- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908059049
作品紹介・あらすじ
圧倒的にわかりやすく驚くほどおもしろい。絵画鑑賞の新たな入門書誕生!名画45作品をカラーで収録。なぜ「この絵」は歴史に残ったのか?画家が画家に迫る-
感想・レビュー・書評
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時に著者自身を含む鑑賞者の目線、時に画家の知人の目線、またある時は「作品を描いた画家自身」の目線で、歴史に名を残す名作の数々をレビューするという体裁の本作。
著者の千住博さんご自身も日本画家なので、タイトルに惹かれて手に取ったはいいものの、きっと小難しい専門用語頻出なんでしょうな…と手に取ってみたら。
“ぼくはミロおじさんの絵がとてもすきです。”
小学生の感想文みたいなセンテンスがでてきてビックリ!(笑)めちゃくちゃ読みやすいじゃないの〜。
千住氏の私見・願望・画家に対するイメージが、過分に盛り込まれている感はありますが、絵を描くという行為そのものへの敬意や情熱をひしひしと伝える、愛に溢れた文章です。
絵を見て評価するスタンスは自由でいいんだ!
後世に語り継がれる名作と呼ばれる作品群は、批評家達が決めるんじゃない、我々普通の人間達が決めてきたんだ!
そんな大らかな著者の声が聞こえてきそうな作品でした。
私みたいな美術センスに乏しい頭でっかちな人間は、とかくその作品が作られた時代背景とかから作品を理解しようとするんだけど、そういうアプローチももちろんいいけど感じるままに自分でストーリーを勝手に練っても面白いかもな、って思いを新たにしました。
ゲルニカ特別展、楽しみだな〜。
【感想徒然(覚書】
とりあえず、ラファエロがとんでもなくパーフェクトな画家ということは理解しました。ラファエル前派。
フラゴナールのぶらんこ好きじゃないわ〜って言っておいて、緑とオレンジのコントラスト絶妙!とか褒めてるのおかしい(笑)。
あと、私はロココ好きだわ!わかりやすくて、かわいい!フランス革命をボーダーにしてるってのもわかりやすくていい!
千住さんは、もしかしてゴッホ贔屓?(笑)語る時の熱量が他の作家とちょっと違う印象受けたぞ?
ゴーギャンの?述懐
自作に心慰められる画家の陶酔を表現詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世の中は二つの人間に分かれる。
絵画に関心を持つ人と持たない人である。
私自身は、なんとなく興味のある画家の展覧会をやっていたら、足を運ぶくらいで、絵画に関する知識というのは、あまり持ち合わせていない。
けれど絵画に造詣が深いのは、なんとなくかっこいいし大人の嗜みだなあなんて思ってしまうのは、人情ではないか。
本書は、日本を代表する現代画家の千住博が、西洋絵画の名作に迫る絵画に関するエッセイ集である。なぜその作品は描かれたのか、その絵の持つ真相はなんなのか?隠された意味は何なのか?そんな一歩踏み込んだ考察や情報を楽しむことができる1冊だ。
正直途中読んでいて、自分の知識のなさ、教養の浅さを思い知り少しへこんでしまう人もいるかもしれない。ただ、自分の現在の立ち位置を知ることは非常に知的な行動といえるだろう。
よく西洋のエリートは絵画や世界史への造詣が深いと書籍で紹介されることもある。
確かに、お金も地位も兼ね備えた人たちというのは、極上の会話を最上の趣味としている人も多いかもしれない。そうなれば、歴史や文化に対する知識は不可欠で、それが欠ければ、どうしたしたって会話のレベルは低俗なものにならざるを得ない。
そういう意味では、踏み絵といってよい本かもしれない。人を選ぶ本といえるだろう。
フェルメールの牛乳を注ぐ女というのは、見たことがあるという人も多い作品であるが、そこに非常にエロティックな意味が隠されているかもしれないということを知っている人はそう多くないだろう。
画家の思いや描いた背景を知ることで、ひいては、当時の時代背景や生々しい世界情勢を知ることにもつながる。
絵画を知ることは、実は世界を知ることなのである。そして絵画を通して、世界を知ることは極めて知的で素敵な行為なのだ。 -
今まで読んだ美術関係の本の中で一番面白かった。見たことのある有名な絵も違ったふうに見えてくる。
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千住さんの見方、ってそうなんだ。とても分かりやすく、納得してしまう。
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千住博さんって、もっと堅物な人だと思っていたが、この本を読んで全く違う事が判った。ユーモア溢れる氏の文章に何度も笑ってしまった。これはおすすめできる一冊である。
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「(前略)フェルメールがここに描いたのは、もしかしたら何やら静謐な空間で心が落ち着く、等とは言っていられない胸騒ぎを覚える状況ということもあり得るのではないでしょうか。オランダ絵画はだから面白いとも言え、しかしだったらもっと直接描けよとも言いたくなりますが、きびしい宗教上のしばりの中、それはできなかったのです。」
面白かった!
日本画家が様々な絵画を解説する本で、きっと小難しいんだろうなと思ったらちっとも!
文章上手い…!
しかも、絵によっては自分が画商になり切ったり、画家本人になり切ったりしていて、こんな美術書はなかなかない。
ルソーとピカソの会話が何とも微笑ましい。
更に自分の創作についても書かれていて、とても興味深い。
「怒りや喜びを描いた、という画家の絵もありますが、少なくとも私の場合は、そのような感情は24時間何週間も心の中に固定できませんから、どうしても喜怒哀楽の延長線上にある総体を描くことになります。そうしないと、絵が説明的になってしまうと感じるからです。」
ただ、掲載される絵はページをまたがず、1ページ内に収めてくれたらもっと嬉しかった…。
本の綴じ目で大事なところが見えない絵がちらほらあったのが、ちょっと残念。 -
図書館で借りる。
一解釈として面白いと思った。製作者になりきって紹介する文章は、あまり読んだことがない文章だったので目新しいと思った。 -
日本近代アートの巨匠千住博が、ミケランジェロ、ミロや自分も大好きなターナーの絵を語る。
フェルメールのミルクを注ぐ女は、実は秘密のサインを送っている。すごく官能的な絵なんだ。ダリはフェルメールを崇拝していて、この世が終わるなら、何を持っていくかという問いにフェルメールの作品をあげるほど。レオナルドダビンチの最後の晩餐は、皆こちらを向いていることから劇の描写であると。不自然な点が多いのは、謎掛けに違いない。ピカソのゲルニカは、作品の左下に本人が出ているが、実は作品を描いている最中に愛人2人がハチ合わせるという事故があり、挟まれたピカソがボロボロになっている図とも言われているとか。1937年のドイツ軍によるスペインのゲルニカ空爆を描いた作品なのに、不思議とワクワクしながら描いたのではないか。ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」は、ドラクロワ本人がシルクハットをかぶって出て来ている。等々。
赤と黒ほど違う色も、お互い歩み寄れば必ず美しいハーモニーを奏でることができる。絵を描くこと、音楽を奏でること、調和がもたらす幸福感は総じて一音一色よりも多音多色の方がより豊かな味わいに至るということ。千住氏は、画家は何の為に絵を描くのか?という問いに対して、「衝動」という言葉で表現している。全ての欲求を封じて、絵に向かうくらいの力がある。そして、素晴らしい絵とは見た人に生きる力を与えるものだと。
よい絵を沢山見て、感じて、豊かに生きていきたい。 -
筆者の解釈で名画を解説しています。
時には人物になりきってストーリーのようなモノが入っていますね。
あぁ、そういう見方もあるのか。というのが、1番の印象ですね。