め生える

著者 :
  • U-NEXT
3.33
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本棚登録 : 719
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784911106112

作品紹介・あらすじ

せっかくみんなハゲたのに――

突然起こった原因不明の感染症は、いつしか中高生以下を除く全ての人がはげる平等な世界に変えた。
元々薄毛を気にしていた真智加は開放感を抱いていたのだが、ある日、思いがけない新たな悩みに直面し、そのことが長年友情を培ってきたテラとの関係にも影響が及ぼしそうで…。
同じく、予想外の悩みは、幼少期に髪を切られる被害にあった高校生の琢磨にもある。それは恋人の希春と行った占い師のお告げがきっかけだった…。

価値観は刷新されたはずなのに、また別の分断の萌芽がそこに。

『おいしいごはんが食べられますように』で芥川賞を受賞した、
高瀬隼子の最新作は、見た目のコンプレックスをテーマに描いた珠玉の中編。

感想・レビュー・書評

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  • 高瀬さん作品は、やや停滞気味に感じていたところに、メガトン級の変化球が来た・・。高瀬さんの頭の中身を見てみたい・・(褒めてる)。
    読んだら、感想更新予定。

    (2024/04/07 読了)
    あいかわらず奇想天外な題材と、それをこねくり回すような展開。正直いままでの作品の中で、設定は一番好き。だけど、一番面白くなかった笑
    高瀬さんは現実世界の中におけるちょっとした妙を扱うのは上手だとは思うが、全体がそうなってしまうと、なんだかいまいちしっくりとこなかった。世界の価値観が逆転する発想はめちゃくちゃおもしろいんだけど、なぜだろうか。。
    バカリズムあたりに託したら、よいネタを書いてくれそうな気がする(なんてひどい感想)。

  •  みんながはげる世界??それが普通の世界って…どんなんだろ??またしても、高瀬隼子さんの作品にヤラれました(汗)。中高生以下を除く全ての人がはげるという感染症が流行するお話です。

     ホント、なんか現実になってもおかしくないほどの文章力に圧倒されてしまいました。どうやって、登場人物がつながっていくのかもまた予想だにしなかった展開がありました。それでも、やっぱり自分がはげるのはちょっとなぁ…とか、真剣に考えちゃったりもしました。

     この作品、文庫本よりは大きいけれど単行本よりはコンパクトな大きさなんです。読みやすいのであっという間に読めました…が、やっぱり落ち着かない読後にさせられました。

    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      遅くなってしまいすみません<(_ _)>

      遺伝なら…私も、子供もはげちゃうかなぁ(;'∀')...
      1Q84O1さん、おはようございます。
      遅くなってしまいすみません<(_ _)>

      遺伝なら…私も、子供もはげちゃうかなぁ(;'∀')
      でも先日、コロナワクチンの影響もあるかもって
      美容師さんが話してました…
      私も髪薄くなったなぁ…って話したら、
      そんな話になったんですけどね!
      2024/04/02
    • 1Q84O1さん
      かなさん
      私は遺伝でハゲるのは覚悟しています…
      なんなら一緒にハゲてみますかw
      コロナワクチンもわかりませんよね…
      後々いろんな影響が出てき...
      かなさん
      私は遺伝でハゲるのは覚悟しています…
      なんなら一緒にハゲてみますかw
      コロナワクチンもわかりませんよね…
      後々いろんな影響が出てきそうな感じもしますね…
      2024/04/02
    • かなさん
      1Q84O1さん、こんにちは!
      う…ん、遺伝とはいえ
      はげるのは、やっぱり抵抗感じますよねっ…。
      そうそう、ワクチンのせいかどうかなん...
      1Q84O1さん、こんにちは!
      う…ん、遺伝とはいえ
      はげるのは、やっぱり抵抗感じますよねっ…。
      そうそう、ワクチンのせいかどうかなんてわからないけれど
      でもね、そう思いたいだけなのかも(;'∀')
      2024/04/03
  • 100分没頭の中編小説「ハンドレッド ミニッツ ノヴェラ」シリーズ。
    同シリーズの津村喜久子さんの「うどん陣営の受難」が104ページなのに比べ、こちらは164ページと1.5倍以上のボリュームだけど、同じく100分で読み終えるのだろうか?

