私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE

著者 :
  • 三輪舎
4.04
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本棚登録 : 1522
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910954004

作品紹介・あらすじ

これは、ひとりよがりの贅沢ではない。−−ひとの日常、ひとの営みが軽視される日々にあらがう、意地なのだ。

日常において、とても些細なことだけれど、気にかかっていること。タオルやシーツ、ゴミ箱、セーター、靴、本棚……。これでいいやで選んできたもの、でも本当は好きじゃないもの。それらが実は、「私」をないがしろにしてきた。淀んだ水路の小石を拾うように、幸せに生活していくための具体的な行動をとっていく。やがて、澄んだ水が田に満ちていく。――ひとりよがりの贅沢ではない。それは、ひとの日常、ひとの営みが軽視される日々にあらがう、意地なのだ。それが“私”の「生活改善運動」である。

手づくりのZINEとしては異例のシリーズ累計五千部を記録した大人気エッセイ『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』を、5万字の書下ろしとともに再構成。待望の単行本化!

装丁:矢萩多聞(Ambooks)
校正:牟田都子

感想・レビュー・書評

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  • よりよい日々を過ごすための安達さん流の生活改善運動についてのエッセイ。

    毎日を楽しく、充実したものにしたい。一瞬一瞬を大切に生きたい。常々そう思っているのに上手くいかず、ずっとモヤモヤしていた私にとって、幸せに生きる為の手引きのような一冊になった。
    とにかく、欲しかった言葉がわんさかと散りばめられている。

    特に服についての章は、自分にも重なる部分が多かった。今の会社は制服があるので、私服を着る機会がガクンと減った。減ったからこそ、限られた週末の時間はお気に入りを身につけたい。なんとなくで選んで着ないとか、なんとなく着ていても違和感がある服から卒業したいと思えた。

    ●自分の「生活」をできるだけ心地よく幸せにしていくという試みは、自分たちを貧しく、雑に扱わせてはならない、という意地につながる。
    ひとりひとりの心の底に深く沈むものに目を向けることは、そのひとを丸ごと尊重することである。

    ●実は好きじゃない ことを放置しないこと

    ●どうせ同じことをやるなら、穏やかで幸せな状態でやりたい。

    ●幸せになってはいけない、という頭のなかのこの縛りは一体どこからくるのだろうか。箒でひとはき。誰かの幸せを願うように、自分の幸せを願えばいい。セルフケアは、自分だけでは完結しない。自分を通して世界を満たしていく行為なのだ。

    ●自分のことを好きになるなんてよくわからなくても、自分の生活を好きなものに変えていくことは できる。たとえ制約があっても、小さなことを変えるだけで思いがけないほどに流れは変わっていく。

    読み終わってから、ふと自分の部屋を見渡して絶句。生活改善運動していきましょう…。

  • リブラリエのアルトス分室の棚がメンテナンスされたというので、ひょっとして、と期待しながらのぞいてみると……やっぱり! 入荷されてました、気になっていた安達茉莉子『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』。

    愛らしい装丁と、がっぷり組み合った骨太な中身。
    「それは、贅沢ではない。意地なのだ。「人流」を抑える緊急事態宣言、オリンピックの前に、ひとの日常、ひとの営みが軽視される毎日。コロナ以前に、そもそも貧しくなってきている経済、社会。個人としても日常的に恐怖がある毎日のなかで、自分の「生活」をできるだけ心地よく幸せにしていくという試みは、自分たちを貧しく、雑に扱わせてはならない、という意地につながる。」
    という言葉が印象的で、何回もくり返し読む。

    たとえばAmazonの検索ボックスに、探している物の名前を打ち込むだけで、無数の選択肢が値段とともに提示されるような毎日のなかで、より自分の好きな方を選択するって、ときにすごく勇気がいるけど、それは贅沢なんかじゃないんだよー!って、誰かに向かって叫びたい。誰に?

    著者のzineや作品づくりに取り組むエネルギー、妙蓮寺の本屋・生活綴方を中心とするコミュニティの営みが、風になってページの間からびゅんっと吹いてくる。
    きっとこの風も、この本の魅力のひとつなんだろうなあ。

  • 可処分所得が増えるにつれ衣食住その他に少しずつ贅沢をするようになり、自分の人生に加わった新しい彩りに心が踊った経験は誰しもあると思う。本作はそれが人生のやや遅いステージで到来した作者の心情を綴ったもので、その感動を追体験させられるような文章は心地よくはあるのだけれど、言ってしまえば周回遅れな作者の体験談が読者に気づきを提供できるかを考えると少し疑問ではある。グルメだけど汚部屋に住んでる、みたいな快楽追求の方向がアンバランスな人には刺さるのかな。
    あと作者のメンタルヘルスが事あるごとに損なわれているのが気になる。個人的には生活の彩りって安定した収入と身体的健康っていう地盤があってこそだと思うので、大変失礼ながらこの方はその2点の改善が先決じゃないかな。

  • 生活を心地よく幸福なものにするためにした生活改善運動についてのエッセイ。
    こうすれば生活がよくなるという具体的なアイデアではなく、哲学的な感じ。
    私は生活のことなら具体的に書いてあるのが好きなので、あまりハマらなかった。
    でも、自身の母を見て、生活改善運動とは自分にとって安全な場所を作ることなのかもと考えたところはとても共感。
    きれいにするとか、おしゃれにするとかよりも家を心理的安全性が高い場所にするというのが優先度一番だなと思った。

