医良戦略2040~2040年の医療を生き抜く13の戦略

制作 : 吉村 健佑  佐藤大介  成瀬 浩史  千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター 
  • ロギカ書房
3.87
  • (6)
  • (4)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 75
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909090720

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2月絶対読みたい!

    胸熱な予感、、
    やはり、これからの医療は未来の自分の幸せな最期のためにも、地域で支え合う。一人では生きれないから、余っている優しさを差し出し合って、医師だけに頼らず、市民医師のように、みんなで助け合う土台づくりが最優先課題に思う。
    他人ごとの意識で、病に倒れたら病院にいくもの、家族単位でサポートするものという意識では2030年を幸せに迎えられず、行き場のない高齢者は増えるばかり、孤独死は溢れかえり、受け皿の現役介護士や医療の人材は減るばかり。

    リモートワーク至上主義、自分時間の充実を望むひとたちが、ひとりまたひとりと、現場勤務から外れてノマドワーカーに需要が集まる末路は既に想像がたやすい…

    自分も人のこと言えず、ノマドワーカーになる気満々ですが、たとえば、
    日々の生活のなかで道端にいる道に迷ったおばあちゃんを見送る、とか
    ご近所の犬の散歩のお手伝いをしてあげる、とか。
    わたしだったらこんな手助け嬉しいなと思うことは差し伸べてみる、
    そんな小さな思いやりで幸せな未来の老後のために徳を積んでいきたいな。
    だって頑張って生きてきんだもん、最期くらい、生きれてよかった
    そう思って周りに感謝して亡くなりたい…

    ケアニンとしてそんな当たり前の願望を叶えてあげられる支援はほんの数人しか出来ず、自分の未熟さに今でも腹が立ってきますが、
    道を良く聞かれることが多かった東京のあの商店街のある日。
    おばあちゃん、無事辿り着けてたかな?
    公園でおにぎり食べてたらふと隣に腰掛けた、オシャンなおばあちゃまからいただいたクラシックコンサートのパンフレット。
    懐かしい記憶があたたかい。

    ころころと、笑い声かわいいね
    自分の声がコンプレックスで嫌いだったのに初めて褒めて貰えた一言がその日自分を好きになれた。

    ほんの小さな声かけが、ひとに勇気や心に灯りを灯してくれるものなんだろな

    この本で、市民として出来ること考えていきたい。

  • 病院で働く医者というよりは、公衆衛生や民間企業に腰を据える医療関係者の人たちの対談コラム
    私自身病院に来る手前の人たちに医療従事者側が介入するシステムを構築することに興味があるので色々と参考になる内容が多かった。横文字が多くてちょっと読みづらかったけど。
    医者としての将来に不安はつきないが、同時に変化していく未来が楽しみでもある。何でもできるし、何者にでもなれる。多分。

    ✏少子高齢化や人口減少で社会保障費の負担がどんどん大きくなる中で、サステナビリティだけを考えれば、医療費を抑えるために治療を「諦める医療」にシフトすればいいという話になりがちである。しかし、質を担保したまま持続可能な医療にするにはどうすればよいのかが、本来解決すべき課題である。

    ✏医療は病院から始まっていると思いこんでいたが、そうではない。「生きること全て」を支えることが、医療、ヘルスケアになっていく。

    ✏日本の医療の仕組みは、アクセスという点では公平で素晴らしいものを実現しているので、次は人々に寄り添う形でデータ×AIを用いたダイバーシティ&インクルージョンを実現することを目標にする時期に来ている。

    ✏外科的治療のデバイスはほとんどが外国製である。つまり、日本の最大産業である医療産業では、日本国民が納めた税金を一生懸命投入しても欧米・中国に医療費という形で支払っていくことになる。

    ✏多様な意見を受け入れるには、それに影響されない芯になるものが自分にあること、つまり自分に自信と余裕があることが必要である。
    多様性に対して不寛容な日本の社会は自信と余裕のなさの表れかもしれない。

    ✏教育者に求められるのは、利他性・アンガーマネジメント・経験と技術。 

    ✏「何をするかよりも誰とするか」を意思決定の軸に置く方が、結果的に幸せな人生を送れるのではと、様々な人を見てきて思う。

    ✏2020年から2040年までに生産年齢人口が40%減るのですが、実はAIを導入すると40%の失業者が出ると言われています。つまり、40%の人がいなくなるが、40%の人がいらなくなるということです。

    ✏人間としての医療職がやるべき仕事は、何がベストの治療的介入の組み合わせなのかということを、日常生活の聞き取りの中から導き出して、相手を説得し、さらに最後は責任を取ることだと思います。

    ✏「地域包括ケアシステム」
    システムというものは、柔軟性がありません。想定外の事態に対して非常に脆いのです。システムによらずとも高齢者が暮らしていけるように、地域や家族の底力を高めていかなければなりません。それは、個別性とか多様性というものを容認して居心地よい場所をつくっていこうとする地域文化(カルチャー)です。

    ✏病院の患者は、感染管理を始め細かく運用されるシステムによって守られています。しかし、地域で暮らすお年寄りはカルチャーによって支えられているのです。

    ✏日本の介護現場は、技術や日本語を一生懸命教えたら、ずっと定住してくれるのではないかという幻想を抱いてますが、そんなはずはないのです。彼らはお金を稼ぎに来ているのです。