    さて、以上のようにお手軽な小説ではあるのだが、取り扱うテーマは極めてスケールが大きい。

    髪の毛が根こそぎ抜ける感染症が全世界的に流行る。そしてほとんど全ての人が罹患する事態に陥るといった話なのだ。

    こどもはハゲない。はやい人は16歳からハゲる。ひととおりハゲきった今は20歳以上のほとんどの人がハゲている…

    もともと薄毛を気にしていた真智香は、感染症の流行をむしろ歓迎する。みんなではげれば怖くない。
    やっと多数派だ。

    しかし、そんなにうまくことは運ばない。
    なんせ、それはいじわるな高瀬さんが書いた小説ですもの…笑
    真智香を戸惑わす新たな展開が。
    真智香の運命やいかに…


    さて、僕も最近床屋さんで頭頂部が薄くなりつつあることを指摘された。
    「たけさん、そろそろ薬飲んどいた方がいいですよ。この程度なら1月8000円くらいで進行をくいとめることができます」って言われた。

    いやー悩みますけどねー

    まだ頭頂部を上から見る床屋さんくらいしか気づかないほど目立たないからいいけど、もう少ししたら、みんながはげる感染症流行ってくれないかなー笑

    ♫HEY MAN!/ユニコーン(1988)

    • アールグレイさん
      たけさん★こんばんは
      遅くに失礼します。

      ハゲについて、私の身内は沢山います!
      まず、父親とその兄弟が殆ど。ふたつ下の弟。結婚前、初めての...
      たけさん★こんばんは
      遅くに失礼します。

      ハゲについて、私の身内は沢山います!
      まず、父親とその兄弟が殆ど。ふたつ下の弟。結婚前、初めてのデートで頭を見て「もう断る」思ったのに遊園地に誘われ・・・・息子も多分・・・・旦那の親もハゲていました。
      自然に任せるそうです。
      (゜◇゜)
      2024/02/12
    • たけさん
      bmakiさん、おはようございます!

      はげは笑えますからね。酷いはなしですが…

      薬は…いくらはげの進行を止めてくれても高いなあ…と。
      も...
      bmakiさん、おはようございます!

      はげは笑えますからね。酷いはなしですが…

      薬は…いくらはげの進行を止めてくれても高いなあ…と。
      もう少し様子見ます。
      でも対策は早い方がいいんですけどね。
      2024/02/13
    • たけさん
      アールグレイさん、おはようございます!

      そうですよね。自然がいちばん
      はげてきたらいっそのことスキンヘッドにしようと思っています。
      アールグレイさん、おはようございます!

      そうですよね。自然がいちばん
      はげてきたらいっそのことスキンヘッドにしようと思っています。
      2024/02/13
  •  いつもの図書館の新刊コーナーで、初めて見たU-NEXTの「100 min. NOVELLA 」の、新書サイズの薄さに惹き付けられて、見てみたら、高瀬隼子さんの新作(2024年)があったので、それならばありがたくと、早速借りてきました。

     前回読んだ、「おいしいごはんが食べられますように」もそうだったが、高瀬さんの作品は、その目の付け所が良くて(色んな意味で)、今回は、はげのパンデミックである。

     コロナ禍の時も思ったが、非常事態に陥った人間心理はそう単純なものでないはずなのに、何故か、必要最小限のコンパクトな救済措置さえ施せば、全て解決すると思っている、そんな浅はかな考え方への痛烈な皮肉とも感じ、それは、人間とは、もっと多様に枝分かれしてゆく、複雑な価値観や考え方を持った存在であることを描いたような、表紙の植物の絵にも、よく表れていると思われた。

     とは書いたものの、実は本書の目の付け所の良いところは、はげでもパンデミックでもないと、私は思っており、その根拠となった、本書の中の言葉を掲載したい。

    『みんな、自分を傷つけた者とどうやって折り合いをつけているのだろうか』

    『許すのも許さないのも、どちらにしても選択するのは自分だということもしんどい』

     結局はこれなのだと痛感し、傷はいつかは癒えるものとはいうが、もしそれが、いつまでも終わらない現在進行形だった場合は、どうすればよいのか?

