- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909237651
作品紹介・あらすじ
日本で貧困問題が「再発見」されてから約20年。その状況は改善されるどころか、ますます深刻さを増している。
私たちはどのように貧困問題を乗り越えていくべきであろうか?
それを考えるためにも、そもそも「貧困」とは何か、というところから問い直してみよう。
ブース、ラウントリーの貧困調査からはじまり、べヴァリッジ、タウンゼントによる相対的貧困理論、EUの社会的排除理論へと発展してきた近代の「貧困概念」を追いながら、貧困対策の理論的核となる原理を探る。
貧困研究期待の若手による、理論的に「貧困」を捉え、未来社会を構想する渾身の入門書。
感想・レビュー・書評
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[第1章] 「貧困」とは何か――諸概念の整理
貧困理解の前提となることばの整理
貧困概念とは「貧困の意味内容」のこと
貧困の定義とは「貧困と非貧困の区別・境界」を言語化したもの
貧困の測定とは「貧困の広がりと深刻さの計量」
「格差」「不平等」「貧困」の概念的区別
階層論と階級論
貧困概念は人びとの要求によって拡大してきた
貧困理論の学説史に関する概要説明
[第2章] 絶対的貧困理論
ブースの貧困調査と貧困の捉え方
ブースの調査研究にひそむ「分断と統治の論理」
ラウントリーの貧困研究と貧困調査
「絶対的貧困」の概念
ブースとラウントリーの相違点の整理
「絶対的貧困」から考える現代日本の生活保護
[第3章] 相対的貧困理論
相対的貧困理論の考え方
相対的剝奪概念から定義づけられる貧困
ベヴァリッジ体制の成熟とタウンゼントの貧困理論
タウンゼントの貧困理論
「普通の生活」と「社会参加」
タウンゼントの貧困理論と現在
「相対的剝奪」と「相対的貧困」に関する補足説明
[第4章] 社会的排除理論
社会的排除とは
EUの社会政策と「社会的排除/社会的包摂」
「社会的排除」概念が一般化した社会背景
「自由」と「自己決定型社会参加」
「自己決定」を可能にする「自由」
「自由」の実質的広がりを規定する三つの要素
自由獲得の歴史
自由拡大の担い手
「権利の擁護」と「権利の保障」
[第5章] 「自由の欠如」と現代日本の貧困問題
本章の目的
自由の平等と幸福
貧困と差別、および貧困者への差別
権利の有用性および有効性と自己決定の限界性に関する検討
「子どもの貧困」問題
「経済的投資アプローチ」と「Well-beingアプローチ」
普遍主義と脱商品化
社会的包摂と社会参加
[第6章] 階層論的貧困理論と階級論的貧困理論
「あってはならない生活状態」再考
階級論的(資本‐賃労働関係)視点の必要性
失業者対策と相対的過剰人口対策
日本の労働者階級と階級意識の喪失という問題
無所有に対する抵抗 -
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東2法経図・6F開架:368.2A/Sh27h//K