    ✏外国人労働者が、何を求めて来ているのか(ビジネスの基本、接客etc)をフォロー・サポートしていく、夢を一緒に追っていくという姿勢が必要だと思います。

    ✏自分がやっている医療がなぜ大事なのかを社会に対して説明する必要があります。なぜなら、税や保険など公的なお金によって運営されている事業だからです。

    ✏常に万人にとって完璧な発信はなく、不完全な情報発信の成果と、自分自身の限界に真摯に向き合う必要がある。

  • 最高に面白かった。医学書ではないけれど、医療に関してガッツリ書かれている本。
    若手医師が読むと確実に刺さる内容がいっぱい散りばめられていると感じた(というか、自分には刺さる内容が沢山あった)

    自分のやりたいことは、最近「病気治し」よりも「病気になりかけの人を良くすること」だと感じている。1番自分の中で印象に残っている患者も、入院している重症患者や高齢者ではなく、外来で(当初あまり使われていなかった)SGLT2阻害薬を導入してDMや心不全や肥満が改善した、明らかに「予後が伸びた」と感じることのできた中年男性だった。
     また、小さい子を育てている層の患者(腎臓内科ならIgA腎症の患者が多い)の慢性疾患に、ベストな情報提供ができる医師になりたいと日々感じている。

    海外で言うならば「家庭医」のポジションが理想。本書によると、イギリスなどでは家庭医から話を聞くことは健康に関する情報源として重視されている一方で、日本では健康についていちばんの情報源は「テレビ」らしい。(しかも、医師からの情報はランキングに入ってすらいない)

    医学的に正しい情報を、うまくコミュニケーションを取ったり発信するスキルを駆使した上で、病気になる前段階の人たちに届けること。

    本書でも登場した「崖のアナロジー」でいう、まだ崖の上にいる人たちのための仕事を何か一生をかけてやっていきたい、そんな風に感じている。



    30代という時期の始めに読めてよかった。
    読んで満足ではなく、行動に移していきたい。

    • ナマケモノさん
      現在医学部5年生の者です。
      私も先生と同じく、病院に来る手前の人たちに医療者側が介入するようなシステム構築に興味があります。
      病院という場所...
      現在医学部5年生の者です。
      私も先生と同じく、病院に来る手前の人たちに医療者側が介入するようなシステム構築に興味があります。
      病院という場所に拘らず広い視野をもつ医者になりたいですね…。
      2023/01/10
    • おちばさん
      ナマケモノさん、初めまして。
      コメントありがとうございます。

      ナマケモノさんも、医師として働き出すと尚更に急性期医療について、色々と疑問を...
      ナマケモノさん、初めまして。
      コメントありがとうございます。

      ナマケモノさんも、医師として働き出すと尚更に急性期医療について、色々と疑問を感じるようになると思います。

      「病気治し」に特化した日本の医療制度は、患者目線で言えばシステムです。
      ただ、いわばマッチポンプ状態で、持続可能性は到底あり得ないように感じています。

      大切なのは、それになる前段階で、世界的にも予防医療は注目されているように感じます。

      それらは、おっしゃる通り、病院の中だけでは完結できない問題と感じます。

      お互いに、うまく時代のニーズを捉えながら、自分の目指すキャリアを作っていきたいですね。
      2023/01/10
    • ナマケモノさん
      ご返信ありがとうございます。
      そうですね、多様なキャリアの積み方に上手く適応していきたいですね。私はとりあえず勉学に励みます…(汗)
      おちば...
      ご返信ありがとうございます。
      そうですね、多様なキャリアの積み方に上手く適応していきたいですね。私はとりあえず勉学に励みます…(汗)
      おちば先生の今後のご活躍をお祈り申し上げます。
      2023/01/11
  • 参考

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/323296

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/466084

  • 6月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003609464

  • ■第1章 医療をより良くするための問題提起
    〇第1章-1 医療の課題に対しできることは何か(吉村健佑)
    〇第1章-2 様々な方法でCOVID-19 対策に取り組む(吉村健佑/佐藤大介)
    〇第1章-3 これからの医療制度改革(吉村健佑/佐藤大介)
    ■第2章 現状を切り拓くための戦略
    〇第2章-1 医療を社会問題として捉え直し、如何に取り組むか(宮田裕章)
    〇第2章-2 日本の医療技術を武器に次世代の医療を切り拓く~産学連携の経験から~(志賀 隆)
    〇第2章-3 次世代の医療に「産」ができること(櫻井陽一)
    ■第3章 求められる人材として生き抜くための戦略
    〇第3章-1 多様性と可能性(三澤園子)
    〇第3章-2 医師の働き方改革から見る医療界のこれから(裵 英洙)
    〇第3章-3 これからの社会・医療の展望と求められる人材像~個人のキャリア開発も含めて~(小野崎耕平)
    ■第4章 世界基準で行動する戦略
    〇第4章-1 日本の医療を見つめ直し、勝機を探る(津川友介)
    〇第4章-2 グローバルな視点から見る、求められる医師・医療の在り方(國井 修)
    〇第4章-3 パンデミックでの医療現場から見える未来の医療(谷口俊文)
    〇第4章-4 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえて、今後に如何に備えるか~初代医務技監の視点から~(鈴木康裕)
    ■第5章 多様な価値観を受け入れ力にする戦略
    〇第5章-1 生活から学び、生活へと還元する地域医療をめざして(高山義浩)
    〇第5章-2 患者・市民とつくる次世代の医療(武藤香織) 
    〇第5章-3 コロナ時代、情報発信はどうあるべきか(市川 衛)

  • 読み始めてすぐにこれをちゃんと理解するのは無理だとわかって、とにかく終わりまで目を通したというレベル。かろうじて「何が論点になっているのか?」はわかったつもり。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター センター長/特任教授・千葉県健康福祉部医療整備課

「2021年 『病院マネジメントの教科書 病院経営28のソリューション=千葉大学医学部附属病院「ちば医経塾」講義テキスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村健佑の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×