言いなりにならない江戸の百姓たち: 「幸谷村酒井家文書」から読み解く

著者 :
  • 文学通信
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909658562

作品紹介・あらすじ

百姓たちは無学で読み書きができず、
武士に一方的に支配される、無力で弱い存在だったのか。

しかし、古文書をひもといてみれば、そこには百姓たちが生き抜くために読み書き・計算の能力を身につけ、村のルールを自分たちで決め、積極的に訴訟を起こし、ときには支配する領主たちに敢然と自己主張するたくましい姿が浮かび上がってくる。

本書では江戸時代の圧倒的多数者だった無名の百姓たちの実像を、実際の古文書をひもとき、解説を加えながら明らかにしていく。
江戸時代の人口の約八割は村の百姓たちだった。彼らについて知ることは、その時代の生活・思考様式について知ることにもつながる。
百姓像のイメージをアップデートする入門書、誕生。

【自分たちの暮らす村を自治的に運営していた百姓たち、読み書き・計算を学んで、さかんに商品の売買を行ない、ときには積極的に訴訟を起こして要求を実現しようとする百姓たち、広範囲にわたって結びつきを拡げることで災害に立ち向かった百姓たち、武士に対しても敢然と自己主張する百姓たち、そうしたたくましい百姓たちの姿が浮かび上がってきたのではないでしょうか。本書が、江戸時代の百姓たちの実像を知っていただく一助となれば幸いです。】……「おわりに」より

感想・レビュー・書評

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  • 渋沢栄一だけじゃない、江戸の百姓が身につけていた経済感覚(渡辺尚志)―『言いなりにならない江戸の百姓たち』刊行記念エッセイ - 文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社
    https://bungaku-report.com/blog/2021/05/post-960.html

    渡辺尚志『言いなりにならない江戸の百姓たち─「幸谷村酒井家文書」から読み解く』(文学通信) - 文学通信
    https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-56-2.html

  • 江戸時代の百姓というと、武士に決して逆らわない存在というイメージがある。




    しかし、百姓はそんなひ弱な存在ではなかった。




    武士たちは、百姓たちに気を使っていた。




    武士よりも百姓のほうが圧倒的に多いので、百姓一揆を起こされると大変だからなあ。



    百姓が武士の罷免を求めて「物言う」とは思っても見なかった。




    百姓が領主の人事を左右するなんて意外とたくましく生きていたのだな。





    「くまのプーさん」と「ロケットマン」のいる国では、この本は出版できないだろうなあ。




    支配者に物申す百姓の存在は迷惑にしかならないからなあ。



    そして意外だと思ったのは、百姓たちがよく裁判を起こしていたことだ。




    とは言ってもけんか腰ではなく、「恐れながら・・・願い上げたてまつり候」(恐れ入りますが、・・・(訴訟の審理を)お願い申し上げます)と、へりくだった言い方でお願いしていた。




    その上、徹底抗戦ではなく、示談・和解で解決ことが多かった。




    ハッキリ白黒つけると狭い地域での人間関係がまずくなるからだ。




    教科書では習わない百姓の違う一面を知ることができて興味深いなあ。

  • イメージは変わるね~はじめにー百姓は無学で読み書きができなかった?1入門、江戸時代の村!2領主と村と百姓の関係3なぜ年貢をめぐって村人同士が争ったのか4水をめぐる協力と対立ー農業用水・堤防・排水5武士に「もの言う」百姓たちー武士の罷免を求め、領主の人事に口を出す6イワシも屎尿も貴重な肥料ー裁判をいとわない百姓たち・おわりにー協力しあい暮らしを守るたくましい百姓たち~新松戸の幸谷村

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著者プロフィール

1957年生まれ、東京都出身。東京大学大学院博士課程単位取得退学、博士(文学)。一橋大学名誉教授、松戸市立博物館長。専門は日本近世村落史。著書に『近世の村と百姓』(勉誠出版、2021年)、『川と海からみた近世』(塙書房、2022年)、『藩地域論の可能性 信濃国松代藩地域の研究Ⅶ』(岩田書院、2023年)など。

「2023年 『金原明善 日本の〈偉人〉を捉えなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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