- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909125033
作品紹介・あらすじ
救いやキレイごとがない、予定調和を期待すると裏切られる物語。 この物語は、金の鎖で木に繋がれた賢い黒猫によって語られる。一年の半分が雪で覆われる凍てつく北の国、高い塔に幽閉されて育った皇太子の名はサファという。皇子がいずれ自分を脅かす存在となるとの予言を信じた皇帝は、皇子を孕んだ后を 塔に閉じ込めてしまう。后は皇子を産み落とすと亡くなり、やがては乳母も処刑され、太陽や月の光も知らない皇子は、外への憧れを抱きながら孤独に成長する。 鶏の脚の生えた家で移動する、優秀な魔女のチンギスは、皇子の心の叫びに共鳴し、彼を塔から救い出す。聡明なチンギスは、人間の奴隷の子として生まれ、拾われた子として老婆に育てられたという宿命を背負っていた。 "魔法使いというものは、嘘をかぎわけることができる。それは美しい調べにまざった耳ざわりな音のようなものだ。(本文より)" ゴーストドラムはイタチの頭蓋骨を中央に載せた太鼓。ゴーストドラムを打ち鳴らせば頭蓋骨が文字の上を踊り、魔女に啓示を与える。 "サファはまばたきもせずに、頭蓋骨が文字から文字へとはねたり、すべったりするのを見つめていた。そして頭蓋骨がはねるたびに、それがなにを意味しているのか考えたが、どれ一つ意味がわからない。(本文より)" チンギスは果たしてサファを守り抜くことができるのか。
感想・レビュー・書評
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北の国,魔法使いチンギスが幽閉された王子サファを救い出し,弟子にする所が一番幸福を感じる。一筋縄ではいかない復讐譚。ダークファンタジー(魔法使いクズマ)
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心さえ死んでなければ、どこへでも行ける。
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雪原の静かで厳かなファンタジー
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あまり心理描写がないので推測するしかないのだけど、できの悪いサファからも学びうるものがあったチンギスに対して、クズマは理解できなかった。わたしたちは300年も生きることはできないけれど、やっぱりチンギスと同じように、ささいな寄り道をつづけた方が、実りの多い人生を歩めるように思った。
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一気に読んでしまった。ダレンシャンぐらい暗い内容だったがゾクゾクした。児童書と侮るなかれ。
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今さらながらやっと読んだ。
噂通りのダークファンタジーだったけど、思ったほど後味が悪くはない。猫の語り部が語るという形でワンクッションあって、少し遠くから俯瞰しているから、昔話ふうの淡々とした味わいが加わっているのかも。あの語り部の部分が、ゴーストドラムの音色さながら、心地よいリズムを響かせているのもいい。
遠くから俯瞰と言ったけど、物語は、権力や支配者ってものをえぐりまくっているし、為政者が唱えがちな「魔法の言葉」というものもえぐっているし、その切っ先は鋭い。
魂の旅路が何百年にもわたって描かれている壮大さもいい。
続編と前日譚の出版資金をこれからクラウドファンディングで集めるみたい。クズマの話、読みたいのかどうか自分でもよくわからないけど。