差別の哲学入門 (シリーズ・思考の道先案内1)

  • アルパカ
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910024028

作品紹介・あらすじ

差別的な行為、発言、あるいは偏見について、またハラスメントやいじめと差別との相違、アファーマティブ・アクションと逆差別、配慮しているつもりが差別になるというマイクロアグレッションなど、実際、日常で起きていることについて、どう考えていいのかわからなくなったら、立ち戻るところがようやく見つかった。
本書は「差別とはどういうものか」「差別はなぜ悪いのか」「差別はなぜなくならないのか」の3つの問いを通して、差別について哲学的に考えていきます。本書の基本的なスタンスは、悪質な差別をあたかも問題のない単なる区別かのように偽装しないこと、それと同時に、何でもかんでも差別と呼ぶような言葉のインフレに陥らないようにすること。
世界では盛んな差別の哲学だが、日本ではこれまで扱われてこなかった。本書は具体的な事例を使った差別の哲学、入門書の決定版!!

感想・レビュー・書評

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  • 差別をイメージで語らないために読んでよかった一冊

  • あなたはあなた、肌の色は関係ない、が差別を助長するマイクロアグレッションになる可能性もある。
    差別とは何か?差別はなぜ悪いのか?差別はなぜなくならないのか?を多角的に考えられる本。将来、子どもと読みたい。

  • 入門書の様な。
    さらっと触れている部分がほとんどなので情報量に溺れる。

  • 差別は良くない、差別をなくそう、と口で言うのは簡単だが
    その実、差別はなぜ良くないのか、差別はどうすればなくす
    ことができるのか、それどころかそもそも差別とは何なのか
    ということをきちんと把握している人間はほんとんどいない
    だろう。差別を哲学的に考えるということは、この現代に
    おいて必須な作業なのだ。この本はその作業の入口に立つ者
    を優しく導いてくれる道標である。ネットやSNSが発達し
    誰もが気軽に発信者になれるということは、誰もが知らず
    知らずのうちにも差別を公にしてしまう可能性が大いにある
    ということ。差別を考えるということは今の世の中、万人に
    求められる作業である。

  • 序章 なぜ「差別の哲学」なのか

    第1章 差別とはどういうものか
    単なる区別と不当な差別はどう違うのか
    区別か差別かの分類のむずかしさ
    アファーマティブ・アクションと逆差別
    ヘイトスピーチはどういう意味で差別か
    中間考察ー拾いすぎることと拾えないこと
    ハラスメントは差別か
    いじめは差別か
    差別に歴史は必要か

    第2章 差別はなぜ悪いのか
    四つの答え
    差別者の心や態度に問題があるのか(心理状態説)
    害が大きいから悪いのか(害説)
    自由を侵害するから悪いのか(自由侵害説)
    被差別者を貶めるような社会的意味をもつから悪いのか?(社会的意味説)
    結局、差別はなぜ悪いのか

    第3章 差別はなぜなくならないのか
    なぜ嘘はなくならないのか
    悪気はなくても差別は起こるー事実による正当化
    事実なのだから仕方がない、とはなぜ言えないのか
    配慮しているつもりが差別になるーマイクロアグレッション
    差別されていると言えなくなる
    反差別主義者も無自覚に差別している
    科学との付き合い方
    接触理論の着想
    ためらいの好機

    終章 差別の問題とこれからの哲学

  • 哲学入門ということもあり、分かりやすい答えは無く、継続して考えるきっかけを与えるような本に思います。

    個人的には理解・納得しきれないところはありますが、今までと異なる視点に気付くという意味では良かった本でした。

  • 今この社会を生きていくうえで「差別」というテーマについて考えずにやっていくことはほぼ不可能(すさまじい特権を持っているなら別だが)だと思う。とはいえ、明らかに間違っていると思うことに声を上げようにもそれを上手く言語化できなかったり、詭弁でごまかされてしまったりすることは驚くほど多い。この本は、あらゆる差別に抵抗していきたいがそもそも「差別をなくすべき」という前提を共有していない人間に対して反論する言葉をまだ構築できていなかった私のような人間にはまさにぴったりの本だった。
    差別という大きなテーマを「差別とはどういうものか」「差別はなぜ悪いのか」「差別はなぜなくならないのか」の3つのトピックに分けて、かなり易しく説明してくれている。特に、感情や善悪といった曖昧な基準でなく、事実やデータがすべてを決定する、それらが存在しているのだから差別が起きるのは仕方がない、といった姿勢が「知性主義」としてしっかり有徴化されていたのがよかった。
    この本に書かれていることを思考の土台として活用することができれば、身近な差別にもっとうまく立ち向かっていけると思う。注釈で紹介されている本も今後の勉強で役に立ちそうで、まさしく道先案内という言葉がふさわしい。新年一発目にこの本を読めてよかったと思う。

  • 私のようなものにいただきました。ありがとうございますありがとうございます。

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著者プロフィール

1977年生まれ。明治大学文学部准教授。博士(文学)。専門:哲学・倫理学(特に現象学、差別論)。
共著に『フェミニスト現象学入門 : 経験から「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)、「「人種化する知覚」の何が問題なのか?――知覚予期モデルによる現象学的分析」(『思想』1169号)、共訳書に『差別はいつ悪質になるのか』(法政大学出版局)など。

「2021年 『差別の哲学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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