     それから、次の『許すのも許さないのも』に込められたやり切れなさについては、そこに至るまでの過程にもあるとは思うが、そもそも、そうした選択をしなくてはならないという状況が作り出されるということ自体、既におかしいと感じなくてはならないのに、そうした点に限って、妙に感覚が鈍くなるような人間の行動心理には、時に腹立ちを抑えきれない程の苛立ちを覚えることもある。

     確かに、人間にはそうした不完全さが、人それぞれにあって当然なのだろうとは思う。が、それにしても、これだけ平等とか多様性とかジェンダーフリーとか言われている世の中に於いて、この部分だけは軽く捉えられやすいというか、笑いにすれば何でも許されると思ったら大間違いだと言いたくなる、そのあまりにも他人事な軽々しい捉え方をするのは、おそらく自分事としての想定を全くしていないことから来ているのではないかとも思う中で、本書は、そうしたコンプレックスをほぼ全員に意識させたら、果たしてどうなるのか? ということを、生々しくジワジワと陰湿に問い質している点に、目の付け所の良さを感じたのである。

     そして、その結果どうなるのかというと、結局は人の数だけ異なる、とても繊細で複雑な思いや葛藤を、他人からは想像できないくらいの真剣さで展開しているのだろうということから、人は皆、違っていて当然なのだという、至極当たり前なことを実感させられただけであり、それは他人に話して共感してもらえることもある中に於いて、更にそうとは思えないことも、人の心の中にはあるということであり、では、何故そうなるのかというと、それが自分の考えや行動に基づいたものではない、不測の事態によって起こってしまったことから、自分の中で何を拠り所にしていけばいいのか分からない、困惑感が強いためだと私は思い、それを傍から見ると外面しか認識できないから、誰もが本人の思いとすれ違うような捉え方をしてしまい、おそらく、それが嫌だから自らの心の中にそっと閉まっておくのである。たとえ、そうすることで、自分一人だけが苦しみ続けるのだとしても。

     本書のタイトル、『め生える』には、おそらく「芽生える」を元にしているのだろうと思わせるものがあるものの、では、何故「芽」を「め」にしたのかというと、そこには、漢字から連想させられるような、ありきたりな意味ではない、もっと想像を絶するような、それこそ、いつまでも割り切れない思いを抱えた人たちの心をも、すっきりさせてくれといった願いを、その言葉に込めたのではないかと、私は思っている。

     U-NEXTの、このシリーズの意味するところが気になり、ネットで調べてみたら、「約100分夢中で読める中編小説」とのことで、100分で読み切れるかどうかは、一気読み出来なかったので分からないが、その後に続く『今を生きる、生き抜いていく』、『その伴走をする小説レーベル』について、本書はより多様化が認められてきた今の時代に於いても、尚、自分の心の内に抱え込んで苦しみ続けている、そんな人たちへ向けた物語なのであり、その必死に『今を生きる』孤独のランナーたちと共に、『伴走をする』存在であろう本書は、まさに看板に偽りなしといった印象で、U-NEXTさん、いい仕事してますねと、これまでの私には馴染みの薄かった、そのブランドイメージを、改めるきっかけを与えてくれたのであった。

  • みんな、大人になったら、はげる世界。
    発想は斬新。はげが普通の世の中になる。
    今も普通だけど、自分が禿げるのは、こまるなあー。
    髪があることが、少数派でこそこそと生きづらさを感じるようになるらしい。
    禿げてもそうでない人も、どっちでもいいじゃん。
    どんな場面にも必ず少数派はいる。
    少数派の人が、この場合、髪がある人が髪があることで不幸になるなんておかしい。
    でもいつも多数派がちからを持つ。
    多数決という考えがなくなったらいいのかもしれない

  • ⚫︎受け取ったメッセージ
    結局どうなろうと少数派は奇異の目にさらされる


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    せっかくみんなハゲたのに――

    突然起こった原因不明の感染症は、いつしか中高生以下を除く全ての人がはげる平等な世界に変えた。
    元々薄毛を気にしていた真智加は開放感を抱いていたのだが、ある日、思いがけない新たな悩みに直面し、そのことが長年友情を培ってきたテラとの関係にも影響が及ぼしそうで…。
    同じく、予想外の悩みは、幼少期に髪を切られる被害にあった高校生の琢磨にもある。それは恋人の希春と行った占い師のお告げがきっかけだった…。

