- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784907902292
作品紹介・あらすじ
豪雨災害の常襲地帯から学ぶ 〈治水〉と〈共生〉の歴史――。
「日本三大暴れ川」の一つとして知られる大河・筑後川。 阿蘇・九重の源流から有明海まで、 治水と共生を続けてきた流域の 歴史・文化・生活を、 10年以上の歳月をかけて取材した労作。
「筑後川は、阿蘇と九重を源流とする九州最大の河川である。大分県、熊本県、福岡県、佐賀県と四県にまたがり…利根川、吉野川とともに暴れ川の〝三兄弟〟とされている。だが近年筑後川ほど洪水を繰り返した川はない。流域の人々はこの川の猛威とともに歴史を刻んできた。その中で人々が水の脅威にどう対処して生きてきたかを知ることは、河川とともに生きる人々の暮らしを見つめなおすことでもある。…筑後川は、九州に限らず日本全国の河川とともに暮らす人々にとっても同じ問いを投げかけている」(本書「プロローグ」より)
感想・レビュー・書評
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筑後川について詳細にまとめられた傑作です。
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日本三大暴れ川の一つ。九州で最大の大河筑後川。熊本出身の筆者が12年の月日をかけて執筆したライフワークともいえる流域の文化史。
スポーツ系の著作で筆者のことは注目しているが、実は他の分野でも実にマルチな才能を発揮している。本書は筆者の代表作の一つとなるだろう。
九州では最も大きな筑後川。上流から中流、下流と大分と熊本、福岡、佐賀と広大な流域。独特の文化が発展している。長い長いスパンで川と暮らしてきた人々。
近年の気候変動や環境破壊の影響は当然筑後川流域にも。ここ数年は九州では毎年のように豪雨による災害が起こる。長いスパンで見るとそれは実は過去にも起きている。自然と共生しようとしてきて先人たちの努力、山田堰やデレーケ導流堤など。
昭和の消えた仕事、二十四の瞳など筆者の民俗学的なジャンルの作品に続く良著でした。