  • 生活改善という言葉が多用されていて、結局よくわからなかったので、星3つです。あくまで個人の感想です。

  • 私自身の生活改善運動はこの本との出会いがきっかけだった。
    自分の快・不快に耳を澄まし、正直に受容する。自分がいとおしいと感じるものや心が動かされるもので自分を満たす。
    他の誰でもない「自分」にとっての幸せを知り、それを臆せず目指していく運動こそが生活改善運動である。

    文中より
    「部屋を心地よい場所にしていくと、自分が満たされていく。私が生活改善運動を行ってきた結果、一番変わったのは実は生活そのものではなくて、自分自身だった。幸せを受け取っていいと、思えるようになった。」

    生活改善運動を始めて、私自身の心はかなり大きく動かされた。一つ一つの行動の前に、自分にとって幸せな選択はなんだろうと考えるようになった。
    自分の体が喜ぶ感覚を誠実に受け取れるように、そんなふうに感じる時間で自分を満たせるように、私の生活改善運動はこれからも続いていくだろう。

    そして最後に、安達さんの紡ぐ言葉が大好きでいとおしくて、終始心地よさに包まれていた。
    もっともっと安達さんの文章に触れていきたいと思う。出会って本当によかった1冊だ。

  • 図書館で長い順番待ちの末、漸く読むことができた。最初、読み始めた時に「フランス人は10着しか服を持たない」が思い浮かんだ(実際に、「魂の一番外側」の章でその本のことにも触れていた)。
    とはいえ、内容は決してミニマリストではなく、雑誌やvlogで見るような丁寧な暮らしとも異なっていた。自分の生活が少しでも幸せに感じられるように、身の回りのものを選び、時には作り、愛着をもって大切に使う。その積み重ねが生活改善運動であるとわかる。
    内容はハウツー本ではなく、あくまで著者が上手く行かないこともありながら、生活を叶えていくエッセイだった。読んでいてかなり癒された。わたしは片付けもそんなに得意じゃないし、気がつくと気に入ってない物が部屋のスペースを占領していたり、その一方で理想の服が欲しくて洋裁をすることもあるので、度々、わかる!という気持ちになった。
    図書館で貸りたけど、結局、本も購入した。本棚に置いて、時々読み返したい。

  • 良かった。まずタイトルに惹かれて読み始めた。こういった類の本は、通常は本の中で描かれる素敵な生活に憧れを抱くものの同じことを実現するのはなかなか難しいよね、、という感想で終わることが多い。が、この本は、著者がこれでもかというくらい自分の弱みをさらけ出してくれて、これなら私にも真似できるかなと思わせてくれる程に少しずつ、理想の暮らしに近づいてくれるのだ。著書を出版できるくらい才能に溢れた方なのに読者への歩み寄りの姿勢にお礼をお伝えしたいくらい。。改善のプロセスとそこに至るまでの心の動きがとても丁寧に書かれていて、
    心地よく背中を押してもらえる本。

  • すごく良かった。読んで良かった。わざわざ遠くの本屋さんまで足を伸ばして購入しながらも、どこかでおしゃれな人の雑誌のような、薬膳的な健康的な本なのでは、と思っていた。
    いたく共感できる内容が満載だった。洋服の件では特に共感し、もっと自分の美学を大切にしよう、美学を考えようと思った。気後れしてしまうセレクトショップへの入店。店員さんから、なんであなたがこの店に入るんだと思われていると確信をもって思う妄想。だけど、私はもっと私を大切にしていい。私の美の追求のために、なんの気後れも必要ない。
    自分の中の希望、これでいいんだと思えること。安達茉莉子さんの一歩一歩の生活改善運動の様子は、私に希望を与えてくれた。さぁ、私も私の生活改善運動を始めよう。

  • 他の誰でもない、自分が「快」と思うものを選んでいく。
    それが大事なんだろうと思いながらうまくいったりうまくいかなかったり・・・。
    あまりにも共感できてしまう。
    断捨離もていねいな暮らしも分かるけれど「がわ」だけを真似てもどうにもしっくりこない。
    「私」にマッチしていないのだ。
    だってそれは「私が考えて選んだ」のではなく誰かの心地よい生活の真似だから。
    自分に何が心地よいかを考えて選んでいく。
    たとえたどり着いた「快適」が雑誌で見たものと同じだっとしてもださかがスピーディーにくれた答えとそれは幸福度が違う。
    そういうことの記録が書かれている。

    ZINを書籍化したものらしいけれど、書籍化ありがとう!!と思う。
    素敵なZINは多いけれど中々手に取る機会が少ないからね。
    こちらは妙蓮寺の本屋さんが登場する。
    石堂書店は知っているし買ったこともあるけれど姉妹店が新しくできていたのを知らなかった。
    近いうちにお邪魔してみたい。

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著者プロフィール

作家、文筆家。東京外国語大学英語専攻卒業、サセックス大学開発学研究所開発学修士課程修了。政府機関での勤務、限界集落での生活、留学など様々な組織や場所での経験を経て、言葉と絵による作品発表・エッセイ執筆をおこなう。著書に『消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ』(ビーナイス)、『何か大切なものをなくしてそして立ち上がった頃の人へ』(MARIOBOOKS)、『毛布 - あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)ほか、2022年9月に新刊エッセイ集『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)、『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)を刊行。

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「2022年 『世界に放りこまれた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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