    価値観は刷新したはずなのに、また別の分断の萌芽がそこに。

    ⚫︎感想
    高瀬さんが「め生える」についてお話しされているインタビュー記事も合わせて読んだ。同僚の方がはげいじりされていて違和感を持ったそう。見た目のことを他人が言うのはとにかくいけないと思う。本人はどんな気持ちでいるかわからないし、実際そういう場面に遭遇したこともある。結局多数派が少数派を押し込める。

  • 誰もが「はげ」や「ちび」といった、人の外見を貶める言葉を聞かずに育つことはないのではないか。本人にはどうしようもないことで、コンプレックスにもなっているはずのそれを、周りがそんな風に言うのは嫌だなと思う。

    では実際にみんなそうなってしまったら?という想像を広げていくと、この作品のようになるのではないか。設定はありえないけれど、内容や心の動きはとてもリアルで、面白いけれどこわくもあった。

    ・毛が元々薄かったりなかったりする人と、みんなと同様に一気にはげた人との価値観は違う
    ・みんながはげていると、自分だけに毛が生えることを恐れてしまう
    ・恐ろしいと感じる一方で、毛が生えてきていることへの優越感を感じもする

    コンプレックスと人間関係の視点も興味深かった。
    なんでもずけずけとものを言うテラと、薄毛をずっと気にして生きてきた真智加の関係は、真智加のコンプレックスがあってこそ成り立つもの。コンプレックスを持たない人と持つ人の関係が逆転した時、いったいどんな人間関係が構築されるのだろう。

    いろいろと考えさせられる作品だった。「おいしいごはんが〜」を読んだときも感じたけれど、この作家さんの作品は独特だけれど共感できる。

  • 全員ハゲるっていう、一瞬「村田沙耶香さんの新作か?」と勘違いしそうな設定が笑える。

    冒頭からグランドホテル形式で話が展開し、途中テラと真智加で落ち着いたかと思ったら、そこからドンドンと冒頭のネタが拾われていく思い切った話の進め方により、乗ってくると一気に読める。この辺り、この文庫の企画(100分没頭!中編小説)を意識してのことか。確かに一気に読める内容と分量ながら、しっかりと小説しています。

    高瀬隼子さんの小説を読むのはこれが3作目だけど、いつも人の他人に対するネガティブな感情に焦点をあてている印象でどうも心がざわざわする。が、本作は全員が禿げるという設定そのものが異常な為、ネガティブな心理もそれほど気にならず受け止められるのは発見かも。

    テーマは同調圧力とマイノリティ心理なのか?占い師のようにマイノリティ側でも悠然としている人もいれば、真智加のように気にする人もいる。琢磨もトラウマがありつつもマイノリティか。三者三様のマイノリティであることに対する考え方。しかも髪があるというマイノリティ属性は羨ましいと思われる状況。でもこれって今でもルックスがいいとかと本質的には同じ状況な気もする。であれば単に優越感で済まないのか?髪があるないはそれ以上の違いを孕んでいるのか?この辺りは釈然としない。

    このように考えるともう少し長くてもいいから深掘りしてもらえるともっとよかったかも知れない。フォーマットを固定にしたからこその展開と限界が共存している気がする作品だった。

  • 何かが芽生える的なものだと思ってたらまさかの頭髪、ハゲる話で狂った世界観の中で髪があることが普通な今が不思議に感じた笑

  • 著者らしい作品。

    髪が抜け落ちる世界。
    ここまで想像できる著者が凄いのです。
    でも、対象が髪だけでなく、全ての事柄がこの状況に当てはまるのではと思うこの世界。
    鋭すぎる視点に読後はかなりまいります。

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著者プロフィール

1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学文学部卒業。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞しデビュー。2022年「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞。著書に『犬のかたちをしているもの』『水たまりで息をする』『おいしいごはんが食べられますように』『いい子のあくび』『うるさいこの音の全部』がある。

「2024年 『め生える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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