠はだれの妊娠か、産むか産まないかはだれが決めることなのか、その点をはっきりさせなくてはいけない。成人した娘に対して、それは大原則だ。まず、娘の問題に入り込んで自分の問題にしてしまっている母親をカウンセリングのターゲットにする必要がある。

    「あなたの問題」と「私の問題」を切り分けられないと、問題は解決しない。

    子どもの問題では、もっとも犯人にされやすいのが母親である。

    まず自分の頭の中で、誰の問題かを見極め、切り分け、各々の箱にそれらを収めていくこと。これが家族問題解決の基本である。

    仕事から帰ってきた相手を見て、
    「今日は機嫌が悪そうだな、何か嫌なことでもあったのかな」
    と感じたら、そのことを自分からは聞かない。相手に話して解決できるものなら話すだろうが、どうなるものでもないから話さないのだ。
    こんなときは、「わかってあげよう」よりも、「お疲れさま」のひとこととともに、さりげなくビールやお茶を差し出してくれるほうが、ずっといい。

  • 大人としての適切な人間関係の距離感を保とう、ということだと思うし、健全な関係性に必要なことだと思う。それが近い関係だからこそ、理解はできても実践が難しくなることが多いのだろう。

  • 著者はこの本を『「強く」なることをすすめているわけではない(143ページ)』というが、「今までやれなかったことをあえてやる」という意味でかなりの勇気と強さが必要と感じた。
    タフラブは簡単に実践できる手法ではないし、実践を繰り返すことが結果としてより強くなることの練習であるようにも思う。

    自分の心を左右する他人も環境も都合よく変わってくれるわけはないのだから、現状の関係に苦しさを感じている本人が主体となって環境整備をしていくしかない。
    そのための武器がタフラブであり、未だ世の中に蔓延るジェンダー意識や常識と競争社会のストレスの二重苦に翻弄されている現代の人たちにこそ必要な発想と行動指針であると。
    タフラブでは『他者から侵入されない、他者に侵入しない、他者を傷つけない、他者から傷つけられないという控えめなリスク回避を目標とする関係を目指すー 202ページ』
    孤独を紛らわすための「わかってほしい、わかりたい・知りたい」から始まる「親密な」関係は実は相手の領域を侵犯し、自分の思う方向に、理解できる範囲内で相手を支配しようとする一方的な関係であり、その身勝手さがこじれの原因であるからだ。
    適切な距離と関係性を成立させるには
    ・相手に理解してもらいたいという欲求を手放し、相手がどう反応しようとも、主語を「私」にして正直に自分の気持ちを相手に伝えること
    ・自分の限界を自覚して、なんでもやろうとしないこと(相手の問題を勝手に抱え込まないこと)
    のふたつが要だと思った。
    大事なことはあくまで自分の気持ちだけを表明するということであって、「〇〇してほしい/しないでほしい」という要求や、相手の状況をジャッジする言葉を含めないことなんだろう。

    ここまで書いて、やはりかなり難しいし、強くないと一人ではできないな…と思わざるを得ない。実践するのはあくまで本人ではあるが、実践・継続する上では周囲からの支えが必要になる。
    タフラブを実践する上で
    『揺るがないために必要なのは、支えになることば・人・経験などだ。 ー 143ページ』
    また、タフラブを実践することは寂しさと共存することとほぼイコールになるため、寂しさを和らげるために
    『目的別の人間関係を複層的に用意しておき、用途に応じて使い分ける方法ー 165ページ』
    が提唱されていた。

    自分の領域に侵入されないための正直な意思表示と、相手の領域に侵入しないための自分の限界の自覚と相手を信頼して手放す勇気。
    全ての人間関係をやめることはできな以上、安全な関係づくりは決して独りでやることではない。
    ひとつの関係性を支えてくれるのはまた別のところにある関係性、といったようにゆるく繋がり関係し合うのが理想のかたちなんだろうか。

  • タフラブ、とは、支援が必要な人に対して、必要以上に支援をしないこと。相手のことは相手がやるべきこと、という当然のことを当然できるようになることが愛だよ、という本。

    わかっちゃいるけど、手を替え品を替え、被支援者は無意識に「助けて!」と言語でも非言語でも言ってくるし、自分自身がブレないようにするのは本当に難しい…

  • 2023年7月4日購入。
    2023年7月22日読了。

  • タフラブは相手にわかってもらおう、相手にわからせようとすることのない愛といえる。また、わかってあげようとはしない愛でもある。
    本書を読めばこの意味を理解できるのだが、頭ではわかっていても実際にできるかどうかはむずかしい。

  • 最近ウケてるみたい。

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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